邦ロック特集「Monthly Core-Rock!! Select by 遊津場」#10【CUTLASS、Pixie Monster、muk、Cultboi、夢幻泡影、build a bond、レベル27、Jessica、井上賢一、セツナフレンド】
“先取り邦ロック”を武器に音楽ライターやイベント企画で活動する遊津場が、その月に気になった邦ロック楽曲を10曲セレクトする【Monthly Core-Rock!! Select by 遊津場】。
「若手が中心となるので、新たな発見があるはず!あなたをコアな邦ロックリスナーにさせてみせる!」と遊津場は息巻いてるとか何とか。
以下、セレクト楽曲を遊津場が解説。本記事の解説とともに、セレクト楽曲をまとめたTHE MAGAZINEのプレイリストもお楽しみください(毎月更新)。
#10 セレクト楽曲(2025年9月1日更新)
1. CUTLASS「居場所」

2007年世代の神戸スリーピースロックバンドです。現在は受験のため活動休止中。
昨年夏辺りから始動し、活動休止まで沢山ライブを重ねてきました。着実に成長していき、8/1の自主企画はソールドアウトを記録しました。
そしてリリースされたEPは、嘘偽りのない音を真っすぐに詰め込んだ快作です。勢いだけでなく、しっかり中身も意味あるものが詰まっています。活動再開する日が楽しみです!
2. Pixie Monster「ドラマへ」

2025年始動福岡県田川市発のロックバンド。先月は東名阪ツアーを敢行し、9月6日のツアーファイナル福岡公演は、これを書いている8月末時点でチケット残りわずかとのこと。
この絶妙な温度感のボーカルを活かしたドラマチックなサウンドと趣深く染み渡る歌詞には、単曲でも全国のリスナーを振り向かす力があります。それが4曲も入ったEPをリリース。もう見つかりますね。
Pixie Monster「ドラマへ」収録のEP『子どものままでいたいのに』
3. muk「ワールド ワズ アワーズ」

9月に東名阪ツアーを控えるmukが2月にMVリリースした楽曲を配信。この曲は活動休止中の旧支配者中野(Ba)に向けて書いた思い入れの強い楽曲で、レコーディングは「超カオティックでエネルギッシュ」だったとのこと。
旧支配者中野は残念ながら脱退が決まりましたが、ツアーファイナルで1曲のみ演奏する予定です。その日を目に焼き付けてほしいし、その後も変わらずmukは君と共にあることも感じ取ってほしいです。
4. Cultboi「呼吸の輪郭」

先月行われた閃光ライオットのファイナリスト。その決勝ステージでも披露され、Zepp DiverCityを包みこんだエモーショナルで疾走感のあるポップチューン。優しさに溢れた歌詞にも注目とのこと。
自ら映像やデザインなどのアートワークも手掛けている彼らは「創る」の側にいる全ての人を後押ししてくれるんだろうなという懐の深さも感じさせます。
5. 夢幻泡影「繰り返す」

京都発オルタナティブロックバンド。アート性のある轟音は徐々に存在感が出てきており、先月は「京都藝劇」にてO.Aを務め、主催のHakubi片桐も「堂々としていてカッコよかった。美しかった」とポスト。
私も先日15分尺でしたがライブを見ました。轟音と静寂の中にも物語を感じました。音源には音源で別の美しさがあるので、きっかけは何にせよ、一度連れ込まれるとなかなか抜け出せなくなるバンドでしょう。
6. build a bond「愛の模様」

地元広島のライブハウスシーンから次世代の期待を感じるロックバンド。この夏は全国ツアーも行い、10月には広島のみならず、東京のサーキットフェスにも出演が決まっています。
言葉の語感を大切に、丁寧に組み合わせているのが伝わるバンドです。その組み立てが多くの人を包み込みそうなレベルと感じるのが、この曲だと思いました。ライブだとどうなるんだろう。
build a bond「愛の模様」収録のEP『そこを曲がると君がいるから』
7. レベル27「シンデレラストーリーに憧れるだけの普通の女の子」

2023年12月以来に公式Xが動き、リリースが告知された新曲。オオタ13月(Vo.Gt)が優しい歌声で、ハッとするメッセージを突きつける1曲です。
シンデレラストーリーの対義語は”普通”なのかもしれないし、意外とそれを信じなきゃいけない場面でも信じられない人っているんだろうなと思う。まぁでも普通自体は、イコール不幸ではないのかもな。
レベル27「シンデレラストーリーに憧れるだけの普通の女の子」
8. Jessica「ちりぢりな夜」

愛媛発・21世紀のボヘミアンロック。9月以降YOWLL fesやMINAMI WHEELなど関西の注目イベントにも出演が決まっています。10月19日には1stフルアルバムのリリースも決定。
自由でファンクで唸るビートに踊ること間違いなしのナンバー。コーラスもしっかり楽器。あとオンリーユー精神がオシャレ。本当にこの音楽は自分だけに向けられていると感じます。
9. 井上賢一「夜深」

このシングルでソロアーティストとして活動を開始しました。私の中ではスーパードラマーの印象が強く、加えてジャンルに囚われないクリエイティブ活動をしていた方なので、ここでのデビューに驚きました。
楽曲は冷雨が降る夜の雰囲気を出すサウンドの中で、ポエトリーのように言葉を紡ぎます。恐らく様々なタイミングで彼を知った人がいますが、その誰もが納得する作品かと思います。
10. セツナフレンド「刹那夢」

福井発の4ピースロックバンドで東名阪でのライブハウス出演も増えてきました。
生々しい世界観の曲ですが、その夜明けのスピード感まできっちり伝わってくる表現力の高い曲。こういう邦ロックをちゃんと歌えるバンドはいそうでおらず、貴重だと思います。
すごい安易な言葉ですが、いつかバズりそうなバンド。「まぁライブで信じられないくらいドーパミン出さすんで」という自信も見えるし。
「Monthly Core-Rock!! Select by 遊津場」プレイリスト