【コラム】懐かしさが新しい|ミュージックビデオにおける海外トレンドの輸入

コラム・特集
2019.2.12
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アーティスト自身の雰囲気や音楽の世界観を伝えるミュージックビデオ。ミュージックビデオが話題になることで、音源もヒットするということも少なくありません。

そんな音楽活動にはかかせないミュージックビデオにもトレンドが存在します。昨年、海外で流行したミュージックビデオには「懐かしさが新しい」というトレンドが見られました。

実はそんなトレンドが日本にも輸入されつつあります。今回はまず海外でのミュージックビデオのトレンドを押さえつつ、そんなトレンドを反映した国内のミュージックビデオを紹介したいと思います。

 

昨年流行した海外ミュージックビデオ

Bruno Mars – 「Finesse (Remix) [Feat. Cardi B]」

90年代のテレビ番組を彷彿させる衣装やセットに「ちょいダサがかっこいい」、「レトロでカッコイイ!」など話題を呼びました。また彼ららしくオシャレに歌い上げ、音源としての完成度もかなり高いものになっています。

 
Ariana Grande – 「thank u, next」

Ariana Grande の thank u, next では『ミーン・ガールズ』や『キューティー・ブロンド』など、90年代に流行した映画のオマージュが取り上げられ、大ヒットを記録しました。一つのミュージックビデオのなかに多数のパロディが入っており、どこがどのパロディか探すのも楽しいですね。

さぁ、なんとなく海外のトレンドをご理解いただけましたでしょうか。それでは国内のミュージックビデオも紹介していきたいと思います。

 

トレンドを取り入れた国内ミュージックビデオ

Awich – 「Love Me Up (Prod. Chaki Zulu)」

昨年10月にリリースされたこちらのミュージックビデオ。Awichが白いシャツに赤い大きな帽子を被り、マスコット的なキャラクターが登場します。この映像を見た方は一発である国民的教育番組が思い出されるでしょう。そうです、「つくってあそぼ」です。各所に小ネタが散りばめられており、見るたびに新たな発見があるので何度も見てしまいます。

 
DJ CHARI – 「CONTROL feat. Young Dalu, OZworld a.k.a. R’kuma & Shurkn Pap」

今年の1月にリリースされたミュージックビデオ。一昔前のカラオケのようなミュージックビデオに、リリース直後からSNSで話題沸騰でした。歌詞の出し方やクレジットの出し方などかなりこだわっていますね。さらにインサートや女優の方もどこかバブルのような雰囲気が感じられます。全体を通して、4:3で作られており、昔ながらのカラオケに入ったときのような感覚に襲われた方も多いのではないでしょうか。

 

トレンドの整理と活用

いかがでしたでしょうか。懐かしいなと感じつつも、この表現は逆に新しいなと感じた方も多くいることかと思います。紹介したこれらの4本の映像に共通している点は2点ほど見られそうです。

 

―オマージュ・パロディ

1つ目は「オマージュ・パロディが入っている」点です。
やはり懐かしさを感じさせるために、当時見ていた映像のパロディやオマージュを入れることはわかりやすいですね。細かいネタを挟んでいくことで、それを探すために何度も見てもらえるようになったりと、効果は大きいです。さらにパロディやオマージュは話題を呼びやすいので、SNSやメディアでの拡散も見込めます。実際に今回とりあげた4本もSNSやメディアで大きな話題になりましたね。

 

―オントレンドな楽曲

2つ目は「音源は現在の流行を捉える」点です。
オマージュ・パロディのみでは懐かしいだけで終わってしまいます。しかしそこに新しさやかっこよさを入れるために音源は最新の流行を捉える傾向があります。最新のトラックやフロウの音源なのに、映像は一昔前のテイスト。このミスマッチ感がグルーブをよぶのでしょう。

ミュージックビデオが音源の印象を大きく変えることはよくあります。音源だけしか聴いていない視聴者にどうミュージックビデオを見てもらうかは大きな課題だと思います。そんなときこそトレンドを押さえ、話題をよぶのも一つの手です。ミュージックビデオをプロモーションの一つとして考えず、趣向を凝らした一つの作品として繰り返しみてもらう。このようなミュージックビデオの捉え方の変化は、今後のアーティスト活動に大きな意味をもたらすのではないでしょうか。

この記事の執筆者
Video Kicks
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