SOUL KITCHEN インタビュー | 生活の中にふと寄り添う音楽を

インタビュー
2015.6.29
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SOUL KITCHEN | 生活の中にふと寄り添う音楽を

もともと一人で音源制作していた田中俊輔(Vo/Gt)が、2012年6月にの辻岡国治(Dr)の声かけによりバンドとして新たに結成したSOUL KITCHEN。誰もがいつもの生活の中にある「思い」を歌にしたスタンダードな日本のPOPSを奏でる彼らに話をきいた。
(Soul Kitchen – L to R : 辻岡, 古川, 田中)

 

仕事と音楽活動を並行することは当たり前

——バンドのこれまでの活動について改めて教えてください。

辻岡(Dr):出会いとしては、2012年墨田ジャズというイベントでたまたま3人がひとつのバンドの中で一緒に演奏をしたことをきっかけに歌モノのバンドをやろうということになりました。どういう曲をやろうかという話をしたときに、ボーカルの田中が打ち込みでずっと曲を作っていて、何曲か持っていたので、その曲でバンドを始めました。

——うどんタイマーP(Vo.田中さんがやっているボーカロイド)さんの、歌ってみたも何曲か聴きしましたが、田中さんはそれぞれの楽器を独学で身につけたのですか?

田中(Gt&Vo):ドラムだけ打ち込みで、あとは全部独学ですね。


 
——みなさん働きながら音楽を続けているということですが、活動の配分としては?

古川(Ba):私はベースを弾き始めた時すでに社会人だったので、仕事するのが当たり前の中に音楽が入ってきた感じなんですね。だから、仕事と音楽活動を並行するということは当たり前な感覚です。

田中:僕も暇な時があれば、常に音楽を作っていて仕事中も音楽をつくってます。(笑)。

——みなさん最初に音楽を始められたのはいつごろからなんですか?

田中:オリジナルをやりはじめたのは二十歳ぐらいです。オリジナル楽曲を作りたくてギターを独学で始めました。それまで楽器は、ピアノをずっとやっていました。ピアノは妹がやっていたんですが、自分は習わせてもらえなくて、しょうがないから自分で学校の課題曲の譜面をもらってきて、家でひとりで弾いていました(笑)。

辻岡:僕はドラムがやりたくて、中学の時吹奏楽部に入ったことがきっかけですね。18歳くらいから音楽の仕事をしていて、フューージョンバンドを組んでいたんですが、ある事情でやめて、その後は音楽に一切関わらない仕事をずっと続けていました。2009年くらいにふとSNSで、音楽をやるグループに入って、「スタジオでセッションやってます!」というのを見て、またやろうかなと思って始めたのがきっかけです。

 

どんな人にも伝えるための“歌”

——みなさん普段はどんな音楽を聴いていますか?

田中:The Whoが大好きです。横浜アリーナに来日した時に、酒に酔って暴れて警備員に連れ出されそうになってしまうほど好きですね(笑)。

古川:私はもともと、音楽よりも本が好きで、将来の夢も書道家とかでした。欲しい言葉が入ってきてほしいのに、欲しくない言葉が入ってくるのがすごく嫌なんです。なので、ボーカリストがいる音楽はほとんど聴かないです。ジャンルで言うとAORが好きで、自然とインストゥルメンタルを聴いてます。22歳でベースを始めてから、昼間はOLをやりながら、夜は音楽の仕事をしていたんです。ちょうどベースを始めた頃は、バブルの余波もない景気の悪い時期で、民間の力が無く、ある地方自治体が所有しているオーケストラや楽団がイベントを主催することが多かったんですよ。そういう楽団に所属していた友達があちこち仕事で連れて行ってくれて、公共の仕事をやるようになっていました。当時まだ女性ベーシストが珍しく、京都の祇園のあちこちの箱で弾いたりしながら、そこでは歌モノのバックバンドをやって、必要に駆られて歌を聴いてました(笑)。

——SOUL KITCHENは歌がありますが、大丈夫ですか?(笑)

古川:田中は良い歌歌うんですよ!結局音楽が好きな人は自分が口ずさんだり、カラオケで歌ったり、歌詞に共感できるだったり、音楽に対する思いは歌詞と連動することがあるじゃないですか。だからミュージシャン’s ミュージシャンになりたいわけではないので、どんな人にも楽しんでもらう音楽をするには歌って有効だと思います。

辻岡:僕も普段、ジャズフュージョンばかりで歌モノは聴かないですね。

 

普段生活している中で、なんとなく耳に入る音楽でいたい

——みなさんいつもどうやって曲を作っているんでしょうか?

田中:歌詞も曲もほぼ全部僕が作って、デモ音源を渡します。大体、バンドの形態のままメロディが浮かんできます。

 
――どのくらいの時間をかけて書き上げるんですか?

田中:今回の曲は全然時間かかってないです。きっかけさえあれば、書けますね。この前も、アイドルから曲の依頼が来て、曲のイメージを伝えられて、どうしようって思ってる時に曲が浮かんできて、その場で作って、もう夜にはミックスして、翌日にはできてました。(笑)すぐ飽きちゃうのであんまり時間をかけたくないんです(笑)。

辻岡:多分あんまり時間をかけてこねくり回しても最終的にはあんまり変わらないんじゃないかなって思うんです。だからあまり考えすぎないで気楽に作るのもいいのかもしれないですね。

——田中さんのデモをもとにみんなで意見を出し合っていく感じですか?

辻岡:そうですね。デモの完成度がとても高いので、曲のイメージとパターンによってベースラインを考えたり、ドラムもその楽曲のイメージに合うように叩いてます。

——曲を作るときに意識していることはありますか?

田中:メロディーと歌詞が同時に浮かぶことが多いので、そこから思いつくままに広げることが多いです。なるべく歌詞は身近なものになるようにしています。

辻岡:あんまりコアだと、あまり多くの人に聞いてもらえないですからね。普段生活している中で、なんとなく耳に入るというイメージです。街中やテレビで曲がかかっていても違和感なく、聞けることが一番かなと思います。聞く人を選ばない感じですよね。

古川:ソウルキッチンのことを全く知らない人が曲を聴いて、帰るときにワンフレーズでも口ずさんでくれたり、頭に残っているかということが大事だと思っていて。生活の中に持って帰ってもらえることがポップスの大事なところで、自分たちの曲も誰かの生活の中にふと居てくれるような音楽になったらいいなと思います。


 

止まらない音楽への向上心

——みなさん音楽が生活の一部に完全に入り込んでいるんですね。仕事をしながら音楽に強くコミットするのは大変じゃないですか?

辻岡:周りでも40代とかになると趣味でやっている人はいっぱいいるんです。大体練習する時間ないけど楽しいからとか言いながらやっている人がほとんどで。僕は、もっと上手くなりたいんです。朝仕事に行って、夜帰ってきて、夜0時から2時まで毎日練習してるんです。趣味との違いは、どういう風にしたいか、ということじゃないかと思います。僕は、ドラムが上手くなりたい、田中は良い曲が作りたい、古川は良いベースが弾きたい、というそれをやっているだけなんです。プロになって、音楽で食っていきたいわけではないんです。僕はバンドがかなり売れたとしても仕事はやめないと思います。

——それはなぜでしょうか?

辻岡:別に生活をするために音楽をやっているわけではなく、単純にドラムをもっと突きつめたいからやっているだけで。プロなのかアマチュアなのか少し難しいんですけど(笑)。プレイヤーではあるけど、職業として音楽家ではないです。今のバンドの目標としては、田中の作った曲をもっと表舞台に出そう、そのためにできることをやって良い演奏をしていくことです。そういう中で動いているので、メジャーとかインディーズとかはあまり関係ないですね。メジャーに行きたくないわけではないんですが、どこから出したらもっと世の中に広まるのか、その方法を考えている感じです。

古川:3人が無理せず、巻き込まれず、でも本気で真摯に考えながらやっている感じだと思います。

辻岡:メジャーデビューが目標ではデビューしたらゴールしてしまう。そうではなく、世の中のほとんどの人が自分たちの曲を知っている、そういうことが目標です。例えば、GReeeeNみたいに本業は歯科医だけど、彼らの音楽はほとんどの人が知っているアーティストのように。

辻岡:それで、色んなところで演奏して、感動してもらいたいです。

 

着ぐるみを着ても、最高の演奏を

——ところで、SOUL KITCHENというバンド名の由来は何なのでしょうか?

田中:バンド名を決めようとしたときに、なかなか決まらなくて、家にあるCDの曲名をいっぱい調べて響きの良いやつを探していたら、アメリカのThe doorsというバンドの「Soul Kitchen」という曲があって、そこからとりました。

古川:今知りました(笑)。

辻岡:なんか聞いたことあった気がします。大体人からは全然音楽ソウルじゃないじゃんって言われますけどね(笑)。

——バンド名を決めるのって本当に難しいですよね、話は変わりますが、ライブの時に、演奏面以外でもパフォーマンスしていること等はありますか?

辻岡:あー、たまに古川が着ぐるみ着てやってますよ(笑)。

古川:前にやっていたバンドで、熱烈なファンで、「これ着てください!」って毎回持ってくる人がいて、ヒヨコだったり、獅子舞だったり、お姫様だったり。SOUL KITCHENでは、まだやってないんですけどそろそろ出そうかなーって感じですね(笑)。

辻岡:着ぐるみを着て、ふざけているかと思わせて上手い演奏することで、お客さんに「おっ!?」と思わせることは大事ですよ。

——ライブでのコンセプトはあるんですか?

辻岡:最近やっと衣装を揃えました(笑)。襟つきの白シャツに、黒いベストで!

古川:衣装大事だよ。着ぐるみもね(笑)。

辻岡:あとは、声量を気にしてあえてドラムを小さく叩くみたいなことはしないです。それで埋もれてしまうボーカルだったら、今バンドをやっていないですね。自分のスタイルを変えずにやれていることは強いです。ぶち壊す演奏はもちろんダメで、声の高さや声質に合わせてドラムのヘッドやチューニングも変えています。できるだけ自分たちの100%の演奏の上にボーカルが乗って、曲が成立して、聞いている人のところにきちんと届くことが理想です。だから、PA,ミックス、マスタリングもちゃんとプロにやってもらいますね。

——ちなみに、打ち込みのソフトは何を使われているんでしょうか?

田中:ずっとCubaseです。Cubaseという名前になる前からずっと使ってますね。

 
——今後なにか出てみたいイベントとかってありますか?

辻岡:やっぱり誰もが知っているような夏フェスに出てみたいですね。サマソニ、フジロック、ロックインジャパンとか。最近は、ライブには行かないけど、フェスには行くっていう人が結構多いので、フェスに出られたらいいなと思いますね。

——なるほど。たしかに、フェスに行くのは普段のライブに行くよりわくわくします。SOUL KITCHENさんの中で理想的な音楽活動の形ってあるんでしょうか。

辻岡:まず、今の状況として、土日でやれることだけはやろうという感じです。仮に、本当に有名になってあちこちにライブに行くことになったら、職場を変えないといけなくなってきます(笑)。今、スケジュールを空けて、色んなライブハウスに出ることが得なのかというと、トータルで見るとマイナスが大きいと思うので、土日に集中した方が良いんです。でも、全国にはライブハウスがたくさんあるので、行けるところには行きたいですね。

——具体的にこれからの活動はどんな風に展開していくのでしょうか?

辻岡:大体2,3か月に1回くらいのペースでライブをしたいですね。今も録っていない曲がたくさんあるので、その中から年内に録って、2月のライブの時にアルバムを出せればいいなと思っています


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この記事の執筆者
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