【IYOW】Jabara |「美しさを感じれるかどうか」ビートグランプリCHILL/AMBIENT2020入賞、ベーシストから転身の新進ビートメイカー

2021.1.23


Jabara インタビュー |「美しさを感じれるかどうか」ビートグランプリCHILL/AMBIENT2020入賞、ベーシストから転身の新進ビートメイカー

Jabara

1996年生まれ。神奈川県出身。

2019年まで、オルタナティブロックバンドのベーシストとして活動。バンド活動休止後、個人での音楽制作を本格的に開始。

2020年5月”Jabara”に名義を変え、1st Album『Brook』をデジタルリリース。ビートグランプリCHILL/AMBIENT2020にて、BEST8入賞を果たす。

Ambient、Chill、Noise、Electroなど様々なジャンルのエッセンスを取り入れ、楽曲制作を行なっている。

IYOW : A series of interviews with featured beat makers / producers / composers


——キャリアスタートのきっかけ

バンド活動が休止になる少し前に、SP-404やMPCでのビートメイクを知ったのがきっかけです。

友人からたまたまMPC1000をもらっていたので、SP-404SXを購入し、サンプリングベースのビートメイクから始めました。そのタイミングでDTMも始めました。

 
——ターニングポイント

2020年4月に発令された緊急事態宣言による外出自粛です。それまでは、気が向いたらビートを作る程度だったのですが、自粛中は一ヶ月間ほぼ毎日ビートや曲を作っていました。

あの時は、情報を発信する側と受け取る側の二極化が顕著だったので、そこではじめて「自分は発信する側にいたい」という気持ちが強くなりました。

そのおかげで、一気にDTMの知識や経験を積む事ができたので、結果として1stAlbum『Brook』のデジタルリリースに至りました。


Jabara Brook

『Brook』各配信ストア : https://linkco.re/GeCgtg3M

 
——最新作

2020年12月に1stEP『muon』をリリースしました。


Jabara muon

『muon』各配信ストア : https://linkco.re/3pfaXT32

 
——キャリア当初の制作環境

当時持っていたWindows Surface ProにAbletonの無料版をダウンロードして無理やり制作していました。

 
——現在の制作環境

Macbook ProにAbletonを導入し、midi鍵盤やPadで打ち込みやエディットを行っています。

サンプリングベースの場合はMacbookだけで制作が完結することもあります。

場合に応じてベース録りをヘッドアンプを通して行う事もあります。

SP-404SXに完成した音源を入れて、エフェクトをかけながら演奏する事が多いです。

 
——メインの機材

・MacBook Pro 16インチ(PC)
・Ableton Live 10(DAW)
・Roland Rubix 22(インターフェース)
・Ableton Push 2(コントローラー)
・KORG taktile-49(midi鍵盤)
・SP-404SX(サンプラー)
・KORG KAOSSILATOR PRO+(カオスパッド)
・MOMOSE MPB2-STD/M NA (ベース)
・GENZLER MAGELLAN800(ベースヘッドアンプ)


Jabara インタビュー

Jabara インタビュー

Jabara インタビュー

 
——モニター環境

・TASCAM VL−S3(スピーカー)
・YAMAHA HPH-MT5(ヘッドホン)
・SHURE SE215(イヤホン)

自宅ではあまり大きな音が出せないので、基本ヘッドホンでモニターしています。MIX確認時にイヤホンを使用する事もあります。

スピーカーは新しいのに買い替えを検討中です。

 
——使用プラグイン

基本的には、Ableton内に入っているものを使用しています。

マスタリングではOzone9を使用します。使い勝手が良いので重宝しています。

無料ですがリバーブ/ディレイのプラグイン「Valhalla Supermassive」は音の伸びが綺麗で気に入っています。

 
——ビートメイクのプロセス

打ち込みで制作したメロディや、ウワモノに使えそうなサンプルをカットアップし、新たなループを作ります。

その後にドラムを打ち込み、基本となるビートを作ります。

あとは場合によりますが、音色を増やしたり、エフェクトを抜き差ししたり、展開を付けて曲に仕上げていきます。

 
——ビートメイクポリシー

最初に頭で想像したものでなく、制作の過程で生まれる偶発的なフレーズや予想外なエフェクト展開を大切にしています。

それと、これは個人的な価値基準ですが、「美しさを感じれるかどうか」というのが制作の中で一つの指標になっています。メロディ、フレーズ、空気感、声、ビート、言葉、何でも良いのですが、「美しさ」を感じれる瞬間が曲の中に少しでもあるように心がけています。

 
——影響を受けた楽曲

toe – goodbye

自分の音楽の原体験となった曲です。バンドを始めたての頃に知り、音楽の持つエネルギーに衝撃を受けたのを覚えています。どんなジャンルの音楽を聞いても、最終的にこの曲に戻ってきてしまいます。

 
坂本龍一 – andata

2017年にリリースされた「async」の一曲目です。Ambient、Noise、Experimentalといったジャンルに興味を持つようになったきっかけの曲です。心地よいピアノの音が次第に強烈なアンビエント音楽になっていくのが感動的です。

 
Madvillain – Raid

元々はバンドをずっとやっていたので、サンプリングというカルチャーをほとんど知りませんでした。MPCやSP-404SXをいじり始めたくらいにMadvillainを知って衝撃を受けました。多岐にわたるサンプリング精神はここから影響を受けました。この曲のみならず『Madvillainy』はアルバムを通して遊び心が満載で最高です。

 
Aphex Twin – Flim

アンビエント×ビートの最高傑作だと思います。シンプルな展開で進んでいきますが、節々のエフェクトやドラムパターンが練られていて無限に聴ける一曲です。ビートに対する考え方はこの曲から影響を受けました。

 
——My favorite works / 自分の作品からのお気に入り

Jabara – SEIREI

ビートグランプリ2020の予選に出した曲ですが、個人的にかなり気に入ったので1st EP『muon』の中に入れました。締め切りが迫っている中で制作していたのですが、アンビエント、ノイズ、ビート、サンプリングそれぞれがが上手くハマった曲だと思います。

 
——Message

今後も自分の変化を楽しみにしつつ、ゆったりと音楽を作り続けていきたいと思います。

 

Jabara
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この記事の執筆者

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