【Who’s NXT】mashoe’ |「つい身体を動かしてしまいたくなるような音楽を作る」ルーツ・ミュージックをモダンに昇華させるR&Bシンガー
Who’s NXT : A series of interviews with featured artists
mashoe’
神奈川県出身の男性R&Bシンガー。15歳の頃にギター演奏を始め、翌年からライブ活動を開始、音楽活動を本格化させ、2018年よりmashoe’名義での活動をスタート。現在はボーカルとキーボードを演奏するトラックメイカーとして活躍の幅を広げている。
R&B、HIPHOP、JAZZ、SOUL、FUNKなど、モータウン・ミュージックやディスコ・ミュージックをルーツとしたダンサブルな作風が特徴的であり、トラックメイカー兼エンターテイナーとして、非凡なセンスと確かな実力を兼ね備えている。Stevie Wonder、J Dilla、The Brand New Heaviesなど、各ジャンルで黄金時代を築き上げた名実ともに最高峰の面々をフェイバリット・アーティストとして挙げており、その影響は自身の楽曲に色濃く反映されている。コンテンポラリーR&Bの洗練された和声感による都会的な色彩を帯びたコーラス・ワークや、ソウル・クラシックの直感的かつ肉体的なグルーヴなど、ルーツ・ミュージックをモダンに昇華したサウンドを持ち味とする。
2020年代の日本の音楽シーンにおいて頭角を現し、圧倒的な飛躍を見せるであろう注目のアーティスト。
——まずmashoe’さんが音楽に興味を持ったきっかけを教えてください。
元々歌うことが好きで。中学まで野球をやってたんですけど、事情があって辞めて何しようかなって悩んでた時に、両親も少し音楽をかじってたんでたまたま家にギターがあって。それでやってみようかなってなりましたかね。
——本格的に作曲やライブ活動をするようになった経緯というのは?
ギターを弾いていく中で弾き語りという形になっていったんですけど、自分の声が元々低いのもあって全然うまく歌えなかったんですよ。それなら自分で歌いやすいメロディを作ってしまおう、ってなったのが作曲の動機で(笑)。だんだん曲数が増えていった時に、このままアウトプットしないのはもったいないのかな、って思ってライブ活動をはじめました。
——現在どの辺りを中心に活動していますか?
主に東京のR&Bやソウルのシーンで活動しています。
——ライブはどれくらいの頻度で行っていますか?
最近は月に一度くらいのペースでやってますね。直近だと12月15日に渋谷Star Loungeでアルバムのリリースイベントがあります。
——最新作とその聴きどころをご紹介いただけますか。
12月11日に1stアルバム『GROOVOX』をリリースしました。
その中でまず1曲目の「Midnight Dancing」はアルバムのリードトラックで、ライブでも常に好評の楽曲ですね。80’s R&Bのサウンドをルーツに、いかにモダンに仕上げるか、というテーマでサウンド作りをしていく中で一つの形になった楽曲になったかなって思ってます。ライブハウスで演奏していると、どうしても後ろで腕組みで聴いている人って出てきてしまうもんなんですけど、そんな人たちをも自分のムーブメントに連れていけたら!という一心で作った楽曲です。1曲目からぶち上がれると思います(笑)。
mashoe’ – midnight dancing【Lyric Video】
「City Walk」はアルバムの2曲目に収録されていまして。タイトルの通り都会の真ん中を堂々と歩くイメージで作りました。僕もそうですけど、知らない土地にいきなりポイっと放り出されて、失うものなんてないじゃないですか(笑)。それなら、たとえ靴紐が解けたって放っておいて、我が道を行けよ、ってメッセージのある前向きな曲だと思います。サウンドはジャミロクワイやブランニューヘヴィーズのようないわゆるアシッドジャズ的なビートと、フランクオーシャン等の浮遊感のあるシンセサウンドを自分なりに融合して落とし込めたらな、という意識で作りましたね。
mashoe’ – City Walk【Lyric Video】
あと10曲目の「Rough & Tough」は必聴ですね。とにかく聴いて欲しいです。アルバムを出すにあたって納期が迫っていた中で最後にできた楽曲なんですけど、これはやばい!と(笑)。日々凝り固まった様々なストレスもtake it easyって言い聞かせたらなんとも無くなったんです。だから僕にとっては魔法のような曲のイメージですね。自分で言いたくないですけど(笑)。僕のトラックにしては音数が多い方ではないのですが、今流行りのチルいノリなので、みんなでゆるくノレる曲になっています。それからサビがキャッチーなので、ライブでみんなと歌いたいですね〜。
——mashoe’さんは楽曲の制作はどのようにされていますか?
環境は実家の自室の2畳半くらいのウォークインクローゼットに機材を置いて制作していますね。プロセスはまず頭でイメージしているビートを組んでから、8小節のループでどんどん肉付けしていっちゃいます。そこがサビみたいな部分になることが多いので、そこから膨らませて作っていく感じですかね。
——mashoe’さんはご自身のどういったところが音楽的な特徴だと思われますか?
んー、何だろう。やっぱり声ですかね。よく周りからも言っていただくことが多いですし。
——その声の魅力をひとことで伝えるなら?
自分で言うのすごく恥ずかしいんですが(笑)、言うならば、力強いけど寄り添うような声っていうか。元々歌謡曲が好きなこともあって、そのような歌い回しのエッセンスと、ソウルフルな歌い方をうまいこと掛け合わせれたらな、と思って歌ってます。
——mashoe’さんが影響を受けたアーティストは?
Stevie Wonderは僕がピアノを弾いて歌うきっかけになったミュージシャンです。心身の不調でギターが弾けなくなってしまった時期にたまたま彼のライブの映像を見て、シンプルに感動しちゃって。何て楽しそうに演奏するんだ!!と。小手先の技術は抜きにして、とにかく楽しんでるんですよ。それまでギターを弾いて活動していく中で、いろいろな悩みや葛藤が交差してたんですが、音楽の本質と向き合えたような気がして。こんな風になりたいな、って思って1年半くらい前から鍵盤を始めたんですけど、アナライズしていけばいくほど、ますます彼のやっていることがとんでもないことだと気づいていきました(笑)。やっとの思いで何とかコピーできたのが『Don’t You Worry ’bout a Thing』でしたね・・・(笑)。
あとはPrinceですかね。彼の影響は間違いなく大きく受けていると思います。僕は彼の楽曲たちが本当に大好きで、ベタですが『Prince』は死ぬほど聴きました。ファンク的なビートを当時のモダンサウンドに自ら昇華していくのってすごく自分と重なった部分があるというか、そういう意味でもリスペクトしていますね。この2人に今のスタイルの基礎を作ってもらったと言っても過言ではないです。
——楽曲でいうとどういった曲から影響を受けましたか?
Michael Jackson – Rock With You
いきなりめちゃめちゃベタですが(笑)。僕が今やってるようなジャンルを好きになったきっかけの楽曲ですね。最初に聴いてとても興奮したのを覚えてます。こんなにイケてる音楽がこの世にはあるんだ!って。そっからアルバムディグったりしてどっぷり浸かり始めました。今聴いても心地よいのって何でなのかな〜って永遠に問い詰めてます(笑)。
Donny Hathaway – Trying’ Times
これもモータウンからなんですけど。冒頭からとにかくえげっつなくカッコいいんですよ。僕もこんな声欲しかったなあというか、憧れというか(笑)。シンガーとしてめちゃくちゃリスペクトしているダニーの歌心に感銘を受けた一曲ですね。
D’Angelo – Playa Playa
これまで70’s、80’sしか聞いてこなかった僕に先輩が勧めてくれたんですけど、一瞬で虜になりました。どんなことをなし得た人間がこのようなグルーヴを創れるのかと。僕にはまだ遠く及ばないです(笑)。
Mac Miller – What’s The Use?
僕の今目指す浮遊間のあるサウンドという点でとても影響を受けています。この曲に限らずマックの楽曲は全部好きで音作りの参考にしています。
bLAck pARty – Bloom
最近一番聴いている楽曲です。彼のプロデューサーがFlwr Chyldという方なんですが、このサウンドもめっちゃイケてて参考にしていますね。
Mac Ayres – Easy
この曲もヘビロテしてます。とにかくメロディが綺麗なんです。ノリはNeo Soul的なんだけど、メロディがどことなく日本人にも馴染みやすい気がするんです。メロディに対して柔軟に考えれるようになった楽曲ですかね。
Illa J – DTW
僕はJ Dillaの曲も好きなのですが、そこまでのめり込むほどではなかったんです。で、ある時に弟がいるんだぞ!という情報を耳にして思わず調べたら本当にいたのでびっくり。そして楽曲を聴いて見たら、兄貴のより好みでした(笑)。当時のエッセンスを散りばめつつ今風に分かりやすく仕上げてくれているのと、何よりフックがキャッチーで気持ち良いですね。
——音楽活動にあたって何か特に意識していることはありますか?
どこにいてもつい身体を動かしてしまいたくなるような音楽を作るのがテーマです。今ってどこでも音楽が聴ける時代になって、様々な種類の音楽と触れ合えるようになって。そんな良い時代に黙って聴いてるだけじゃつまらないだろう、と。完全に僕のエゴですけど(笑)。『ブルース・ブラザース』って映画が好きで、そのワンシーンで神父役のJames Brownが歌った瞬間みんなで歌い踊り出すんですよ。この光景がめちゃくちゃ素敵で。こういうのが日本にも、どこにでもあって良いと思うんですよね。だから常に身体を動かしたくなる音楽を突き詰めてます。
——『ブルース・ブラザース』といえばRay CharlesやAretha Franklinの出演でも有名ですが、特に影響を受けた80’sをはじめオールディーズにまで興味を持ったきっかけは?
ギター弾き語りでライブしていた頃、良くしてくれた先輩がある日僕に「お前の音楽はつまらない!」って言ってくれたんですよ。その後にこれ聴け!ってStevie Wonderの『Superstiton』を聴かせてくれて。これヤバすぎる、ってなってそこから色々ディグってったのがきっかけですね。そんな中で見つけたのが『ブルース・ブラザース』という映画でした。
——mashoe’さんがリスペクト、あるいはその活動に共感するアーティストはいますか?
自らトラック作って活動されてる皆さんは常にリスペクトしてますね。一日の生活サイクルとか知りたいです(笑)。
——現在の音楽を取り巻く状況について、何か感じることはありますか?
僕が口出しするのは大変おこがましいとは思うんですけど、僕がやってるジャンルに関して言えばめちゃくちゃ活動しやすいムーブメントになってきたと思っています。色んなエッセンスを取り入れて自由にやれるようになってきましたし。僕もアルバムリリースでようやく片足を突っ込むことができたので、ここから頑張りたいなと思います(笑)。
——今後の活動の展望や予定は?
個人の活動としては、コンスタントに音源をリリースしていくつもりでいます。ちょっとHipHopっぽいグルーヴにも挑戦してみたいですし。それからゆくゆくは大きなフェスに出てみたいな〜と思ってます。25歳までには出てみたいですね(笑)。後はラッパーやシンガー、トラックメイカーの方などと一緒に曲作ったり、人と一緒に色んなことをやってみたいです。
——最後にリスナーにメッセージをお願いします。
12月11日に1stアルバム『GROOVOX』がリリースされました。mashoe’として活動してきた1年の集大成のようなアルバムになったので、色んな人たちとシェアして、色んなところで歌って踊ってください。これからもラフにタフにやっていきますので、応援よろしくお願いします。
『GROOVOX』 各配信ストア : https://lnk.to/GROOVOX