Lil Chill インタビュー | 「歌わないと死んでしまう」 引きこもりながら次々に楽曲を発表、チルなサウンドと繊細で瑞々しいリリックが注目を集めるネットラッパー【Who’s NXT】

2022.1.24


Lil Chill

Lil Chill(りるちる)

——プロフィール

「Lil Chillは2018年頃より外の世界が怖くなり家で引きこもり曲を制作するようになったアーティスト。ポップなメロディを軸にハードコア、エレクトロなど様々なジャンルを取り入れ、現在も家で引きこもりながら楽曲制作を行なっている」

このプロフィールPRKS9さんが書いてくれたんですけど、けっこう気に入ってます(笑)。

 

——音楽に興味を持ったきっかけ

親の影響で子供の頃からずっとlitな音楽を聴いてたと思います。その中でもお母さんがめっちゃハマってたジャスティン・ティンバーレークの「Still On My Brain」が自分のことを完全に音楽の虜にしましたね。

 
——自ら音楽をやるようになった経緯

中学生の頃、レゲエのシンガーになりたかったんですけどクラブに行くのも怖いし、外に出るのも怖い、でも音楽はしたいし…… 唯一パソコンは持ってたのでパソコンにダイナミックマイクブッ刺して音楽始めようと思って音楽始めたんですけど、気付いたらニコニコ動画で歌い手やってました。当時の動画はもう消したけど(笑)。

Lil Chillと言う名義で音楽を始めたのはnatep°nikaというラッパーに影響されたのがキッカケです。曲を聴いた瞬間に俺この人達と音楽したい!と思って、それからビート探してリリック書いて曲出して、猛アピールしました。それからSoundCloudに上がってる「ANTHEM」と言う曲をnateとp°nikaと一緒に作りました。そうしたら、思ったよりネットの中で反響があって、やめられなくなった感じです(笑)。

 
——活動の拠点

インターネットです。ジャマイカに住んでます……(笑)

 
——最新作について

先日1月13日に1stフルアルバム『i’m no one』をリリースしました。アルバムを作るにあたってコンセプトなんてずーっと浮かばなかったんですけど、1曲目に収録している「dawn」が出来た時にアルバムの構成がパッと浮かんで、深夜〜夜明けに聴けるアルバムを作ろう。と思って構成を考えだしました。

どの曲がお気に入り?って聞かれると本当に全部を通してリリック見ながら聴いて欲しいっていうのが本音なんですけど。

最初の曲、「dawn」は聴いてもらったらわかると思うんですけど自分の中でもドン底に落ちてる時に書いた曲で、この曲だけだったら自分自信も聴いてる人も救われないと思いました。なので続く2曲目にはシンガーの2yuと僕が大好きなラッパーLo-keyBoiをfeatした「Good day」(prod.Fro$ch)を収録してるんですけど、生きてたら辛いことも沢山あるし、幸せな時間って永遠には続かないじゃないですか。だけど些細なことも実はすごく幸せなことで、そういう些細なことも全部掻き集めて今日はもっといい日にしよう。って曲です。アルバムの中では多分一番ポジティブで明るい曲なのかな。って思います(笑)。

3曲目にLil Steezをfeat.した「after moment」を収録しているんですけど、この曲自体実は2年以上前に作った曲でずっと気に入ってたんですけど、お気に入り過ぎて出すタイミングを失ってしまってたんですよね。この曲のLil Steezのリリックで、「ライフなんてそんなもんさ。but i don’t give a fuck やりたい様にやる、死に方も選ぶ。Loveを愛せている理由がある」っていうリリックに当時すごく刺さって、自分も本音の中の本音「歌わないと死んでしまう」って歌詞に書けたのでこの曲もずっと大事で素直に大好きな曲です。

この3曲から僕の『i’m no one』が始まります。

客演陣には、2yu、Lo-keyBoi、Loud Era、Lil Steez、na9nn、young jeras、MOG、sarasa、Ali、rirugiliyangugili、ビートメーカー陣にはFro$ch、marshmallowneko、AZ BEATZに参加して頂いてます。また、アートワークをadsugerに手がけてもらいました。僕のアルバムでしか聴けない組み合わせで、すごくスペシャルだと思います。

自分がしてる事はまだ確かではないけど、だからこそ確信に変えていきたいんですよ。だからアルバムのタイトルが”i’m no one”(確かではない)なんです。この作品を通してこれまで沢山迷惑掛けてきた人達に格好付けて「これが自分がやってきた事なんだよ……!」って伝えたいです。

Lil Chill「i’m no one」
Lil Chill『i’m no one』

https://linkco.re/8evRREp6

 
——これまででイチオシの楽曲

「null (feat. rirugiliyangugili)」です。この曲が一番やりたかったことと一番書きたかったテーマで作れた曲です。これは1stアルバム『i’m no one』の13曲目にも収録しているし、シングルカットもしているんですけど、この曲が完成した時に”これだ!”って思いました。僕自身、インターネットでしか活動しないって決めているので僕が死んでも誰も気付かないと思うんですよね(笑)。やっぱり引きこもりなので健康な訳ないじゃないですか(笑)。全然有名なわけでもないし、友達も多いわけでもないし。そういうどうしようもない不安な感情を歌詞にしました。

ちなみに元々はソロ曲のつもりで作ってて、ワンバースワンフックでSoundCloudで出してたんですよね。そしたら僕が尊敬してるラッパーのrirugiliyangugiliがリアクションくれて、”良かったらツーバース目を完成させてくれませんか?”ってお願いしたら快く引き受けてくれて、この形になりました。歌詞のテーマもめちゃめちゃフィーリングしてて、ギリ君の歌詞の「もう無い、無くしちゃったんだpeace 大切な君とのメモリーなのに、墓で泣いたり笑ったり、ゴミにまみれた方が気持ちいい。 土で咲けなかったから好きにやれないのも俺らのLifeかも。」ってすごい歌詞だな。って思いました。これは偶然なんですけど、僕が吸ってるタバコがPeaceでギリ君もPeaceのタバコ吸ってるんですよね。タバコとメモリーでPeaceを掛けてるのかな?って考えたらリリシストすぎて鳥肌立ちました。多分僕の考えすぎだと思うんですけど(笑)。

Lil Chill
Lil Chill「null (feat. rirugiliyangugili)」

https://soundcloud.app.goo.gl/LZMZj3HHiKBvD8xKA
https://linkco.re/54PDu1Ev

 
——楽曲の制作について

テキトーです、本当(笑)。これに関してはマジでテキトーです。ただ、宅録機材はあるのでなんか思いついたらすぐマイクの前に行きます(笑)。歌詞書かずにやる時もあります。今回リリースした『i’m no one』に収録してる最後の曲の「delay」(prod.AZ BEATZ)なんかはフリースタイルで一発録りでやってみたら”あ、いけた”って思ってそのままミックスしました(笑)。

 
——自身の特長について

わかんない、好きなようにやるんで好きなように見てください。

 
——影響を受けたアーティスト

自分、音楽をディグったりすることってあんまりないんですけど、それこそrirugiliyangugiliの影響は確実に受けてますね。音楽ってこんなに自由でいいんだ!って彼の音楽を聴いてるとすごく感じます。「negative i love you」っていうmixtapeの音圧とかデカ過ぎてバカなんですよ。でもこれもギリ君の意図なんだろうな。って思いました。自分だったらこんな挑戦出来ないです(笑)。自分がハイパーポップみたいなことをしてたのも確実にギリ君の影響です(笑)。「Grapefruit」っていう曲だったり。

それとLo-keyBoi君もかなり影響受けました。彼の音楽も規格外ですよね。彼のフックは特にすごいんですよね。めちゃめちゃパワフルと言うか、絶対頭に残るんですよ。彼の曲を聴いたら一回スランプに入って曲作れなくなります(笑)。彼の曲の中で僕が客演で入らせてもらってる「trust me」と言う曲があるんですけど、その曲のデータが届いた時、正直ローキー君のパート全部がヤバすぎて引きました。フックもだけど彼のバースもヤバ過ぎて思わず「キモ!」って言っちゃいました(笑)。それで「あ、この曲全部聴いたらバース書けなくなる、ヤバい。」って思って最初フックのケツから次のフックの頭まで一生ループさせてバース書きました(笑)。

影響されたアーティストって改めて考えると本当にめちゃくちゃいるんですけど、もう一人あげるとしたらLoud Era。なんだろう、あんま説明したくないんですけどこの人はもう存在がキモい(笑)。

 
——影響を受けた楽曲

Jimmy Cliff – Many Rivers To Cross

レゲエのレジェンドです。めっちゃ良いですよ。お風呂入りながら聴いたりします。”And this loneliness 〜 I’ll have to cry”ってパートが好きです。「君にも捨てられた、その理由は教えてもらえなかったけど頑張り足りない? もっと超えなきゃ行けない河があるのに何から始めればいいのかな。」みたいな歌詞好きです。やっぱりアーティストってメンヘラな人が多いんだなあって(笑)。

 
 
椎名林檎 – 丸の内サディスティック

正直に言います。椎名林檎さんのメロディとかめっちゃパクったりしてます!!(笑)だってかっけーもん!こんな格好いい曲パクりたくなるでしょ(笑)。

 
 
DPR LIVE – Jasmine

素直にめちゃめちゃカッコいいですよね。僕の中でこんなラッパーになりたい!の例がこれです。

 
 
SALU – WALK THIS WAY

リリースされてから今でもずっと聴き続けてます(笑)。何回聴いても泣いちゃう。格好いいとかそういう概念じゃないんですよね、もうSALUさんの音楽は教科書みたいなんですよ。国語と音楽の教科書にSALUさんが載ってる未来になって欲しいと僕は思います。SALUさんはどう思うかわからないですけど……(笑) SALUさんのアルバム『Gifted』が僕の人生全部変えましたね。一曲目から最後まで歌詞見ながら何回も何回も何回も聴きました。

この質問に答えながら思ったんですけど、今回リリースした僕の1st Album『i’m no one』もこのアルバムにめちゃめちゃインスパイアされてると思います。一曲目から最後まで歌詞見ながら聴いて欲しいです。

 
——音楽活動にあたって意識していること

ダメな曲は没、いい曲は出す。みたいな(笑)。

 
——現在の音楽シーンについて感じること

もっと音楽が当たり前のものになって欲しいです、街中音楽で溢れてたらいいな。って思います(笑)。電車の中も病院の中も全部普通に音楽流れてたらいいのにな〜みたいな。うるさかったらノイキャンのイヤホンつけたら良いじゃないですか(笑)。記者会見とかもちょっと愉快な音楽がバックで流れてたらハッピーじゃないですか?まぁ僕外も出ないしテレビも持ってないのであんまり関係ないんですけど……(笑)

 
——今後の活動の予定/展望

とりあえず引きこもりっぱなしだとダメなので仕事しないと…… 好きなように生きていたらなんとか生きていけます!多分!

 

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Who’s NXT : A series of interviews with featured artists

この記事の執筆者

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