HIYADAM インタビュー | 次世代ラッパーが見すえる音楽シーンとスタイル
平成8年生まれのMC、母親の影響で幼い頃からブラックミュージックに触れ、13歳の頃からリリックを書き始め、15歳でマイクを握ったというHIYADAM。ヒップホップだけでなく、R&B、ソウル、ファンクなど幅広いジャンルを吸収し、「深い音楽を作る」ことをモットーに日々スキルを磨いている。フリースタイルで日本一の高校生ラッパーを決めるバラエティ番組「BAZOOKA!!!」が主催する、MCバトルの甲子園「BAZOOKA!!!高校生RAP選手権」の第3回で優勝し、その年齢の若さもあり注目を集めた彼に、若者目線での好きな音楽からその活動、地元の札幌、大好きなスニーカーへの愛にいたるまで語っていただきました。
——今回インタビューする機会を頂きありがとうございます。メディアや雑誌などでもこういったインタビューを受けていると思うので、今回はそれらとは違ったことを聞ければと思います。
そうですね。ちょいちょい答えさせて頂いてるのですが、毎回同じこと答えているので、なんでも大丈夫です(笑)。
——それではまず自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか?
こんにちは。よろしくお願いします。ヒップホップアーティストとして「HIYADAM」という名前で北海道札幌市を拠点に活動しています。第三回高校生ラップ選手権では優勝させて頂きました。
——いきなりの優勝すごいですよね。高校生ラップ選手権はどのような場でしたか?
札幌では同じ世代のラッパーがいなく、初めてあんなにたくさんの同世代のラッパーと会いました。なんか変な感じでした(笑)。
——そこで得たものは?
特にないです!
——なかったですか(笑)。そもそも、RAPを始めたキッカケはなんだったのでしょう?
僕は元々、小さい頃から親の影響でブラックミュージックを聴いてて、それである日ライムスターさんのマネしてたら親に下手くそって言われたのがキッカケでRAP始めましたね。
——親のディスから始められた感じですね(笑)。
そうですね(笑)。それが中学校二年生くらいの時で、当時周りにRAPする友達は全然いなかったんですけど、みんなにやろうよ!って言ったらみんなもやり始めましたね。
——そこからムーブメントが生まれたのですね。
はい。みんなでクルー作って遊んだりしてました。その後、少しずつ地元のライブにも出させて頂いて、高校入ってからガッツリやっていった感じです。これからは一応、大学進学の都合で東京に上京しようと思っています。本当は留学とかもしたいんですけど。とりあえずは東京に出てくる予定です。どこの大学とかはなんにも決めてないんですけど(笑)。
——東京来るのは楽しみですね!大学に行くとなると勉強は大丈夫ですか(笑)?
テストの時はしっかりやります!普段はどうしても寝ちゃうんですけど、やるときはやります。僕、一応特進なんで(笑)。
——おお!それでは、東京に出て来たら活動を続けつつ、大学行きつつって感じですかね。
そうですね。僕は将来こういうことをしたいとかはないんですけど、音楽はラップだけじゃなくて、ビジネスライクにやっていきたいです。服のブランドを立ち上げたり、プロデューサーとかもやってみたいです。ビジネス的にやっていくのは日本だと難しいとは思うんですけど、アメリカはすごいですよね。自分でやってやろうって気持ちがあって。なんか、ヒップホップってそういうものな気がしますね。
——なるほどですね。HIYADAM君は北海道を初め、いろんなところでライブするようになってきたと思うのですが、自分の中で理想的な活動の形とかはありますか?
僕はまずライブと楽曲販売のバランスで言うと、CDや配信の収入がメインの上、ライブで得れたら嬉しいです。いや、てかライブですね。USでは音源販売しなくてもライブだけでやっていく人たちが多くなっているじゃないですか。CD売れないとかいいますけど、売るまでが違いますよね。日本とアメリカって。アメリカはむしろ売らなくていいです。
——去年で言うとChance The Rapperとかですか。Pitchforkが選ぶ2013年アルバムベスト50に選ばれていても、彼は音源売らない宣言してましたね。
僕もミックステープを出したいと考えています。やっぱりミックステープ出して、ライブメインでっていうのが結構理想です。これはミックステープでアーティストとしての認知度あげることができるからだと思うんですが、やっぱり向こうと日本ではこういう音楽の文化的に差がありますよね。ライブで稼ぐべきだと思います。
今の日本のヒップホップは規模がまだ小さく、アメリカみたいにビジネスになんなくて・・となっている気がするので、もっとヒップホップのアーティストが大きなフェスとかに出て行って欲しいですね。
——フェスも盛り上がってますからね~。ちなみにHIYADAM君はフェス狙ってますか?
結構、狙ってます!!(笑)
——(笑)!いいですね。活動するにあたって同年代は意識したりするのでしょうか?
いや、全然しませんね。僕は元々札幌でも同年代でラップしている人が周りにいなくて、何個か歳が違う先輩とかはいるんですけど。東京でこうやってライブさせて貰ってますが、歳は全然意識してないです。あんまり興味ないというか。結局始めた頃から同じスタンスでやっています。とはいえ少しだけ環境が変わったりして、地方にライブしに行けるのは嬉しいです。クラブが主なので比較的に若い人が多く聴いてくれる中、40歳くらいのおじさんにも声掛けられたりしてます(笑)「応援してるよ!がんばってね!」と言ってくれて、色んな人が聴いてくれてるんだな〜と感じています。
——いろんな年齢層の方がチェックしてくれている嬉しいですね~。日本のラッパーで影響を受けた人はいますか?
いやー…(笑)。あんまりわからないです。でも、北海道の方々にはお世話になってます。
——では、影響を受けた海外のアーティストは?
Lauryn hillですね。ジャンルを超えたスキルとスタイルに影響を受けました。
歌もラップもできるし、なんと言ってもライブのパフォーマンスがすごくて、今でも影響を受け続けています。
あとはJ.Coleです!生き方とか、やり方がすごくかっこよくてお手本にしてます!
——なるほど。J.Coleはリリシストでかっこいいですね。HIYADAM君はリリック(歌詞)書くときはどのように書いているんでしょうか?
リリックを溜めることはしなくて、大体フリースタイルで書いてます。僕、一回音を感じるんですね。トラック感じて、目をつぶって、音とメロディーだけ考えて作りますね。
——というと、リリックと雰囲気どちらを重視しているのでしょう?
いや~、どっちもですね。フロウだけで中身ないとかは嫌いなので、考えて書きます。さっきも言ったようにJ Coleとか好きで、ヒップホップは作詞・作曲が別なことが多く、僕は作詞しかしていないのですが、歌詞を書くときは背伸びや嘘は絶対書かないよう気をつけて、自分の素直を出すようにしています。
なんか僕、元々をリリックがすごい遠回しで書いちゃうんですよね。だから聴いてもらってもほとんど意味わかんないんじゃないかなって思います(笑)。解説がないと意味わかんないみたいなのしか書けなくて。で、先輩には「もっとちょっとダイレクトいいってもいいんじゃない?」と言われたりして、最近はパッと聴いても伝わりやすいように書こうとは思っています。
ちなみに夜にひとり、パソコンで曲流しながら書くと集中して書けます(笑)。
——そんな中、完成した現在配信中のアルバム「5561」ですが、どのくらいの期間で制作したのでしょう?
あのアルバムは制作期間1ヶ月くらいで作りました。音源出したくて、とりあえず作ろうって感じで。レコーディングはというと、札幌の仲間たちと一緒に持っているスタジオで録りました。なので音質とかもそんなに良いものではないんですが、全て自分で作りたくてCDのプレスやチューンコアでの配信も全て自分でやりました。ジャケットなどは地元にカッコいいデザイナーの方がいて手伝ってくれたりして、周りの環境には恵まれていると思います。完全にヒップホップですね。
——楽曲制作するときはどんな機材を使っているんですか?
機材とかはあまり使った事ないです。でもこれからは自分でビートを作ったりしていきたいと思ってます。
——今回のアルバムではトラックメイカーの方が提供されてますね。
そんな感じで、アルバム「5561」は全体的にとても聴きやすく、HIPHOP/ラップを聴いたことない方におすすめだと思います。自分のアーティストとしてのスタートが「ここから始まった!」という思いが詰まったアルバムです。
——いいスタートですね!ちなみにTuneCore Japanはどこで知って頂いたのでしょう?
まわりの一緒に音楽をやっている人から聞いて知りました。とてもわかりやすく、はじめての自分でもカンタンにできました!僕は機械苦手なんですけど、それでも出来たのでほんと誰でも出来ると思います(笑)。
——それにしても高校生でCDなり配信なり販売するのはすごいですよねHIYADAM君。行動力持ってますね。
なんか自然とやってました。こういうサービスなんかはもっとみんな使った方がいいと思うんですけどね。周りには使ってる人があまりいないんですけど、使っていけばみんなもっと活動できる幅が広がるんじゃないかなと思います。
——プロモーションも行える範囲でアーティストさんが自らやっていることが多くなってきましたしね。
正直、そういった意味でインディーもメジャーも大した違いはないと思うんです。規模によっては差があるとは思いますけど。いろんな方と話をさせて頂く中で、メジャーの話などを聞くんですけど、そういう人たちは「メジャーでのやり方をわかっている自主個人のアーティストが、これからは生き残れる」って言うんですよね。やっぱり稼げないですから。最近そういうの聞いていて、僕も「そうだなー」って思ったりしてます。レコード会社とかじゃなくなった方がいい気もしてて。わかんないですけど、もっと日本のラッパーも考えた方がいいと思うんですよね。
——個人でできることは増えてきていますね。
今は、自分でできるプロモーションとして、SNSやこういった雑誌・オンライン記事のインタビューなどは積極的にやってます!
——ちなみに現在は北海道という地方から活動されていますが、どのような場所ですか?
北海道と言っても僕も札幌の事ぐらいしかわからないです(笑)。でも食べ物がなんでも美味しいのは自信持って言えます!
あとは、北海道は間違いなく音楽のレベルは高いと思いますね!多分東京とかにいたら名が売れるレベルのラッパーの方々が多くて、僕なんかよりもフリースタイル上手いひとがごろごろいます。多分すぐ抜かされちゃいます(笑)。
——札幌ではレベル高い人たちがいるのですね。
音楽をするなら最高の場所ですよ!東京は慣れないです(笑)。札幌って一年の半分くらい雪降ってたりして、僕実は結構引きこもりなんです。家で音楽聴きながら寝てるか、スニーカーをネットとかで買ってます。
——スニーカー好きなんですか?
スニーカーめっちゃ好きです!僕、スニーカーキャラみたいなのになりたいんですよね(笑)。
——1番好きなスニーカーは?
1番好きなスニーカーですか!これは難しい質問ですね、ほんと答えるのに1〜2時間かかります(笑)。
——(筆者がバンズ履いていたので)バンズどうですか?
バンズいいですよね!僕も最近バンズ目覚めちゃって、前はNIKEしか履かないって決めてたんですけどね。。バンズにハマっちゃってます(笑)。
——浮気中ですか(笑)。
なので、1番は決められないです。それぞれの良さがあると思うので(笑)。
——話が脱線しましたが、最後に、HIYADAM君はこれからの一言をお願いします!
芯はブレずにもっともっと大きなステージでできるよう、音源のリリースをしっかりしていきたいです
HIYADAM
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