邦ロック特集「Monthly Core-Rock!! Select by 遊津場」#11【pudelhunds、YOWLL、朧気な日々を荒らして、T.O.C.A、パキルカ、Rock de nasiy、月追う彼方、年齢バンド&弁天ランド、松田今宵、ベアディーコリー】
“先取り邦ロック”を武器に音楽ライターやイベント企画で活動する遊津場が、その月に気になった邦ロック楽曲を10曲セレクトする【Monthly Core-Rock!! Select by 遊津場】。
「若手が中心となるので、新たな発見があるはず!あなたをコアな邦ロックリスナーにさせてみせる!」と遊津場は息巻いてるとか何とか。
以下、セレクト楽曲を遊津場が解説。本記事の解説とともに、セレクト楽曲をまとめたTHE MAGAZINEのプレイリストもお楽しみください(毎月更新)。
#11 セレクト楽曲(2025年10月1日更新)
1. pudelhunds「mental sketch modified」

ポストロック・マスロックの新星と呼ばれるバンドが最近増えてますが、僕が一番星に名前を挙げたいのは、この福岡発スリーピースバンドです。
騒静のバランスといった旋律の組み立て力と爆発力の強さはもちろん、そこに映える透明感のあるボーカルが他のバンドとの差を生みます。初大阪ライブも見ました。そのうえできっとジャンルとか関係なく飛び越えますよ、このバンドは。
pudelhunds「mental sketch modified」収録の『memorandum』
2. YOWLL「Escape!!」

そんなpudelhundsの能力にどこよりも早く気付いて大阪に呼んでくれたのは、年100本以上全国でライブするこのバンド。先日の主催フェスも大成功でした。
焦燥感のあるサウンドは、ちょっといっぱいいっぱいの状態の人の手を確実に取って、一緒に走り出してくれます。負けてしまっても、逃げてしまっても、そこに信念があるなら、きっと大丈夫。
3. 朧気な日々を荒らして「美人の眠り」

賑やかにもミステリアスに進み、そこに力強い歌声も入って、さらに深いところまで誘う1曲。
作詞作曲編曲アニメーションを全て自ら手掛けるソロアーティストとしてコンスタントに楽曲をリリースしています。その顔に加えて名古屋のライブシーンから全国へ活動を広げるバンド・cherieのギタリストでもあります。どういうオモシロイ未来を描くのでしょうか。
4. T.O.C.A「おんど」

秋田のロックバンドを説明するなら外せない存在です。東北地方の大型イベントにも多数出演、全国にもリスナーが増えています。
この曲はタイトルやジャケット写真の通り、たしかにお祭りムードのある曲ですが、捉えどころのないリズムで予想の斜め上をいくはずです。ボーカルの温度感も好き。このテクニックにハマる人は多いはず。12月のワンマンライブが心待ちとなるでしょう!
5. パキルカ「ナマイキスト」

2006年世代、要するにまだ10代ながら全国各地のイベントに引っ張りだこなパキれる次世代ロックバンドです。8月には主催サーキットイベントも開催しました。
個性的かつ鮮やかで、リスナーの感覚をクラッシュさせてしまうような彼らの持ち味が、この楽曲でも遺憾無く発揮されています。“ナマイキ”というキーワードもバンドに合ってますが、一度お会いした時はとても良い人達でした。
6. Rock de nasiy「強制的Answer」

心躍るロックバンドとして名古屋を中心に活躍中。10月19日には入場無料野外フェスを主催します。
最近岐阜県で行われた音楽コンテストでベストパフォーマンス賞を獲得しましたが、私が5月にライブを見た時も「まず俺らが際限ないほど踊るんだ!」と言わんばかりで、全身からエネルギーが出ているライブをしていました。その中でもライブの1曲目でもラストナンバーでもアドレナリンが出る曲です。
Rock de nasiy「強制的Answer」収録の『酔いどれ踊れand踊り子』
7. 月追う彼方「うたかた」

北九州発スリーピースロックバンド。現場主義を絵に描いたようなライブスケジュールをこなしていて、主要サーキットフェスにも多く出始めました。8月のツタロックDIGで見ましたが、突き刺していました。
その熱量とノスタルジックな感情が詰まった新曲。サビがしっかり頭に残ります。現場で聴いたら、あなたも噛み締めるように拳を上げること間違いなしです。
8. 年齢バンド&弁天ランド「えん&En」

東京で活動する年齢バンドと弁天ランドの東名阪スプリットツアーで発売されたCDが配信リリース(互いのカバー楽曲除く)。
この2組は丸裸に青春やあの日の感情を描かせたら一級品のロックバンドです。そしてライブとなったら、かなりハイカロリー。共演は想像しただけで汗が出てきますので、冬にもう1回やってほしい。ちなみにそのツアーファイナルのゲストはお笑いコンビのゼロカランでした。
9. 松田今宵「ハレ」

2年程前に音楽シーンに現れてから、多くのタイアップにも選ばれ、クリエイティブな楽曲を放ち続ける音楽塾ヴォイス出身のシンガーソングライター・松田今宵。ミステリアスなイメージがありましたが、にこやかに路上ライブをしている動画もあって、少し親近感も湧きました。
今回の楽曲については彼女自身のnoteも是非読んでほしいですが、言葉と感情を扱うものとしてのプライドを私は感じました。
10. ベアディーコリー「サマーステップ」

京都発の男女4人組ロックバンド。先日東阪ツアーを終えてリリースされた夏曲です。どんな季節や時代になっても、あの夏の思い出を新鮮に思い起こせるようなキラキラとしたポップサウンドを詰め込んでいます。
京都では珍しいかもしれない王道のポップロック。賢犬のような人懐っこさと細かな配慮を感じるライブも是非体感してほしいですね。
「Monthly Core-Rock!! Select by 遊津場」プレイリスト