【このリリースがすごい!】gl1tch.bby「LostAngel.exe」| ノイズまじりの天使たちが織り成す低温のグリッチコア

コラム・特集
2026.1.27
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いま注目すべき最新リリースをレビューする特集企画『このリリースがすごい!』。今回はgl1tch.bby「LostAngel.exe」をご紹介。


新たな四半世紀の夜明けとともに地上に舞い降りた、ノイズまじりの天使たち。2026年1月1日に活動を開始したgl1tch.bbyは、manacoとUTEROによる音楽ユニットだ。運命的な出会いを果たした二人が、『ふたりはプリキュア』や『オシャレ魔女♥ラブandベリー』のようなシナジーを予感し結成に至ったという。始動発表直後に“最初の断片”としてInstagramに公開されたショート動画は現在までに5000件近いいいね!を獲得。国外からのリアクションも相次ぐなど話題を呼んでいる。

CwondoやParannoulとのコラボレーションでも知られるUTEROと、ノイズロックバンド・killmilkyのボーカルギターとしても活躍するmanaco。それぞれのディスコグラフィーを振り返ると、共通項として浮かび上がるのはシューゲイズ的な感性だ。しかしgl1tch.bbyは、1stシングル「Lost Angel.exe」においてglitch coreを選択する。「天使」「glitch」「低温」というユニットのエッセンシャルな要素を凝縮した本楽曲は、彼女たちの美学をリスナーにインストールさせるための起動ファイルのような一曲と言える。

轟音と抑制のコントロールが秀逸なビートに、携帯電話のバイブレーションやシャッター音、そして派手なカークラッシュのSEが割り込む。抽象的な美的感覚と浮遊するボーカルを、具象的な音と切実な言葉のストーリーテリングによって現実へと引き戻すその手つきが鮮やかだ。

UTEROが音楽プロデュース、manacoがアートプロデュースを担う分業体制からしても、楽曲だけを語るのは不十分だろう。天使をモチーフに、アスキーアートなどインターネット由来の意匠も取り入れたアートワークやMVは、ウィッシュコアを通過しつつもどこか退廃的なムードを帯びている。その感触はWispやSAGOSAIDといった国内外のアーティストとリンクし、サウンド以外の側面によってオルタナティブ〜シューゲイズシーンとの親和性を生み出している点も興味深い。

毎月のショート動画公開を起点とした活動スタイルや、謎めいたWebサイト「ANGEL GATE」の公開など、緻密に設計されたクリエイションによってすでに独自の存在感を放ち始めているgl1tch.bby。既存の音楽ユニットやガールズグループとは異なる、新たなアーティストの在り方を提示する存在としても目が離せない。


gl1tch.bby「LostAngel.exe」

gl1tch.bby「LostAngel.exe」各サブスク

gl1tch.bby「LostAngel.exe」歌詞

 
 

この記事の執筆者
サイトウマサヒロ
1995年生まれ、フリーのライター。インタビュー、ライブレポート、コラムなど書きます。