日本発のアーティストとして史上初の快挙 MFS「BOW」が全世界を席巻中 ― Spotifyグローバル&全米ほか各国バイラルチャート1位に 人気ゲーム新作への抜擢で残すインパクト

2022.10.20

日本のラッパー・MFSの楽曲「BOW」が、いま全世界を席巻しています。現在、”SNSで今一番話題の曲”を順位付けるSpotifyバイラルチャートで世界45の国と地域でチャートインしており、中でもアメリカ、イギリス、カナダ、ドイツ、フランス、オーストラリア、そしてグローバルでなんと1位を獲得、日本発のアーティスト、リリースとして史上初、前例のない快挙を成し遂げています。


MFS「BOW」
画像中の「#1」は1位を示す。Spotifyバイラルチャートで全世界を席巻中(画像:Spotify Charts Promo Cardより)

 
 
ラッパー・MFSとは

MFSは東京出身で、大阪を拠点に活動するラッパーです。ヒップホップコレクティブ・Tha Jointzに所属しています。ラップを始めて3年ほどのうちに2作のEPをリリースするなど、精力的に楽曲制作に取り組んでいます。日米のルーツを持ち、幼い頃からブラックミュージックやダンスに親しんでおり、そういった環境で養われたリズム感を活かしたフロウを持ち味としています。TuneCore Japanを通じて作品をリリースするインディペンデントなスタンスで活動しており、さらに、アパレルなどのモデルとしても活躍しています。

MFS

 
 
全世界を席巻している「BOW」

「BOW」は2年前、2020年7月に発表されたMFSのファーストシングル(2021年4月にリリースされたEP『FREAKY』にも収録)。当時ラップを始めて1年足らずながら、トラップのサウンドにハマった中毒性のあるフロウと独特のワードセンスが話題を呼び、ヒップホップ好きから高く評価される楽曲となりました。この楽曲のヒットをきっかけに、レッドブル「RASEN」への出演、マイクリレー楽曲「Beyond the lines」への参加、フェス「POP YOURS」への出演など、MFSはシーンでの地位を確立していっています。

「BOW」が収録されているEP『FREAKY』

https://linkco.re/9mTTDYMb

 

シングルリリースの「BOW」

https://linkco.re/bVqY6c6U

 

 
 
「BOW」はなぜバズったのか?

「BOW」はリリースから2年以上経て今年の10月16日には日本のバイラルチャート3位に浮上します。しかしそれにとどまらず、18日には初登場でアメリカ、イギリス、フランスなど各国のバイラルチャート首位に躍り出て、グローバルのバイラルチャートで1位を獲得すると言う快挙を達成します。10月18日時点では、「BOW」はSpotifyにてシングル/アルバム両バージョン総計で400万再生を突破し、MFSの月間リスナー数は53万人に達するなど、大きな数字の動きが見てとれます。

このバイラルの要因は、10月にサービスが開始されたFPSゲーム「Overwatch 2」に楽曲が使用されたことです。e-sportsでもお馴染みの「Overwatch」の新作「Overwatch 2」はリリース後10日ほどで全世界でユーザー数2,500万人を突破しています(*)。

*出典: Business Wire “A Future Worth Fighting for: Blizzard Entertainment’s Overwatch® 2 Reaches Twenty-Five Million Players in First Ten Days”

 
「BOW」は日本出身・忍術を使う巫女という設定の新ヒーロー「KIRIKO(霧子:キリコ)」のテーマソングに起用され、新ヒーロー紹介の動画においては戦闘シーンで楽曲が流れます。

 
さらに、新タイトル開始・新ヒーロー登場の当初ということもあり、ゲームのメニュー画面ではキリコの画像が表示されて「BOW」が流れるようになっているなど、キリコを使用するしないに関わらず、プレイヤーのほぼ全員が「BOW」を一聴することになっているようです。

この大々的な起用が「このラップは誰の曲だ?」と話題を呼び、バイラルヒットに繋がっています。YouTube上で「kiriko song」などで検索すると、「BOW」を紹介する動画が複数あり、合わせて数百万回の再生数となっています。

 
 
インディペンデントが世界のトップになる時代

MFSは「Overwatch2」での起用をきっかけに一躍世界でもその存在を知られることになりました。これは決して偶然ではなく、そもそもの高い楽曲のクオリティがあってこそ、ゲームの制作チームの目に引っかかり、プレイヤーの耳に残り、バイラルヒットに繋がったのは間違いありません。MFSはもともと日本国内でそのスキルやスタイルは高く評価されていましたが、このバイラルをきっかけに、日本を代表するラッパーの1人として海外から認知されていくかもしれません。国内外での今後の動きに期待したいところです。また、インディペンデントで活動していても、大規模なゲームでの起用をきっかけにグローバルなヒットを生み出すことができたという事例は、多くのアーティストのモチベーションになると思われます。新たなグローバル・バイラルヒットを生み出すインディペンデント・アーティストが登場する日は近いうちにまた訪れるかもしれません。

なお、MFSは先日10月15日にもニューシングル「FIRE LAND」をリリースし、こちらも早速再生を伸ばしています。

MFS「FIRE LAND」

ビートプロデュースは、 オサカUG、“梟の森”、“M-13 RECORDS”から DJ SOOMA a.k.a SAMPLING SNIPER。ありそうでなかった組み合わせだが相性は抜群。 “SOOMA節”全開の、 脳を揺らす極太ベースが癖になる 粘度高めのトラックの上を フリーキーなフロウでMFSが悠々闊歩。 随所にウィットを効かせつつ 「妬み嫉みは勝手にどうぞ」と あくまで我が道をゆくスタンスで 無邪気な貫禄をkeep on。 これが新たな火付け役。

https://linkco.re/T8ganm29

 
 

MFS
https://lit.link/mfs
https://mfs2020.thebase.in/
https://www.instagram.com/mother_fuckin_savage_2020/
https://www.tunecore.co.jp/artists/mfs2020

この記事の執筆者

hzm

アップカミングなアーティストを取り上げるプレイリスト「イツマデモフレッシュ by Coming Freshers」のキュレーターの一員として活動。稀にDJも。

https://twitter.com/HaZZ_0901