Sweets― 美しいピアノと力強いボーカルが絡み合う極上のポップ・ロック(今月のおすすめ)

コラム・特集
2023.4.4
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【特集】おすすめバンド

Sweets

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今回紹介するのは、大阪の新鋭バンド・Sweets。2022年1月の初ステージ以来、大阪や京都のライブハウスで精力的なライブ活動を展開しています。公式SNSによると、現在のメンバーは木谷凌介(Vo.)、松崎和輝(Gt.)、佐野薫樹(Key./Ba.)、水登裕貴(Dr.)の4名。バンド名には、「子供から大人までを虜にするSweetsのような音楽を」という意味が込められているそうです。

記念すべき初ライブで、VaundyやBUMP OF CHICKENのコピーと共に演奏されたオリジナル曲「call」。2022年9月3日に配信された同楽曲が、サブスク初の音源となっています。

Sweets「call」

Sweets「call」

 
「call」は、初めての音源とは思えないクオリティで、ポップスとロックの美味しさをどちらも余すことなく取り入れた楽曲。木谷の力強くもどこかに儚さを感じさせる発声は、Galileo GalileiやBBHFで活躍する尾崎雄貴(Vo./Gt.)を彷彿とさせます。彼の伸びやかなハイトーンが、開放的なサウンドと共に放たれるサビでは、筆舌に尽くしがたいカタルシスを味わうことができます。サビ後半での、ドラマチックなコード進行も印象的です。

公式YouTubeでの説明によれば、楽曲のコンセプトは「自然」。彼らは、ゆったりとしたリズムとオーガニックなギターサウンド、さらにはレインスティックの音色を取り入れることで、このコンセプトを見事に形にしています。ヘッドフォンで聴きながら目を閉じると、深い森を流れる渓谷が瞼の裏に浮かび上がりますね。

また、「call」を語る上で欠かせないのが、佐野による美しいピアノの旋律。特に、3分20秒から約1分間に渡り繰り広げられるピアノソロでは、ジャズやクラシックなどの素養を感じさせつつ、バンドの演奏と手を取り合って、楽曲の世界観にマッチした演奏を響かせます。

ライブハウスで拳を掲げながら楽しむというよりは、コンサートホールの座席に深く腰を掛けてじっくりと味わいたくなるような「call」。6分という長尺で、間奏もたっぷりと聴かせる同楽曲は、短くてインパクトのある楽曲がチャートを賑わせている今日のトレンドからは、ある意味逆行しているかもしれません。しかし、情報の洪水の中で慌ただしい毎日を生きる現代人こそ、この楽曲の優しく穏やかな世界に浸ってほしいと思います。

 
4月2日には、待望の新譜「二人花火」をリリースしたSweets。これからより幅広い舞台で活躍するであろう彼らの動向を、今後もお見逃しなく。

Sweets「二人花火」

Sweets「二人花火」

 
(文・サイトウマサヒロ)

 

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