邦ロック特集「Monthly Core-Rock!! Select by 遊津場」#9【わたしたち、ボウリングパーティ、アダムとイヴ、岡村丁寧、猫は液体、PURIKURA MIND、THE KING OF ROOKIE、月と徒花、t.r.a.n.e、揺らいで凪】

コラム・特集
2025.8.1
邦ロック特集「Monthly Core-Rock!! Select by 遊津場」#9【わたしたち、ボウリングパーティ、アダムとイヴ、岡村丁寧、猫は液体、PURIKURA MIND、THE KING OF ROOKIE、月と徒花、t.r.a.n.e、揺らいで凪】のサムネイル画像

“先取り邦ロック”を武器に音楽ライターやイベント企画で活動する遊津場が、その月に気になった邦ロック楽曲を10曲セレクトする【Monthly Core-Rock!! Select by 遊津場】。

「若手が中心となるので、新たな発見があるはず!あなたをコアな邦ロックリスナーにさせてみせる!」と遊津場は息巻いてるとか何とか。

以下、セレクト楽曲を遊津場が解説。本記事の解説とともに、セレクト楽曲をまとめたTHE MAGAZINEのプレイリストもお楽しみください(毎月更新)。

 

#9 セレクト楽曲(2025年8月1日更新)

 
1. わたしたち「もったいない」


わたしたち「わたしは」

山口県宇部市発5人組すっごくキュートなアバンギャルディロックバンドの1st EP『わたしは』から。全国15箇所のリリースツアーも行い、9月28日にはワンマンライブも開催します。

伸び伸びとした元気さの中に、しっかりとしたメッセージがあり、心の底から救われて笑顔になると思います。サーキットフェスに出たら、一気にファンが増えるタイプでしょう。

わたしたち「もったいない」収録のEP『わたしは』

 
 
2. ボウリングパーティ「愛されてみたい」


ボウリングパーティ「愛されてみたい」

飾らない等身大の歌は共感値が高く、9月6日に結成5周年記念ライブを遂にボウリング場で行うスリーピースロックバンド。ちなみにMVもボウリング場で撮っています。

この曲もついついしてしまう意味のない逡巡の中に隠された本音が、リスナーの記憶を刺激して確実に刺さってきます。通勤中、電車の中吊り広告を見る度に思い出してほしい曲です。

ボウリングパーティ「愛されてみたい」

 
 
3. アダムとイヴ「空」


アダムとイヴ「Your own HERO」

こちらは現在25箇所を巡るリリースツアーを敢行中。その後にもスプリットツアーが決まっていて、ライブバンドの輩出が増えている石川・金沢においても特筆すべき存在と言えるでしょう。

その1st mini albumはロックバンドの強さと不器用な優しさがジューシーに詰まっています。いつ聴いたって出来立てのガツンとした熱さと旨味が押し寄せるでしょう。その中でもこの曲は特別感があります。

アダムとイヴ「空」収録のミニアルバム『Your own HERO』

 
 
4. 岡村丁寧「友達はエンターテイナー」


岡村丁寧「友達はエンターテイナー」

あなたの生活にささやかなユーモアを届ける21歳。この曲は誰もが一度は聴いたことあるサウンドに乗せて、本人が今まで出会った面白い友達のことを歌い、ショート動画で注目を集めています。え、あの歌詞も実話なの?

リリースペースも早く、様々なタイプの曲を作り出します。『ゲボ眠くない止まらない目眩』はトリップ感がすごく、たしかに情緒が心配だ。

岡村丁寧「友達はエンターテイナー」

 
 
5. 猫は液体「seaside」


猫は液体「seaside」

京都の4ピースロックバンド。感情の鮮度をここまで落とさずパッケージできるのかと驚くギターロックを鳴らします。オンラインでも関係なく届いていますし、ライブも見ましたが素晴らしかったです。

注目を集めた『春霞』から物語は夏へ。〈ずっと〉と〈やっと〉の言葉にちゃんとそれだけの時間が詰まっているのが伝わります。そして最後の歌詞4行が美しすぎる。こっちが恋するわ。

猫は液体「seaside」

 
 
6. PURIKURA MIND「世界残酷物語」


PURIKURA MIND「世界残酷物語」

8月13日にリリースされる2nd EPから先行配信された1曲。〈世界中の残酷にさようなら〉というこの言葉で吹き飛ぶ心の突っかかりが、あなたにもあるはずです。大なり小なり全ての人間は“自分にとってのサブカルチャー”を持っていると思うので。

岩本充生(Dr)が正式加入し、EPリリース日には自主企画を開催。何かここでまた1つギアが上がってきたプリマイの活動に揺らされていきたい。

PURIKURA MIND「世界残酷物語」

 
 
7. THE KING OF ROOKIE「ノロケタイヨウ」


THE KING OF ROOKIE「太陽とお守り」

新潟発奇天烈パンクバンド。熱くて汗の似合う彼らに太陽が出てくる曲が似合わないわけない。イヤホンで聴きながらでも、なんだか喉が渇いてきますし、ライブでも合唱必須。現在ツアー中。

ルーキーのライブで出会って、おじいちゃんとおばあちゃんになってもこの曲を手を繋ぎながら聴く未来とかあったら最高すぎる。そんな感じで僕も大切な人と惚気たいよう。

THE KING OF ROOKIE「ノロケタイヨウ」収録の「太陽とお守り」

 
 
8. 月と徒花「Blue」


月と徒花「Blue」

4月の活動再開企画はSOLD OUTを記録した兵庫のロックバンド。

再始動2作目となる今作は既にSNSでも共感の輪が広がっています。若者が働いた先に何があるのか分からないけれど、冨岡竜之介(Gt.Vo)のストレートな歌声と爽やかなサウンドで、気持ちの重くなるブルーの色を、空や海を思わすような心地良いブルーの色に近付けてくれるのはたしかです。

月と徒花「Blue」

 
 
9. t.r.a.n.e「Sunshine New Wave」


t.r.a.n.e「Sunshine New Wave」

神奈川発5人組ニューソウルバンド。

今作はサーフミュージックのコンピCDにも収録される1曲とのことですが、問答無用に海上に連れてこられる隙のない曲の世界観に驚いてほしいです。yang(Vo.Gt)のボーカルとコーラスが陽の光の煌めきをまとってるし、波の揺れ方も表現していて、曲名通りすぎます。元々枠に囚われないバンドだからこその表現力でしょう。

t.r.a.n.e「Sunshine New Wave」

 
 
10. 揺らいで凪「言葉に熱を」


揺らいで凪「daydream」

3曲入り3rd EP『daydream』から3曲目をピックアップ。他2曲もそうですし、その他の配信曲もそうなんですが、このバンドは熱量と儚さの分量のコントロールが絶妙で、アーティスティックにも強いし、この曲のようにアクセルぶっ放しても強いファンタジスタなんです。

もちろんライブも強いのは主催企画に誘ったことのある私が保証します。金岡竜丸(Gt.Cho)のギターを見てほしい。

揺らいで凪「言葉に熱を」収録のEP『daydream』

 
 


「Monthly Core-Rock!! Select by 遊津場」プレイリスト

 

この記事の執筆者
遊津場
神戸在住・名刺が可愛い音楽キュレーター。フリーで音楽ライターと新人発掘。年数回ライブハウスで企画。連絡はsakidoriyutsuba@gmail.com or DMまで。92年生。