【セ・ラ・ノ#7】沓名真由『Epiphany』セルフライナーノーツ
アーティストによるセルフライナーノーツで作品の魅力を深堀りする新連載「セ・ラ・ノ」。
第7回となる今回は、SSWの沓名真由(くつなまゆ)が登場。
8月に発表された、オブスキュアな魅力に溢れる2nd Album『Epiphany』について、セ・ラ・ノ。
『Epiphany』各サブスク
Track 1「クリーム」
アルバムタイトルである「Epiphany」は、「ひらめき」や「出現」という意味があります。
「クリーム」はまさに、奇跡的なひらめきと出会う喜びを歌っていて、このアルバムを象徴する大切な曲です。
アレンジにも拘っていて、ギロやトライアングル、フィンガーシンバルなどパーカッションをたくさん取り入れる事で、聴いていてワクワクするような聴き味を目指しました。
私自身パーカッションが好きなので、この曲は聴いていて楽しいです。
Track 2「レインコート」
私の曲ではたびたび「雨」のモチーフが登場しますが、その中でも、大雨の中駆け出して行けそうなピュアな明るさを持った曲に仕上がりました。
ギターアレンジはKakapo such Beautiful Birdsの髙橋周くんにおまかせしたのですが、想像以上のギターを入れてくれました。
サビ入り前のギター音は聴いててクセになります。
Track 3「水泳 (Epiphany Ver.)」
この曲は2年前にシングルとしてリリースした大切な楽曲ですが、ずっとこの曲の持つまだ表現しきれていないポテンシャル、もっと良くなる可能性を感じていました。
その気持ちを放置することができなくて、今回再収録を決めました。
アルバム用にアレンジを見直し、ボーカルも録り直しました。ようやくこの曲を昇華できたと思っています。
シングルバージョンを聴いてくださっていた方には、この変身を感じていただけたら嬉しいです。
Track 4「カティサーク」
帆船、港、太陽が目の前に現れるサマーソング。
Easycomeの落合亮太さんが弾くリードギターの存在感が圧倒的で、それを際立たせられるよう音数は最低限に抑えました。
彼のギターは夏と相性が良く、爽やかな疾走感で満たしてくれる、私の思うサマーソングに仕上がりました。
Track 5「L’Étranger」
アルバム全体の中で、他の曲とは違った聴き味だと思います。
最初からそう意図して制作していたわけではないのですが、エンジニアの岩谷啓士郎さんにミックスをお願いしたところ、想像以上のサウンドで彩っていただきました。
もうちょっと聴きたいなと思うところで終わってしまうのも、微熱の季節のせい。
この曲の魅力です。
Track 6「Melt」
どうして私の感情に気づいてくれないんだろう、どこを見て話してるんだろうと感じる人っているじゃないですか。
不器用と表現されるような人。
でも、不思議とその人の中にある純粋さ、誠実さに強く惹かれる瞬間があって。
そういった感情を歌っています。
サウンド面では、ドラムの音がすごく気に入っています。
Track 7「Sparkle」
この曲は、今作の中でも特に長い時間をかけて向き合った曲です。
アレンジを練る過程で、最後に加えたのがサビのエレピの音色でしたが、憂いの中に煌びやかさが出て、良いアクセントになったと感じています。
この曲を聴くと、炎昼が通り過ぎ去った後に感じる、秘密めいた夏夜の空気が感じられるはずです。
Track 8「冷めたふり」
ノスタルジックな雰囲気を大事にしながら、歌詞にある繊細な感情、物語をちゃんと表現したいと考えて制作しました。
この楽曲にぴったりのギターを落合さんが入れてくださいました。
特にギターソロは切なくて、暖かくて、最初に聴いた時、とても感激しました。
最後リフレインで音が消えていくのも、この曲の持つ儚さみたいなものを象徴していて、気に入っています。
Track 9「昼下がる」
前作「MOMENT」を、ピアノ弾き語りの静けさで締めくくったように、今作でも弾き語りの曲を最後に置きたいと考えていました。
この曲では、その瞬間にしか出せない感情や、空気感を閉じ込めたくて、私の歌唱と、ギタリストの髙橋周くんにギターバッキングをお願いして、初めての試みとなる1発録りでレコーディングしました。
このアルバムの最後になくてはならない1曲になったと思います。
最後に
静かな朝の光のように、生活を少しだけ色付けるようなアルバムになれたら、嬉しいです。
【告知】
11/13(木) at 心斎橋 歌う魚
open/start 18:30/19:00
adv/day ¥2500(1d別)
チケット予約
https://forms.gle/bdpT5dtgd2kvdJZ89

沓名真由
沓名真由(くつなまゆ、mayu kutsuna)。 2020年夏より活動開始。2025年9月に、2ndアルバム「Epiphany」をリリース。演奏にはEasycomeの落合亮太、MistyWalkの高橋周、ユウレカの安田伊慶などが参加。ミックスは岩谷啓士郎、荻野真也、湯原大地(STUDIO YOU)、マスタリングは木村健太郎(kimken studio)が担当した。
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