【Who’s NXT】 Japanese Summer Orange

2019.8.20

ストリーミングネイティブのミュージシャンも次々とあらわれ、才能高きものたちはジャンルやシーン、国境さえも関係なく旧来の枠組みを軽々と飛び越えながら自らの表現欲求をストレートに詰め込んだ音楽作品をスピーディー&ダイレクトにリスナーへ発信している。

そんな要注目のup-and-comerアーティストをエディターピックアップ = Who’s NXT(next)

今回の Who’s NXT アーティストは、東京をベースに活動する宅録ソロプロジェクト・Japanese Summer Orange。まさに東京発Lo-Fiサウンドとも言えるべき退廃的かつ都市生活の消耗感や気だるさを体現した音像で、TOWER DOORSはじめ各プレイリストに次々にピックアップされるなど関係者からの評価も高い。


【Who's NXT】 Japanese Summer Orange
Photo by Masataka Inada

 
About : Japanese Summer Orange

2018年から始動した宅録プロジェクト。

インディポップ、ベッドルームポップ、ドリームポップなどの影響を受けたそのLo-Fiな音像は、90sリヴァイバルに軸足を置きつつも、テン年代後半に日本の若者が鳴らすべく再構築された、懐かしくも最先鋭なサウンドである。

 
——Japanese Summer Orangeさんの最初の音楽への入りを教えてください。

小学生の時にフラッシュ倉庫でBUMP OF CHICKENのフラッシュを見たのが最初だと思います。当時は両親が離婚して傷心していたんですけど、彼らの曲にとても助けられました。特に「バトルクライ」という曲の歌詞に救われました。

 
——そこから、自分で音楽をやることにした経緯というのは?

先ほども言ったんですが音楽に助けられる経験をしてきたので、同じように悲しい思いや辛い思いをしている人に感動する音楽を届けたいと思ったことがきっかけですね。

 
——現在どの辺りを中心に活動していますか?

都内中心です。特に下北沢にはお世話になっています。

 
——直近でリリースされた楽曲を教えてください。

「Beautiful Glider」というシングルを5月にリリースしました。「人生ってなんなんだろう」っていうことを墜落していく飛行機の中で考えているような曲です。ちなみに、この曲はスロベニアの音楽レーベル “z tapes records” のコンピに収録されました。

 
——他にこれまででおすすめ、あるいは思い入れのある作品をあげるなら?

「Let Me Get You Some Beers」って曲なんですけど、これは酔っ払っているときに描きました。「酒飲んで全部忘れて踊ろうぜ」っていう退廃的な楽曲です。そういう時も必要ですよね。

 
——楽曲の制作はどのような環境やプロセスでされていますか?

iPhoneで弾き語りしたものを録音して、家のパソコンでアイディアを形にしています。今の所はすべて家で録音しています。サンプリングしたいときは外に出て音を探したり、友達に喋ってもらったりしています。例えば、「Everything Is Okay」という曲の出だしの声は、寮に住んでいた時に留学生にお願いして喋ってもらいました。

楽曲制作をしている中で、「アイディアには消費期限があるな」と感じているので、なるべく早く形にするようにしています。なので、だいたい最初に出たアイディアやテイクの方が良いものが多いです。

 
——Japanese Summer Orangeをまだ知らない人に、その特徴を伝えるなら?

「Lo-Fiで陰気臭い曲を作る人」って伝えます(笑)。陽か陰で言ったら陰ですね。友達に自分の性格を「陽キャのふりした陰キャ」って表現されたことがあって、音楽もそんな感じかもしれないです。

 
——どういったアーティストに影響を受けてきましたか?

正直、誰から影響を受けているのかは分からないです。「この人から影響を受けた曲を作ろう!」と思って作ってもだいたいボツになること多いですし。

でも「影響受けてる?」って第三者から言われるのはFAZERDAZEやYOUTH LAGOONだったりしますね。どっちも好きです。FAZERDAZEは「The Ones」のMVでがっつりオマージュしましたし。これはMV制作でお世話になっている皆様ズパラダイスさんのアイディアでした。

 
YOUTH LAGOONについては、1st EPをFlake Recordsさんで取り扱ってもらった時に店長のDAWAさんが「YOUTH LAGOONと通じるものがある」みたいな感じでコメントを出してくださっていて、大阪から帰りの深夜バスで初めて聴いたんですよ。「17」っていう曲を聴いたんですけど泣いちゃいました。あんなに感動する曲は初めてでした。そういう面では感動する曲を作りたいと思っているので、考えてみると確かにYOUTH LAGOONから影響受けているかもしれないですね。

あと、ライブのスタイルに関して言えば、Declan Mckennaの影響を受けています。

 
——楽曲でいうといかがでしょうか?

Brazil – Declan McKenna

この退廃的な雰囲気は影響受けたかもしれないです。一時期ライブでカバーしていました。

 
We’re Going To Be Friends – The White Stripes

情景を思い出させるような歌詞ですごい好きです。名詞を歌詞の中に散らばせる歌詞の書き方は参考にしたりしました。

 
Anywhere – Fuvk

シアトルに留学していた時に腐る程聴いていました。悲しくて美しい曲だなって思ってそういうのも目指したいなと思いました。

 
——音楽活動をするにあたって心がけていることはありますか?

ほとんどの曲は自分が生活している中で感じたこととか起きた出来事を題材に作っています。自分に向けて歌っている曲も多いですし、自分を慰めるために作った曲もあります。そういうリアルなとこを曲にしているからこそ自分と似た心境の人や経験をしている人に伝わることがあると思うし、慰めることが出来ると思います。

でも逆にそういった生きてて嫌だったこととか負の感情を楽曲に込めることが多いので、めちゃくちゃ疲れます。音楽だけに向き合ってたら多分途中で死にたくなっちゃいそうなので、そのほかのこととバランスをとりながら活動していきたいです。


【Who’s NXT】 Japanese Summer Orange
Photo by Aki Uemura

 
——そういった活動の中で、共感/リスペクトするアーティストはいますか?

リスペクトするアーティストは、FUN.です。音楽性が意味わからないですからね。インディーポップの中にいろんな音楽が詰まっていてサウンドが新鮮で好きです。リバイバルバンドとか最近多いですけど、やっぱり今の時代で音楽をやるのなら昔の時代の音楽をそのままやるのは面白くないと思います。

 
——インディペンデントで活動されていますが、現在の音楽シーンをどう見られていますか?

パッケージがバカ売れしてた時代がおかしかっただけかもしれませんが、今の日本の音楽業界は昔と比べるとお金がないですよね。だからメジャーレーベルにいっても新人の下っ端アーティストへのプロモーションとかあんまり期待できないのかなって思ってます。

人口も減っていて市場も縮小していくのなら日本の音楽シーンってあんまり魅力ないのかなって思います。ストリーミングへの対応も遅れていたり音楽インフラが間に合っていない印象を持っています。これにはTSUTAYAでのレンタルや特典とか日本の市場の特殊な事情があって仕方がなかったのかなと思いますけど。でも最近大物アーティストも次々にストリーミング解禁していますし、ついにパッケージの売り上げも限界がきているのかなと感じますけど、どうなんでしょうかね…

ただこういう状況でも、タワーレコードがサブミッションメディアを仕掛けていたり、いろんな取り組みを頑張っている企業も増えてきたと思います。どっちかというと、他の娯楽が増えて音楽の価値が下がって積極的に音楽の情報を取りにいこうとするリスナーが少なくなったことにも問題があるのかなって、最近では思いますけどね。Netflixとか最高の暇つぶしですし(笑)。でもインターネットだけでプロモーションに成功しているアーティストもいるみたいなので、自分も頑張りたいです。海外だとプロモーターとか個人で契約して活動するケースも普通のようなので、まだまだやりようはあるのかなと思います。

 
——今後の活動の展望を教えてください。

今後はアルバムを一つ出して一章を終えるって感じで、少し違う音楽やりたいと思っています。もちろん継承することもありますが。

あと、今はしばらくライブしていませんが、そろそろやっていきたいなと考えています。前はソロでライブをしていましたが、バンドでやる計画も立てています。


【Who's NXT】 Japanese Summer Orange
Photo by Masataka Inada

今後の展望としては、大型フェスでライブしたいです。あと Pitchforkの評価で8.4以上を得たい!(笑)

——最後にメッセージを。

Japanese Summer Orangeはソロプロジェクトなので解散するリスクが少ないです。長く活動していきますし、良い音楽作っていくので投資してください(笑)。

 

Japanese Summer Orange
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この記事の執筆者

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