吉本章紘、「Nostalgic Farm」を配信開始

2019.6.6

吉本章紘が「Nostalgic Farm」を配信開始

吉本章紘の「Nostalgic Farm」が配信開始された。今回、デジタル配信リリースされた楽曲は、「Ice Castle」「Optimistic Chair」「Water Drops」「Goodbye」「Yuganda Sankaku」「didi」「Nostalgic Farm」「Enpitsu Hiko」「Helicolenus Hilgendorfi」「Ice Castle (Alternate Ver.)」となっている。

“時さえ忘れて” 吉本章紘 「Nostalgic Farm」について “時さえ忘れて”、と書いてしまうと有名ジャズスタンダード曲の邦訳タイトルの事か? と思われる方がいるかもしれませんが、それとは全くの無関係である事を最初に言ってお きます。 9の曲と1曲の別テイク、全10篇が連なる「Nostalgic Farm」は全編が一編の組曲としても 成立するように通底には同じテーマが横たわっているのではないか、と私は浅はかな勘繰 りをしています。まぁそれが“Album”というものではないかと言われると元も子もないので すが。 しかし音楽メディアが我々の想像を遥かに超える速度で進化する昨今、“Album”という存在、 意味、定義は受け取る側には画一の物で無くなってきているのではないでしょうか。 制作者が意図する形とは違い、アルバム全体ではなく楽曲単位で視聴され、それが一人歩 きしていく。“Album”としての存在価値はいつしか取り残されていくような、そんな寂しさ を筆者はここ数年特に感じています。 その寂しさを踏まえて、この作品に耳を傾けてみます。アーロン・チューライのアコーデ ィオン、森川拓哉によるヴァイオリンと、ジャズではあまり登場機会が多くない楽器を奏 でる二人から生み出される特殊な寂寥感。音数を厳選して、必要以外はあまり多くを語ら ないマーティー・ホルベックのベース。その三者の隙間を縫うように絡みつく吉本のクラ リネットもしくはサックス。吉本の楽器による“発言”はアルバムの後半に向かって意志がは っきりしているように聴こえてきます。紆余曲折を経て、胸中の想いを言いたくて仕方が ない、そんな風に。 紆余曲折があっての吉本の“発言”に対して、アコーディオンを奏でるアーロンは自由気まま。 一言で言うと“上の空”。彼の演奏からは時間経過から解き放たれた、いや放たれてしまった 者にしか表現できない、揺るぎない強さがあります。 アーロンの万物を引き寄せる強い力に対して、吉本はどんな方法で答えを導き出そうとす るのか。この両者の危ういパワーバランスも大きな聴き所の一つと言えるでしょう。 このアルバムを聴いている時間は、本来の収録時間以上に短くも長くも感じるし、 過去への憧憬や未来への予測も渾然となって身魂に沁みてきます。 時間という枠にとらわれない、楽曲という決まり事にも縛られない、 一つ決まり事があるとしたら、「Nostalgic Farm」という世界が存在しているという事。 そしてやはり、楽曲単位ではなく“Album”全体の意図、というものを意識させてくれるよう な作品になっています。 “時さえ忘れて”聴き込んでしまう、ながら聴きさせない不思議な感覚。 それを切り取りせずに丸ごとお楽しみいただけたら筆者もとても嬉しい限りです。 吉本とアーロンが出会ってから十数年。それから二人を取り巻く環境は日々変わってい った事でしょう。その十数年の時の経過を歩んだ二人にしか成し得ない音楽的達成が 「Nostalgic Farm」として今ここに結実したのです。 ジャズライター/ジャズフリーペーパー「VOYAGE」編集長 小島 良太

なお「Nostalgic Farm」は、Spotify、Apple Music、iTunes Store、LINE MUSIC、Amazon Music Unlimitedなどの音楽配信サービスで聴くことができる。
各配信サービス:Nostalgic Farm

Nostalgic Farm
  • 1: Ice Castle

    吉本章紘

  • 2: Optimistic Chair

    吉本章紘

  • 3: Water Drops

    吉本章紘

  • 4: Goodbye

    吉本章紘

  • 5: Yuganda Sankaku

    吉本章紘

  • 6: didi

    吉本章紘

  • 7: Nostalgic Farm

    吉本章紘

  • 8: Enpitsu Hiko

    吉本章紘

  • 9: Helicolenus Hilgendorfi

    吉本章紘

  • 10: Ice Castle (Alternate Ver.)

    吉本章紘

配信開始日:2019-06-06

MOR Records

ジャンル: インストゥメンタル / ジャズ

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吉本章紘

吉本章紘

吉本章紘(よしもとあきひろ) テナーサックス・ソプラノサックス・フルート、クラリネット奏者、作曲家 1980年生まれ、神戸市出身。12歳でテナーサックスを始め、甲南高校ブラスバンド部にてジャズに出会う。 2005年、バークリ音楽大学の演奏科を卒業。在学時、George Garzone, Frank Tiberi, Joe Lovano の各氏に師事。 ​ 2006年に東京に移り、鈴木勲Oma Sound、角田健一Big Band、内堀勝Big band、岸ミツアキgroup などに参加。 2007年、横浜ジャズプロムナード主催ジャズコンペティションにてバンド部門 グランプリ受賞。 2010年10月、Aaron Choulai Quintet のメンバーとして『Wangaratta Jazz Festival 2010』(オーストラリア)へ出演。 ​ 2010年、吉本章紘カルテットを結成し『Blending Tone』(2012年)、『Moving Color』(2015年) の二作品をリリース。 「先鋭的なコンテンポラリー・ジャズから伝統的なブルースまで、違和感無く同居し、聞き手の心に自然に響く魅惑のテナー」評価され、NHK FM SESSION 2013、NHK FM JAZZ TONIGHT 2016、横浜ジャズプロムナード2017 @NHK 横浜放送局公開収録 などに出演。 2014年5月、高槻ジャズストリートにて、グラミー賞受賞ジャズシンガー Diane Schuur氏のグループに参加。 2018年4月、Billy Childs Quartet、ブルーノート東京公演に、2日間参加。 ​ 現在、自己のプロジェクトである『Akihiro Yoshimoto Quartet』『深海魚』の活動の他、 大西順子Sextet、小林桂クインテット、Aaron Choulai Quintet、山田拓児 "Folklore"、守屋純子 Orchestra、Soalte Sax Ensemble 等に参加。 また、世界最大規模の作曲コンテスト『International Songwriting Competition 2014』では、自作曲がファイナリストに選出。 ​

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