Joshua (NEATZ) インタビュー SNSで話題に ― 日本のライブシーンに投じた海外目線のオブジェクション

インタビュー
2018.6.19
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Joshua (NEATZ) | SNSで話題に ― 日本のライブシーンに投じた海外目線のオブジェクション
Joshua (NEATZ)

先日、あるTwitterのポストが音楽ファンやバンド界隈でちょっとした話題になりました。「外国人目線から、日本のミュージックシーンに関しての意見です」という書き出しで始まるそのTweetは、瞬く間に25,000近くリツイートされ(いいねも41,000以上に及んでいる)[2018.06.19現在]、今もその数は増えつづけています。

 

このツイートをしたのは、都内で活動するバンド・NEATZのイギリス人ボーカリストJoshuaさん。

イギリスと日本、両方の国で音楽活動経験のあるJoshua さん自身も、今回のSNSでの思わぬ反響に非常に驚いたといいます。ライブハウスについての同様の話題は、以前から議論される事も少なくなく、トピックそのものはそれほどフレッシュではないかもしれません。ですが、現在でもSNSでこれだけ拡散されていることから、未だにその話題に関心をもつ人が多くいることが伺い知れます。当然、ライブハウス/アーティスト双方の視点の考え方があり、そこにはビジネス、商慣習、地理的・物理的環境、国民性、リーガルなど様々な要素が混在し、「どちらかが正しい」といった判断がつけられることではありませんが、「アーティストが自らの活動に関わる疑問や意見を発信し、みんなで議論することは、今後日本のミュージックシーンにきっと良い影響を与えるでしょう」とJoshuaさんは語ります。

SNSのザワつきがまだ冷めやらぬ中、NEATZのLIVEが終わったばかりのJoshuaさんにお会いしました。

 

知り合いが5〜6件リツイートするぐらいかなと思っていた(笑)

——Twitterへの反応はすごいですね。

いやぁ、本当にびっくりしました。最初は、ある日知り合いのインディーズパンクバンドのメンバーと飲んでて、ライブハウスの話しになって。それで、そこで思ったことと前から何となく考えていたことをメモして次の日にTweetしました。知り合いが5〜6件リツイートするぐらいかなと思っていたんですけど(笑)。

——ライブハウスの事情も十分に分かった上での投稿だったということですが。

賛否両論色んなリアクションをもらいました。面白かったのは地方のライブハウスの人から「ノーチャージとか、新しい取り組みをしてるんでぜひライブしにきてください!」と言ったメッセージがあったり、学生さんから企画の提案があったり、同じような経験をしているバンドマンからもリアクションがあったり、もう本当にたくさん。

——Joshuaさんは国内外での経験があるので、現場の環境の違いがより明確に感じられるんでしょうね。

僕としては、イギリスで活動していたこともあって、フリーでのライブもたくさん経験してて。だから、日本で初めてライブをした時はびっくりしましたね。「え、ノルマって何??」みたいな(笑)。なので、最初の頃は一生懸命友達を呼んでたんだけど、毎月になると声をかけづらくなったりして。でも、こういうシステムになっているのには、日本ならではのこれまでの経緯があるわけだし、そこは理解しています。今回は、外国人の目線もあるということで注目された部分はあるかなと思います。


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音楽のデジタルシフトにあわせて、ライブハウスの現場でももっと新しいカタチが出てきていいかもしれない

——国内のバンドシーンでは、まだデジタルへの移行がすごく浸透しているわけではないと感じます。

オンラインで最近は音楽がストリーミングへデジタルシフトしているんだから、オフラインのライブハウスの現場でももっと新しいカタチが出てきていいかもしれないと思って。音源を売るにしても、例えば500枚のフィジカルをプレスしてファンだけにクローズドな範囲でセールスするよりも、今やストリーミングで1日に500人の新しい人にどんどん聴いてもらって、興味を持ってもらって、そこからどうアクションをしていくかを考えるといった時代ですよね。海外のユーザーにも届けられますし。それぞれのサービスでは好きな音楽のレコメンデーションもしてくれるし、リスナーにとってそれが新しい音楽に出会う一番簡単な方法でしょう。

バンドもCDを作ってレコ発をするのもいいですけど、デジタルを上手く活用する知識と工夫も必要なんじゃないかな。意外と周りのバンドマンもけっこう知らないんですよね、『どうやったらApple MusicやSpotifyとかに自分の曲入れられるの?』みたいな。今は色んな便利なデジタルサービスがあるんだから、どんどん利用しなよって言っています。

——移行が進まない原因はなんだと思いますか?

まず「知らない、分からない」という人がけっこういる気がします。すごく良い音楽を作っているのに、それがグローバルに届いていない時とかは、単純にもったいないなと。「なんでCDだけなの?その音楽を好きになる人は世界にもっといるのに!」って。


Joshua (NEATZ) | SNSで話題に ― 日本のライブシーンに投じた海外目線のオブジェクション

——バンド以外で、現在の活動というのは?

今、僕は、株式会社Onokuwaという会社の『Onokuwa Creation』という、クリエイターの発掘から育成・マネジメント・制作までを行うクリエイターアクセラレーターとして、テクノロジーを駆使し、クリエイターの新たなビジネスモデルを生み出す事業のマーケター兼ROAという三味線ロックバンドの海外戦略マネジメントも手がけています。

ROAでは、オフラインとオンラインでストリートチームを作って、マーケティングを行なっています。今週はカリフォルニアで、来月はロンドンでライブをやります。日本のバンドはビビらないで本当にどんどん海外に出て行って大丈夫だと感じますね。音楽を届ける環境はデジタルで整っていますから。

 

前向きでクリエイティブな意見交換や議論を

——日本の音楽シーンについて改めて思うことは?

誰かが意見を言うことで、それまで口や文章にはしなくても何となく違和感を感じている人達が共感してくれたり、対話してくれたら、何かが産まれるだろうし、それが大事だと思っています。だから、これからもっと実際の音楽の現場にいるミュージシャンから、前向きでクリエイティブな意見交換や議論が起きれば日本の音楽シーンはもっと良くなるんじゃないかなと勝手に思ってます(笑)。


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写真:NISHINAKA

この記事の執筆者
THE MAGAZINE
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