【ライブレポート】轟く雷鳴も奇跡の演出に!超スーパースターの階段をのぼるSKRYUが豪雨の野音で刻んだ新たな伝説【SKRYU OneMan Live 2024 -All In One- 日比谷公園大音楽堂】(写真多数あり)

2024.7.10


SKRYU OneMan Live 2024 -All In One- 日比谷公園大音楽堂

SKRYUが7月6日、東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)にてワンマンライブ『SKRYU OneMan Live 2024 -All In One- 日比谷公園大音楽堂』を開催した。

2023年8月に東京・代官山UNITにて初のワンマンライブ『-Transform- in TOKYO』を開催し、今年2月の東京・Spotify O-EAST『-Emergence- in TOKYO』、そして今回の日比谷野音と、キャパシティを倍々に膨らませる快進撃を続けるSKRYU。

豪華ゲストとともにスターダムの第一歩を華やかに踏み出した『-Transform-』、打って変わって客演ゼロのストイックなステージでソロアーティストとしての地肩の強さを示した『-Emergence-』に続く本公演には、『-All In One-』(=全部盛り)のタイトルを冠した。バイラルヒットを連発し大いにスケールアップしたこの一年超の活動を総決算するのに相応しい舞台を、ジャパニーズ・ヒップホップの聖地たる日比谷野音に定めたのである。

開催2ヶ月前に早くもチケットがソールドアウトし期待が高まっていたこの日は、あいにくの雨予報。さらに開演直前の17時ごろには会場近辺が強烈なゲリラ豪雨に見舞われ、絶え間ない雷鳴も轟いていた。

 
開催が危ぶまれるほどの悪天候に不安を抱えながら開演を待ち侘びる来場者に向け、SKRYU自身が公演の注意事項をアナウンスする。続けて声を詰まらせながら「カッパを着て待ってくれてるみんなの姿を見て、本気で、死ぬ気で歌おうと思った」「ブチかますから、あとで会おうぜ!」と率直な思いを投げかけると、拍手と歓声がそれに応えた。もうここまで来たら、伝説の証人になってやろう。そんな一蓮托生の思いが、ずぶ濡れの客席に静かな一体感を産んでいく。

 
シャワーを浴びているかのような強い雨が止まぬまま幕を開けたライブは、5th EP『Emergence』のオープニングトラック「Heated」からスタート。スモークと火柱が立ち上るステージにこの日終始ライブを盛り上げたshootshimada(スーパー島田ブラザーズ)、KIGHT、AYACHOM、Mago$oraの4人のダンサーを引き連れて登場したSKRYUは、「雨の中待ってくれた分、ブチ上がろう!」とアジテートすると、なんと自身の情熱的なダンスを交えながら文字通り会場を温めていく。続く「Midnight Marauders (NEOWN Remix)」ではフックに突入すると同時に雷が鳴り響いたのだが、そのできすぎたタイミング故に大胆な演出かと錯覚してしまった。神の悪戯さえ追い風に変えてしまうSKRYUの姿に、早くもライブの成功を確信したのは筆者だけではなかったはずだ。

 
同じく華麗なダンスを披露した「Like Water For Chocolate」に続いて「Pichi Pichi (Remix)」ではGIPPER、「爆咲羅針盤 (Over Remix)」では太心、「MUNASAWAGI」ではSUB-Kと、ライブ序盤はSKRYUがキャリア初期から憧れ影響を受けてきたフッドスターや仲間たちが次々に登場。「あの日あの人に心を鷲掴みにされたように、今日は俺がみんなの心を鷲掴みにする番」という言葉に導かれた熱くハードな「Tsukami (Remix)」では、SKRYU曰く「俺に銀行を辞めさせた男」ことDisryを迎える。彼の「この歴史を見逃すなb-boyz」というラインに、この日だけの特別な意味を見出さずにはいられない。

GIPPER
太心
SUB-K
Disry

 
6月5日にリリースされた4thアルバム『SCROLL』にてよりダンサブルでフロアライクに生まれ変わった「Real My House (Dance Remix)」のラストバースでは、サングラスをかけノリノリで両手を振る女性と、どこか所在なげな男性がステージに。二人がSKRYUのReal Familyこと父と母であることが明かされると、温かい笑いと驚きの声が思わず漏れる。そして、マイクを預かったSKRYUの父が「みなさんにご挨拶をさせていただきます。みなさん、“おはようございます”」と囁くと、そこかしこから悲鳴にも近い歓声が。説明不要のアンセム「How Many Boogie」の幕開けだ。

父と母を紹介するSKRYU
SKRYU父と

 
さらに、大合唱のフロアへと続け様にバウンシーな「居酒屋 (Remix)」をドロップ。徳利とvalkneeがゲストに招かれ、それぞれ個性抜群のバースを炸裂させる。

徳利
valknee

 
足元の水たまりを沸騰させるようなヒットチューンの連打に息を切らしながらも、「もう一段階、いや、もうHaaan段階上がれるってヤツ、どんくらいいる?」と煽り立てるSKRYU。「Haaaan!!」で客席を「左Haaaan」と「右Haaaan」に分けたコールアンドレスポンスをバッチリ決め、最高潮の盛り上がりのままライブ前半を締め括った。

 
やや雨足の弱まってきたころに再登場したSKRYUは、「こいつと飲むとロクなことにならないマイメン」だというRude-αとの「缶 Make All」から後半戦をキックオフ。「ハイブランド」ではオーディエンスが濡れた身体を乾かすようにタオルを回す。そして、GADOROのタイトなライミングが痺れる「Grand Prix (Remix)」、CHICO CARLITOが「今日のSKRYUのライブはマジで伝説の証拠!」とラップした「Desert Dreams (Remix)」と、さらにT-STONEを加え三者三様の故郷への思いを綴った「SUDACHI (Remix)」が、雨も止み日が沈む日比谷野音にエモーショナルなムードを加えつつ、真紅のジャケットプレイで魅了する「超 Super Star」、キッズダンサーも加わりハンドルを切る振付で会場を一つにした「Screw Driver」と、SKRYUらしいユーモアとハッピーなバイブスも損なわないまま、クライマックスを駆け抜けていく。

Rude-α
GADORO
CHICO CARLITO
T-STONE
キッズダンサーも登場
バックDJをつとめたchaka

 
再会を誓う一曲「頃合いのいい頃に」をリスナーひとりひとりに語りかけるように目配せしながら披露すると、この日最後のMCへ。「今日の一番の勇者は、紛れもなくお客さんのみんなです」「今まで見てきた景色の中で、一番良い景色かも知らん」と、この日何度も口にしてきた感謝の思いと喜びを改めて噛み締める。ラストを飾った「Mountain View」では、オーディエンスがスマホのライトを掲げ、嵐の過ぎた日比谷の夜に星を輝かせた。アウトロでSKRYUはマイクを通さずに「ありがとう!」とシャウト。客演アーティスト・ダンサー一同との写真撮影を終えると、「次はツアーで待っとってくれ!」というさらなる期待に胸が膨らむ一言とともにステージを後にしたのだった。

SKRYU OneMan Live 2024 -All In One- 日比谷公園大音楽堂

 
初期楽曲をリメイクした4thアルバム『SCROLL』、多彩な客演陣とともに代表曲をアップデートした5thアルバム『Element』の収録曲を軸に、これまでの軌跡と成長を遂げた現在地、そして未来への無限の可能性をすべて詰め込み、ラップに歌にダンスにとまさに『All In One』なショーを完遂したSKRYU。彼が「超 Super Star」歌唱前に宣言した「目指すのはただのスーパースターじゃない。俺は必ず超スーパースターになる男だ」という言葉は、決して大言壮語ではない。逆境も飲み込みドラマの一部に変えてみせるこの日のステージには、それだけの説得力が宿っていた。

(文:サイトウマサヒロ、写真: Fumi、JUNYA S-STEADY)

 

終演後、楽屋で喜びのジャンプ!

 
SKRYU OneMan Live 2024 -All In One- 日比谷公園大音楽堂 セットリストプレイリスト

 

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