【Who’s NXT】S9UALL | 精力的にリリースを重ねる茨城・土浦発の新鋭ラッパー

2021.9.15


S9UALL インタビュー

S9UALL

茨城・土浦発の新鋭ラッパー。2021年1月にリリースされた「マリファナを吸いに行こうぜ (feat. dirty’9rayp)」がYouTubeをはじめバイナルヒットに。LUNV LOYAL、lj(MaisonDe)、Carz、illrain、Henny K、LOM、Yvng Smith、UMS、ゆうけん、197等々多くのアーティストと共演、先日9月8日には12曲を収録した新作『Famous (Deluxe)』をリリースし、その独特でSlattのようなベイビーボイスのフローとともに今後の活動に注目が集まる。

Who’s NXT : A series of interviews with featured artists


——最初に音楽に興味を持ったきっかけを教えてください。

9歳年上の兄ちゃんがいるんですけど、俺が小学生の頃から音楽をしていて。だから、HIPHOPというカルチャーが常に近くにあったし、気付いたらスケボーしたりHIPHOPを聴いて滾ったりして。なんか悔しい事があったらウォークマンで音楽聴いて部屋にこもって泣いたり。常に心の支えになってくれてたから、意識はしてないけどずっと音楽は隣にいるかな。

 
——常にそばに音楽があったと。

そうですね。まぁ、そんな状態で思春期を迎えて。頼りのない父親が大事な時期に逃走したりして、グレていた時もあったんですけど、そういう時も母親は俺を見放すことなくひとりで支えてくれて。そんな姿を見て、自分の中のストレスややりきれない思いは暴力や非行じゃなくて音楽にぶつけようと思ったんです。あと、昔から何をやっても兄ちゃんの弟って言われてて、それがやっぱり悔しくて。だから敢えて同じ土俵で勝負して自分を見せたいなっていうのもありました。で、ある日、兄ちゃんに「俺、ラップやりたいんだけど」って言ったら、iPhoneでRECできるVocaLiveとiRig Micだったかな? そういうのを教えてくれて「やってみろ」って。それですぐ次の月にはEP作って自分でCDに焼いて「聴いてみて!」って兄ちゃんに渡したら、いいじゃんって。それからですね。機材は変わってもあの時の気持ちは変わらずに、ずっとやるせない気持ちをぶつけてます。

 
——今も活動は地元が拠点ですか?

はい、地元の茨城・土浦を中心に、最近は東京や関東近郊だったり東北にもちょくちょく行ったりしてます。

 
——最新作を紹介していただけますか?

こないだ9月8日にアルバム『Famous (Deluxe)』をリリースしました。俺の中では、経験値が溜まってレベル1からレベル2にアップする区切りの作品になったかなって思います。高校を卒業して今日まで、色々な物事がすごく変わって。遊んでた友達がみんな自分の道を歩き出したように、俺も確実に音楽が中心のライフスタイルになったし。色んなものを見て、吸収して、そういう中で味わったたくさんの経験や苦い思い出、楽しかったこと、全てを詰め込んだアルバムです。

 
——多くの方が客演されていますね。

「BABY, DO YOU LOVE ME」はLUNV LOYAL君を客演に迎えているんですけど、小さい頃から憧れてたLUNV LOYAL君と一緒に曲を作れたのは本当に嬉しかったです、マジでヤバいっす(笑)。バースが送られて来た時、1人で車に乗っていたんですけど思わず大きい声で叫んでしまいました(笑)。

 
「こっちにおいで」は、Henny Kちゃんに誘われてillrain君の家でレコーディングする時があって、なんかタイミングもあったんでノリで入れようって感じで。その日のバイブスもマジでヤバくて、面白い曲が出来たなって感じです。

あと忘れずに言っておきたいのは、アルバムに参加してくれた197、Yvng Smith、UMS、ゆうけん、LOMのみんなは、一緒に切磋琢磨してきた地元ノリの大切な仲間で、それぞれがこれまで磨いてきたスキルを100%の出来で発揮してくれました、最高です!


S9UALL インタビュー

https://linkco.re/xuTXFVNA

 
——他にアルバムの中でオススメ、思い入れのある曲はありますか?

10曲目の「Street Living」っていう曲です。これは先輩とかとスタジオで遊んでたある時、いきなり「うわぁ!」ってなった時があって。「俺、今曲作んなきゃいつやるんだよ!」ってなってパソコンに入ってたビート、適当にDropして速攻書いてできた曲なんですけど、この前に色々自分の人生の中でもターニングポイントになるような出来事が沢山起きて。その時の自分って無駄に飾ることをやめて、自分は自分のまま、ありのままの自分でいたいなって思うことができた時期だったんです。その時にこのリリックが書けて、RECも一発録りでマイクに頭を打った音とか入っちゃってるんですけど、もう二度と同じ気持ちで歌えないなって思ってそのまま使いました(笑)。

 
——アルバムの後すぐに発表されたLOMさんとの新しいMVも良い仕上がりになりました。

YouTubeでComing Freshersが再始動ってことで第1弾に俺とLOMの『コイリレイとエッチしたい』が選ばれたワケなんですけど、実はこの曲、作った時は3人いたんだけど、1人は消えちゃって…… まぁそれは置いといて、ふざけたタイトルとは裏腹に当たり前かもしれないけど中々みんな口に出さない愛について歌っている意外にシリアスな面もある曲で。「要らない 形」、「気取らない 2人 ture in My life 楽しい」、「お金はないけど 愛が 俺の周りにある 愛が俺を育ててくれてる」、こういうフレーズとかめっちゃ気に入ってます。大事な物が近くにあるのに、気付かないふりして逃げるようなことはしたくないなって、改めてそういう気持ちが上手く表現できたなと思います。あと、MV撮影時は前回より明らかにComing Freshersのチームが進化しているなって感じました。和やかで雰囲気作りも上手いし、でもプロなところもしっかりあって、「何だこのチームは!!、すげえ」って(笑)。

https://linkco.re/nB7tbv36

 
——普段の音楽制作はどのような環境やプロセスで行っていますか?

兄ちゃんが残してくれたスタジオがあるんですけど、そこにLOMと2人で試行錯誤しながら色々付け足したりして。レコーディングに集中して向き合える、自分達にとってすごくいい環境になっていると思います。

 
——ラッパーとしてどんなところが特徴的だと自分では思いますか?

このあいだ、「個性がない」って人に言われたんですよ。それで、個性ってなんだろうなって考えながら ずっとモヤモヤしてたら曲が作れなくなっちゃって。それで、レコーディング部屋のマイクの前に立った時に見える壁に『生まれたことこそが個性』ってマッキーで書いた紙を貼って、マインドブチ戻しました。だから、俺は生き方そのものを音楽に投影しているから、人生経験がもっと豊かになるほど味が増していくタイプの人間、ラッパーだなって自分では思ってます(笑)。

 
——どんなアーティストに影響を受けましたか?

まず絶対なのはTravis Scott。映画もめっちゃ見ましたし、音楽に対する姿勢とかめっちゃインスピレーション受けました。これまで見えなかったものが見えてくるようになったというか。

あとはYoung Thug。コイツはヤバい、理由とか要らないっていうか。ただただ耳から脳に幸福になるテレパシーみたいなのぶち込んできてる気がして最高です。

最後はゆるふわギャングかな。常に自分の2、3歩先を行っているというか。「追いつきそうだー!やったー!」ってちょっと勘違いしてると、もう訳の分からないスピードで先に行っちゃってて(笑)。2人にはすごく元気をもらえるし、曲を聴いて勇気づけられる。悔しい時、悲しい時、苦しい時はゆるふわギャングの曲を聴いて助けてもらってます。逆に楽しい時も聴いたらテンションは最高に上がるしね。マジで最高のラッパーです。

 
——音楽活動をするにあたって、何か特に意識していることはありますか?

人を否定しないことかな。どんな音楽性でも、どんなにぎこちなくても否定せず、アドバイスをしたり、力になろうとすること。自分ができて他人にはできないこと、逆に他の人ができて自分には出来ないことなんて山ほどあるし。一方的に自分の価値観を人に押し付けていたら自分の音楽しかできないなって最近気づきました。友達やクルーでやっていた時はそういうことがまだ分かってなくて、みんなにたくさん迷惑かけたなって思ってます。でも、その一方で合わせる気は無いから、「俺は先で待ってるよ!」ってスタンスで今はいます。一人一人がちゃんと音楽と向き合って、音楽を好きだって、戻ってきたいって思えるような環境を作って待ってたいですね。戻ってくるかは自分達次第だけど、俺が出来ることは100%やりたい、今もこれからも。あと、地元の若いシーンが腐ってて格好いいラッパーがマジでいないから、もっと地元のレベルの底上げを頑張りたいです。

 
——そういった意識の中で共感するアーティストはいますか?

MaisonDeのlj君は、ひとつ年上なんですけど、彼の考え方や立ち振る舞いはメインストリームのラッパーにも引けをとらないくらいめちゃくちゃイケてるし、まじで格好いいと思います。あと、LUNV LOYAL君は、やっぱり言わずもがな今をときめくTOP STAR。オーラがすごいし、何より音楽をやっているのがすごく楽しそうなんですよね。俺もそう思われるようなラッパーになりたいなって思います。他に、Donatello君は、ラップがマジで上手くて。いつも俺のプレイリストは彼の「Hiza」って曲から始まるんですけど、マジで格好良くて、本当に韻踏むの上手すぎでしょっていう(笑)。いつか一緒にやりたいなって思います。

 
——今のシーンについて何か感じることはありますか?

シーンとかはあってないようなものだから俺が作っていこうと思ってます。

 
——今後の活動の展望や予定を教えてください。

ツアーとまでは呼べないけど、ありがたいことに10月3日の土浦GOLDから始まってちょこちょこ地方にもライブに呼んでいただいています。マネージャーとバックDJも地元のイケてる若い子を起用して、自分達だけで茨城のシーンを見せることができると思うので今からワクワクしています。みんな、遊びに来てねー!(笑)

 
——では最後にメッセージを。
ニューアルバム『Famous (Deluxe)』は、おかげさまでApple MusicのHIPHOPチャートで初登場83位にランクインしました。茨城のなんにもない田舎からの19歳でも、こんな俺でも日本のHIPHOPチャートに殴り込みをかけることができた。それは、自分にとってはすごく誇らしいことなんだけど、まだまだ上にあがりたい。だから、これを読んだみんなはもっともっと聴いて欲しいな。よろしく(Slatt)。


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この記事の執筆者

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