邦ロック特集「Monthly Core-Rock!! Select by 遊津場」#1【リュベンス、ポンツクピーヤ、CRYSOON、カライドスコープ、THE 118’s、灰かぶり、はにかんで春、BéAR、イヌモアルケバ & Paper moon Endroll、OKOJO】
“先取り邦ロック”を武器に音楽ライターやイベント企画で活動する遊津場が、その月に気になった邦ロック楽曲を10曲セレクトします。
「若手が中心となるので、新たな発見があるはず!あなたをコアな邦ロックリスナーにさせてみせる!」と遊津場は息巻いてるとか何とか。
以下、セレクト楽曲を遊津場が解説。本記事の解説とともに、セレクト楽曲をまとめたTHE MAGAZINEのプレイリストもお楽しみください(毎月更新)。
#1 セレクト楽曲(2024年12月2日更新)
1. リュベンス「泣いてみたくなった」
セレナ(Vo.Gt)が「アドベントカレンダー的なワクワク感のある」と発信するのも納得の様々な側面を感じる新作EP『murmur』から。どこか懐かしい80年代〜90年代のスタジオジブリに出てくるヒロインが歌ってるかのようなピュア感。バンド演奏ならではの音の紡ぎ方にはこだわりも感じる。1月24日には新代田FEVERにて初のワンマンライブを開催します。バラエティ豊かな楽曲達ゆえ、曲順がとても気になる。
2. ポンツクピーヤ「ロンリー」
6月のワンマンライブ、先日の東名阪ツアーも大成功した京都のスリーピースロックバンド。大人になってもカーストに1人で勝手に囚われている歌詞がリアル。それを爆音ポップで曝け出す俺らの姿を見て、カーストなんか気にせず大人になったアイツらも、まとめてブチ上げてしまえ。そんなどうしようもない1人1人の思いから生まれた束の間の逆襲ロックンロールが鳴り響く。
3. CRYSOON「FEELING」
平均年齢21歳の大阪のスリーピースロックバンド。関西でもライブバンドとして評価が高い一方、熱量だけではない楽曲の構成力の高さにも定評がある彼ら。この曲も言葉の置き方やスピード感の巧みなバランスによって、聴いてるだけで場面の遠近や心の浮き沈みを感じさせる。聴きどころが多くて何回も再生してしまうことを間違いなし。CRYSOONの幅を広げた1曲。
4. カライドスコープ「ずっきゅん♡」
京都発ツインボーカルはちゃめちゃロックバンド。擬音のリズムをそのまま活かした歌詞を、軽快なパンクのリズムに乗せ、隙のないツインボーカルで歌うことで、思わずこっちも内からラブが溢れていく。でもハッとさせる歌詞も随所にあり、おとちゃん(Ba.Vo)とニイナ(Gt.Vo)はそのうち女子が恋愛相談をしたいバンドマン1位に輝くのではないだろうか。
5. THE 118’s「空は星が降ってる」
「yamai rock(病ロック)」を掲げる、百合(Vo.Gt)によるソロプロジェクト。全国の「あたし」の力となる中毒性。ハードなサウンドメイクと凛とした力強さが共存する曲が特徴というイメージがある中で、夜明け前のまだ何も染まってない新鮮な空気がパッケージされていて新しい側面を感じた。新年や新年度を迎える日の前夜にも合うと思う。女子大のCMにどうだろう。
6. 灰かぶり「暗転の果て」
東京の4人組ボーダレスポップバンド。坂根涼太(Vo.Gt)のセルフライナーノーツによると「ロックバンドへの敬愛を込めた曲」。ライブハウスで受け取ったものを、今度はこの4人がメッセンジャーとして、あなた1人1人に丁寧にも、ロックバンドの衝動さも忘れず伝えていく曲で、まだ灰かぶりを知らないあなたも包みこまれるはずです。12月21日にSpotify O-nestにて初ワンマンライブを開催。
7. はにかんで春「汗ばんだ。」
曲名通り、穏やかに体温が上昇させる曲。この曲が街のスピーカーから流れたら、間違えて桜も咲いてしまう。もうそれでもいっかと思わせてしまう、優しくも力強いサウンドと赤田あつき(Vo)の「本当に大袈裟じゃないんだ」と思わせる正直な歌声。河川敷で腰を降ろしてお茶をすすりたい。直感だが、外国人にもそう思う人が増えそう。意外な国でプレイリスト上位に入らないかな。
8. BéAR「青藍の泡沫」
20歳の音楽のできるクマさん。初配信作『ノーワンナップ人生論』は早耳リスナーに話題となり、待望の2作目はガラッと変わった意欲作。ジャケット画像がもう壮大なスケールでハードルが上がるが、曲を聴いて納得。深海生物も、古代生物も、神話に出てくる生き物も目覚めそうな無垢な少年の歌声とサウンド。バンドではありませんが、恐らくそういうジャンル分けは関係ないアーティストになるでしょう。
9. イヌモアルケバ & Paper moon Endroll「SASHIMUKAI」
関東拠点のロックバンド2組によるコラボ曲。現在進行系で下北沢を感じるバンド同士による、がっぷり四つなコラボは珍しい。そのタイトルのように、どの方向を向いても正面から鍛え上げられた爽快なバンドサウンドを浴びることができる。ライブハウスでやってきたバンドだからこそ説得力のある地道な足跡をイメージさせる歌詞は、自分の中の大切にするものを改めて気付かせてくれる。
イヌモアルケバ & Paper moon Endroll「SASHIMUKAI」
10. OKOJO「ラブソング」
数々のラブソングを生み出したOKOJOが遂にこのタイトルを付けた楽曲は、疾走感のあるロックチューン。体一つ、声一つで向かっていく情景はリスナーにもしっかり勇気を与える。先月活動休止を発表。ただ、まつした(Ba.Vo)は「良いラブソングをこしらえて、また戻ってきます」とのこと。年内のワンマンに行ける人は行って、ゆっくり待とう!
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