角舘健悟(Yogee New Waves)|「みんなで肩組んで、盛り上がりを見せていかなくちゃ」

2015.5.5

都会におけるPOPの進化をテーマに活動する音楽集団・Yogee New Waves。そのフロントマンであり、多方面で大活躍中の角舘健悟さんに単独インタビュー。結成から2年足らずで、多くのシティ・ボーイ&シティ・ガールから愛される存在へ駆けあがった大躍進と、これからの展望についてうかがいました。

 

曲を書かないと楽しくないし、自分で唄わないと気持ちが伝わらない

——まず最初に、角舘さんが音楽を始めてから、Yogee New Waves を結成するまでを伺わせて下さい。

そうですね。僕自身はずっと音楽をやっていて、3歳から打楽器をやっていたんですね。マラカスとかスネアだけとか、木琴・鉄琴なんかをやっていたみたいで。それで、中学2年生くらいの時に部活に入って。ジャズ部みたいな部活に入って、最初はドラムをやってたんです。

その当時はメロコアが流行っていたので、Hi-STANDARDのコピーバンドとかをやってました。それで、外のライブハウスで活動をしていく内にたくさんのバンド友達ができて。その流れで「オリジナルバンドを組もうよ!」となって。
 

大学生になってからは当初The Alien Hipsってファンクバンドを僕はやっていたんですよ。その時の僕の役割はドラムとコーラスと、作曲で。ベースをやってくれてたのが、Naokiくん(Yogee New Waves)ですね。The Alien Hipsは解散することになっちゃって、少しの期間バンドを転々としていたんですが、やっぱり「曲を書こう!」ってすごく思って。
やっぱり、曲を書かないと楽しくないし、自分で歌わないと気持ちが伝わらないし。そんな話をNaokiくんとお酒を飲みながら話して、Yogee New Waves をスタートさせることになりました。


The Alien Hips – Hello Etiopia (Studio Demo)

——まだ結成されて、2年も経っていないですよね?

はい。結成したのは、2013年の6月かな。

——バンドを結成されてから目覚ましいご活躍ですが、今までの活動の中で印象に残っていることはありますか?

たくさんありますよ。強いて言うならば、FUJI ROCK FESTIVAL 2014 に出演させてもらったのが、僕の中では大きかったです。実は僕、普段あんまり夏フェスに行かない人間だったんです(笑)。

でも出演者として行ってみて、すごい楽しいと初めて思った。実際ライブするのは30分だけだったんですが、あとの3日間、ほぼずーっと遊んでたんですよね。

それで自分たちのライブ時間は、思っていた以上のお客さんが集まってくれて。すごく、びっくりしました。お客さんと話したら「最終バスを諦めてヨギーを見に来ました」ってすごく嬉しいことを言ってくれたり。ライブ中にワケわかんない外人が踊り狂ってたり。「外人を踊らせたじゃん、おれら!」みたいな不思議な達成感があった。楽しかった。あれは最高に楽しかったに尽きます。

 

飛んだり跳ねたりしながら、すごくハッピーにロマンスを唄う

——自主制作の『Climax Night e.p』は、どんな形で制作されたんですか?

これ、今じゃ笑い話なんですけど、『Climax Night e.p』は、ヨギーのメンバーが変わって、今のメンバーになって2日目に録った作品なんです。レコーディングスタジオを借りるお金が無かったので、高田馬場のリハーサルスタジオ「GATEWAY STUDIO」で録った(笑)。

アンプを壁に向けて、音が被らないようにして、マイクを立てて。あの作品は、自分たちで環境をつくってレコーディングをしたんです。もう超大変でしたね、このレコーディングは。だけど、すごく楽しかった。

たしか「Climax Night(Happy Telephone Call Remix)」なんて、夏のものすごく暇なある日、部屋でパンツ1丁とかで録ったんじゃないかなぁ(笑)。

——作品から感じる手触りや楽しさは、そうした背景からも生まれていたんですね。『PARAISO』(2014年9月10日リリース)を制作されたときの印象的なエピソードは?

エンジニアさんに「ちゃんとプリプロしてきなさい」(プリプロダクション:本番録音前の調整を含めた簡易的なレコーディング)って、怒られたことですかね(笑)。

プリプロって絶対、大事な作業なんですけど、作品に対して「実際に4人じゃ出せない音を入れよう」とは思っていなくて。ライブで再現できない音を入れるってことをあまりやりたくない。言葉を選ばなければ、ちょっと恥ずかしいとおもうんですよね。お客さんに「ちょっとこの音入ってないじゃん」って違和感を感じさせちゃうのは。

だからできる限り、ライブ現場と同じ音にするために、過剰なプリプロをせず、最小限の準備をしてる。そのうえでレコーディング中は、めちゃくちゃ楽しく録ってますよ。飛んだり跳ねたりしながら、弾いて唄ってをしてますね、僕ら。

——飛んだり跳ねたりしながら、あんなにロマンチックな歌を唄っているんですね。

たしかに(笑)。友達をレコーディング現場に呼びまくって、お菓子食べながら「じゃあ録ってくるねー!」みたいな感じで。実はいつも、すごくハッピーなレコーディングをやっています。

 

レコードって、ひとりぼっちで聴くものだと思う

——『PARAISO』は、RECORD STORE DAY(4月18日)にアナログリリースされましたが、自分の作品が今この時代にアナログとしてリリースされることに特別な想いはありますか?

僕、モノやヒトに対して、ものすごく愛情を注ぐタイプの人間なんです。ひとつひとつに愛情の差別なんてなくて。『Climax Night e.p」も『PARAISO』も、このまえ出せた『Fantasic Show』7インチも、全部ぜんぶ、すごく愛おしくて。

本当にいつも、自分たちの作品がリリースされるたびに感動してます。特に『PARAISO』に関しては、自分の大好きな12インチのレコードにのせて形にすることが出来て、これから益々想い入れが深くなるんだろうなと思います。
 

あと僕、レコードって、ひとりぼっちで聴くものだと思うんです。イヤホンもきっと、ひとりで音楽を聴くためのモノだとは思うのですが、レコードを聴くときは、きっとひとりの部屋で、回転してる円盤を眺めたり、ぼんやり何か考えたり。

流れてくる音楽を聴きながら、自分と向き合う時間を与えてくれると思っていて。いいじかんを作ってくれる魔法みたいなものですよね。

 

ひとりぼっちの奴が、好きだった

——今「ひとりぼっち」というキーワードが出ましたが、角舘さんの描く世界にはいつも「ひとり」の影が見え隠れするように感じます。

そうですね。。わりかし友達も多かったし、明るい方の人間だったと自負しているんですけど、どこか少し達観している部分が昔からあって。どんな人にでも暗い影が必ずあって、それと向き合う時間ってのが誰しもあるだろうと昔からずっと思っていて。

たとえば、みんな今ここでこんなに明るく振舞っているけど、家に帰ればきっと、静かに暗く過ごしたりするのかな。その瞬間、何を考えているのかな。なんて、想像しながら生きていて。

だからすごく、ひとりで考える時間が多かったですね。音楽を聴いて、ふらっと街を眺めて歩いたり。わざとひとりになろうとしたり。

——それは誰かや何かの影響なんですか?

そうだなあ、ひとりぼっちの奴が好きだったんですよ。ひとりぼっちの奴って、いるじゃないですか、クラスの隅に必ず1人は。そういう奴って、大抵優しかったりするんですよね、他の人よりも。彼らと一緒に時間を過ごすのが、すごく好きでした。だからきっと、そういうところから影響を受けたりしているのかもしれませんね。

——なるほど。そうした角舘さんの世界観がすごく反映されているのが、代表曲「Climax Night」だと感じるのですが、冒頭の印象的なフレーズ「目が見えなくとも 姿 形 色が分かる〜」の元になったエピソードがあると伺いました。

あります。池袋の駅で、言葉は悪いですけど、ちょっと不細工な男の人と、すごく可愛い女の子が、イチャイチャしてたんですよ。ぼくそれを見て、腹が立って(笑)。

「なんだよこの男。何がそんなに魅力なんだよ?」とか思って。彼らの前を通り過ぎるときチラッと見たら、2人とも目を閉じて、棒(白杖)をもって、触りあっていて。

イチャイチャしてるわけじゃなかったんですよ。それは彼と彼女のお互いの愛し方で。それは肌に触れたり顔を触ったりすることで、お互いを確認し合っている姿で。もう、その感動に打ちひしがれちゃって。その時に書いた歌詞ですね。歌詞は勝手に1人歩きすればいいと思っていて、あまり中身を話すべきではないと個人的には思うのですが、そうしたエピソードが実はありました。他の曲の歌詞も、そうやって自分自身に実際に起きたことや感じたことを元に書いていて、すべてその歌詞の対象としている人がいます。

それはひとりだったり、ふたりだったり。あるいは、僕の周りの誰か2人の関係について書いていたり。あまり言えないですけどね(笑)。

——歌詞や言葉を綴る際に、意識していることがある。

うん。いつも思っているのが、もっと伝えたいことって、誰しも必ずあるはずなんです。たとえば「あんとき、ケンカをしたよな」って言葉があって、その話をもっと相手に伝えたいとする。

そこにある想いは「ケンカをした」って事実を確認し合いたいのではなくて、ケンカして流した涙のことを伝えたいのかもしれない、ケンカして仲直りしたことを笑って振り返りたいのかもしれない。ケンカってワードを直接使うだけじゃなくて、そのほかにも、もっともっと表現方法があるはず。

でも、そういう言葉や表現が見当たらずに、自分の気持ちを伝えられず悶々としている若者って多い。結果、面倒くさくなって簡単にすませちゃう、みたいな。それがすごく嫌なんですよね。だから僕は、言葉を彩って丁寧に伝えていこうって、そう思うんです。

——言葉にこだわるのは、昔からなんですか?

いや、昔の僕は、言葉に対してすごく不器用でしたね。たとえば、友達に伝えたいことがあるのにそれが伝えられない。それが嫌でたまらなくて。高校生ぐらいのときに、言葉が邪魔だなんて思って、人とうまく話せなかった時期もあったりして。

気の合う仲間って、それ(言葉)すら必要としないじゃないですか。そこにいて、みんなで時間を過ごしていれば、もうコミュニケーションで。それはそれで、言葉を使う以上に価値のあることだと思うんですけど。

だけど、そうじゃない人たちに対しては、伝えようと努力して言葉を使わない限り、伝わらない。そんなことを考えていたら、知らず知らずのうち、言葉をきちんと使うようになっていました。

あとは、大学が芸術系だったのもあります。芸術って、アートであり、思想であり、そういった抽象的なものなんですけど、それを相手に伝えなきゃいけないんですよね。たとえば芸術家になりたい友達同士でお茶しながら、お互いの作品を評価し合ったりする。「おまえの作品はこういうことだと思うんだけど、実際どう?」とか。抽象的なものごとに対してのいわゆる討論会みたいな。

そういうのが常日頃、起こっている環境なんです。すごくそれが、自分の中で考えを整理させるために大事なプロセスでしたね。最近思ってますよ。「あれ?少しおれ、賢くなっちゃったかな?」なんて。「嫌だなぁ」って(笑)。

 

みんなで肩組んで、盛り上がりを見せていかなくちゃ

——4月から今通われている大学院を休学すると伺いました。その選択の背後にある想いや決意について、少し聞かせてください。

単純に言ってしまうと音楽を真剣に考えなきゃという想いが大きいです。Yogee New Waves は、僕にとって「本気の趣味」ってスタンス、自分たちだけのモノゴトって感覚で始めていたのですが、どんどん規模が大きくなってきて、関わっている人たちも多くなってきて。

こんなに多くの人たち愛してもらえるなんて、思っていなかったです。もちろん「目指すはMステ!」なんて言ってたりしたけど、実際、本当にこうなってくるとは思わなかった。

だから、なんだろうな。メンバーが就職するとか、それぞれ置かれている状況に変化がある中、僕がやっていることは、もしかしたら Yogee New Waves に失礼なんじゃないかと思い始めて。もっと愛してあげなきゃと思って。だから一度、学校を休学して、本腰を入れて音楽と向き合う期間にしようと思いました。
 

——「既存の音楽業界なんて、壊れればいい。偉そうな奴は泥をすすればいい」と、以前インタビューでそう仰っていたのがとても印象的でした。

あのときは、いわゆるメジャーが「悪」で、インディーズが「正義」みたいな図を描いて生きていたんですよね。僕はたぶん、仮想の敵をつくらないと、戦っていけないタイプの人間で。それはそれでちょっと寂しいなと思うんですけど。

でもこの間、田中宗一郎さん(ライター / 元音楽雑誌『snoozer』編集長)と王舟(おうしゅう / シンガーソングライター)と、3人で新宿でお茶をして。そのときに田中さんと話して、すごく納得がいったんです。

要は、当時の僕が思っていたことは「今までの仕組みをぶっ壊せ」ってことなんですよね。でもそれはメジャーを敵として見ること以外にも方法論はあるはずで。

例えば、僕らがメジャーの中にあえて入ることで、そこから不思議な毒が滲み出してくる。それがウィルス的に蔓延していって、気付けばみんな1つになっていく。それが出来れば素晴らしいじゃんって。そんな話をしていたんです。

今までメジャーが君臨していた地位をインディーズがぶっ壊して正義として君臨するという図ではなくて、そうやって影をつくるやり方じゃなくて、みんなを1つに寄せる方法をとればいいって話に至って。すごく納得がいったんです。だったら僕らは、突破口を開くって言って、その場は終わったんですね。

——そもそも怒りを感じていた部分はどこだったのか?

角舘:そのときは、まだ音楽業界を知らなかったってことも、きっとあった。ぼくがあのときにいちばん怒りを感じていたのは「なんでこんなに素晴らしい音楽をやっている友人たちが食えていなんだ」って怒りですね。「メジャーの音楽産業は、おれらインディーズにもっと投資をしろ」って思ってたんですよ。
なんでこんなに素晴らしい音楽をやっている人たち、そしてその周りにいる人間たちが、音楽をやっていくため死に物狂いになっているのに、上にいる人たちはふんぞりかえっているんだって思ってた。そんな時期だったんですよね。

——最後に、これからの音楽業界に Yogee New Waves、角舘さんとして、どう向き合おうとしていますか?

今のインディーズシーンで良い意味で、すごくポップになってると思うんです。ただ単に尖っていれば良いって訳じゃなくて、みんなある程度のルールを把握していて、その中で最善をつくして、音楽で食べていきたいって純粋に思ってる。

インディーだから好きな音楽やってればそれで良いって感覚じゃなくて、みんな上を向いてひたむきに取り組んでる。それってすごく良いことだと思うんです。

メジャーもインディーもそういう意識の部分で、もう境目なんて無いと思ってます。あと1枚、そこに薄皮1枚が存在するだけ。その最後の薄皮が、意外と厚かったりするのかもしれないけれど。

結局、投資をする側の人たちは、盛り上がってる様子をみたら「あ、じゃあここに投資しよう」ってなってくれると思うんです。だったら僕たちは、みんなで肩組んで、盛り上がりを見せていかなくちゃって。そう思ってます。
 


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この記事の執筆者

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