フォロワー12万超え、楽曲紹介系TikToker「選曲中_」が語る“音楽とバズ”のリアル
TikTokで12万人を超える(2025年8月現在)フォロワーを持つ楽曲紹介アカウント「選曲中_」。このアカウントをきっかけにバズった楽曲は数多く、新たな音楽との出会いを日々TikTokを通じて提供しています。その中には多くのインディペンデントアーティストも。そこで今回、「選曲中_」の中の人に活動をはじめたきっかけや楽曲紹介を続ける理由、TikTokでの楽曲紹介の現状、そして“バズ”の裏側について語ってもらいました。
音楽紹介が“日常”になったきっかけ
――まず、TikTokで楽曲紹介を始めたきっかけを教えてください。
もともと音楽が大好きで、学生時代から有名・無名、邦楽・洋楽問わずいろんなジャンルを聴いていました。大学を卒業して社会人になってからも、仕事の休憩時間や帰宅後に新しい曲を探すのが日課で。オタクですね(笑)。それで、2022年の春、ふと「この曲、もっと多くの人に知ってほしいな」と思ったのがきっかけです。最初は趣味の延長で、気軽な気持ちでTikTokに投稿し始めました。今も普段はIT企業で普通に働いています。
――最初から反響は大きかったのでしょうか?
全然そんなことはなくて(笑)、最初の1か月くらいは再生数もほんの数百回。ですが、続けていくうちに少しずつコメントや「いいね」が増えてきて、「この曲、初めて知りました」「この曲好きです!」といった声をもらえるようになったんです。それがすごく嬉しくて、気づいたら毎日投稿するようになっていました。当時は今ほどTikTokで音楽を紹介する人は多くなかったんですけど、それでも人気の方もいらしゃったので、見よう見まねでかなり試しました。それこそショートムービーのような凝ったものを作ったり。でも、だんだん時間的にも気持ち的にも苦しくなっちゃって。それで、自分のできる範囲で無理なく、でもできる限り長く続けようと見直した結果、いまのカタチになりました。
“バズ”のリアルとPDCAの積み重ね
――一番最初にバズった投稿、楽曲というのは?
やっぱり高瀬統也さんの「どうして」です。それまではある程度数字はいくけど、まぁこんなもんかと思いながら毎日やっていたら、ある日「どうして」をメインにした投稿の視聴がすごく伸びたんです。本当にびっくりしました。その後調べたら「どうして」は、チャートにもたくさん入ったことを知って。もちろん私の投稿だけが原因じゃなくて、高瀬さん御本人、そして曲自体が本当に素晴らしいですし、たくさんのことが複雑に影響しあってヒットされたのだと思いますが、それでもほんの少しだけですがお役に立てたのかもしれないと思ったら、大げさですけど泣けるくらい嬉しくて。
@senkyokuchu #切ない曲 #泣ける曲 #切ない恋 #ねぇ #どうして #センチメンタル・キス #歌詞動画 #曲紹介 #プレイリスト #おすすめ曲 #失恋ソング ♬ オリジナル楽曲 – 高瀬統也 – Takase Toya
――TikTokで楽曲紹介がバズるコツはありますか?
正直、バズる法則は今でもよく分かりません(笑)。ただ、投稿ごとに細かく分析はしています。仕事柄そういう専門性を持ち合わせているので、例えばTableauを使ってTikTokインサイトより細かいデータ分析をしてPDCAを回し続けています。とはいえ、そういうのはある種のテクニックに過ぎないですし、今のフォーマットも限界があるのは分かっていて。やはり音楽の本質はもっと情緒的なものだと思うので、曲を聴いて自然と動く感情、みたいなものが本当に一番大事だと考えています。私がやっていることは、あくまでアーティストさんや曲と誰かが出会うちょっとした装置のようなものに過ぎないと自分では思っていて。視聴の数字にしても以前ほど一喜一憂することはなくなりましたし、有名インフルエンサーになりたいとかは全く考えていません(笑)。気になるとすれば、自分のアカウントをチェックしてくれる人が増えれば増えるほど、紹介する楽曲が人に届く確率はアップすると思うので、ある程度のスケール感は意識しています。
――うまくいかなかった例をあげるなら?
これは恐らくTikTokのアルゴリズムによるものと思いますが、同じ投稿をするのは控えたほうがいいような気がします。既に出ている、あるいは出ていたものと重複する投稿は、アルゴリズムでいわゆるパクりと判定される可能性があるんじゃないでしょうか。なので、私も投稿した後に修正したいところに気付いたとしても、削除するかそのままにするようにして、アップしなおすことはないです。
――TikTokのアルゴリズムや流行の変化は感じますか?
それはすごく感じます。TikTokはアルゴリズムのアップデートも多いようなので、同じやり方を続けていても急に伸びなくなることも。逆に、予想外の投稿が急にバズることもあって。あと、最近もそうですけど急に海外のユーザーさんにすごく見てもらえたりコメントいただく時期があったり。だからこそ、日々の分析と柔軟な対応も大事だと思っています。