mezz 新EP『mezz bunny 2』インタビュー 懐かしさと新しさを鮮やかに融合させグローバルに羽ばたくシンガー/ラッパー

インタビュー
2024.10.25

多彩な「東京」を描いたニューEP『mezz bunny 2』

——新作EP『mezz bunny 2』はいつごろから制作を意識し始めたのでしょうか。

今年に入ってすぐくらいですね。シングル曲も、最初からEPになることを想定して作りました。

——dubby bunnyさんが全曲のプロデュースを手がけています。デビュー曲「Gyal Drill」を始め数々の楽曲を手がけてきたdubby bunnyさんと再びタッグを組んだきっかけは?

やっぱり彼の作るトラックがめちゃくちゃカッコよくて好きだから。あとは自分の声とも合うなと思っていて。彼も同じことを感じてくれていたようで、自然ともう一度やりましょうという話になりました。

——EP全体を通してのテーマやコンセプトはありますか?

「東京感」。私は東京出身なんですけど、音にフッド感を出すことを意識しました。dubby bunnyさんは「とにかくリアルであれ」っていう、本当にHIPHOPなお兄さんなんですけど、やっぱり彼と曲をやる時はリアルに基づく内容にするのが信条なので。

——全5曲それぞれがハッキリとジャンル分けされていて、そのごった煮感が東京のカオス感のようにも感じられますね。

単純に色んなジャンルに挑戦したい、色んな自分を見せたいっていう思いでもあるんですけど、どの曲にも違うタイプの東京のエッセンスを散りばめています。

——サウンド面では、どのようなコミュニケーションがあったのでしょうか?

たとえば「Sober」はアフロR&Bな曲ですけど、これは私が「アフロをやりたいです」って提案したらその場でdubby bunnyさんがギターを弾いて作ってくれたビートです。でも、普段はbunnyさんが「こういうのやってみたら?」っていう提案をしてくれることが多いですね。私からするとちょっと不安なビートでも、「この音なら新しいmezzを見られるはずだから」って導いてくれます。

——今作に限らずmezzさんは多様なジャンルに挑戦している印象がありますが、トラックを選ぶときや制作を依頼する時にこだわってるポイントはありますか?

こればっかりは直感ですね。でも、この曲良いなって思う時って開始10秒くらいで分かったりするじゃないですか。だからそのファーストインプレッションは大事にしてます。もちろん、新しいものを聴かないと新しいものは作れないと思うので、日頃から新しいジャンルをインプットするように意識しています。トレンドと連動しすぎてもあざといですけど、今流行っているものには流行ってる理由があるし。その中で自分のエッセンスをどれだけ出せるかが大事なところだと思います。

——リード曲「99 Baby」はデビュー曲「Gyal Drill」の続編的な一曲とのことですが。

そもそもはサマソニに向けて作った曲で。フレッシュで、大舞台に合う曲にしたいという気持ちはありました。なので、「Gyal Drill」のような衝動をもう一度形にしたくて。

——現在のmezzさんが「Gyal Drill」を振り返ってみて感じることはありますか?

良い曲ですよね、自分でも思います(笑)。本当に初期衝動というか、ピュアな楽しいという気持ちだけで作った曲で。遊びで録って友達に聴かせたりしてたから、リリースすることも考えてなかったし。その純粋さが詰まっているのは良いことだなと思いますね。

——では、「99 Baby」は「Gyal Drill」からどのように進化したのでしょう?

「Gyal Drill」はリスナーのことをまったく考えずに作った曲だけど、「99 Baby」はサマソニで私の思いを届けようという気持ちで作ったので、向いてる方向は大きく違うんですよね。でも、ただただ楽しく作ろうというのは変わらず大事にしていて。歌詞もいつもはスマホのメモ帳に打っていくことが多いんですけど、「99 Baby」はノートにペンで書いたんです。「Gyal Drill」もそうやって書いたので。

——なるほど。そうすると実際に出来上がる歌詞も変わってきますか?

すごく変わると思います。スマホで打つと予測変換とかが出てきて、「この言葉だった!」って無意識で言葉を選んじゃったりするんですけど、ノートには自分の頭の中にある言葉しか現れないから、よりピュアな歌詞が出来るというか。

——その他の楽曲も含めて、今作のリリックで意識したことはありますか?

やっぱりリアルな内容は大事にしましたね。以前Dr.Payくんと作ったEP『Dr.MEZZ』はもっとファンタジー寄りで、それも楽しくて好きなんですけど、今回は自分の体験をベースに。あとは身近な言葉を入れること。たとえば「Bitches Outside」の“Enter ライオンをはしご”っていうのは実際に渋谷でよく遊んでるクラブ(ENTER SHIBUYA、不眠遊戯ライオン)のことだったり。

——そういった固有名詞を埋め込むことで、作品の時代性が色濃くなりますよね。今mezzさんが00年代のJ-POPに惹かれるように、mezzさんの楽曲に漂う「20年代らしさ」が未来のリスナーを惹きつけるかもしれない。

今の時代の音楽、今の私の音楽が時を越えて聴かれることっていうのは結構意識しますね。去年リリースした「NEO時をかける少女」はまさにそれを考えた曲で、使ってたiPhoneの機種「14 Pro」って言葉をリリックに入れたりして。それを未来に聴いたら、14 Proの時代だったんだってわかる。それって面白いな、時をかけるなと思って。

——改めてEPの完成を受けての率直な手応えはいかがですか?

面白いEPになったと思います。自分でも繰り返し聞いてます。
 

mezz bunny 2

mezz『mezz bunny 2』

 
——それでは最後に、mezzさんの今後の展望や目標を聞かせてください。

良い音楽を作り続けて、良いライブをやり続けること。見に来る人にとっては一生に一度のmezzのライブかもしれないですし、毎回100%で。私はおばあちゃんになっても音楽を続けていきたいので、ドカンと一気に売れるようなイメージはあんまりしてなくて、ゆるゆると「mezz良いよね」という状態をずっと続けていければと思ってます。その先に大きいステージもあれば最高ですね。

 


mezz

 
mezz
Instagram
X
YouTube

< 前へ
3 / 3
この記事の執筆者
サイトウマサヒロ
1995年生まれ、フリーのライター。インタビュー、ライブレポート、コラムなど書きます。