2019.4.18
4月12日、香港のメディア「南华早报」は、TikTokなどを運営するバイトダンス社が、グローバルマーケット向けに、Spotifyベースの音楽ストリーミングサービスを開発していると報じた。
バイトダンス社から公式のアナウンスはされていないが、同メディアによるとバイトダンス社は音楽ストリーミングサービスの開発に100名以上のスタッフによるチームを組織し準備をすすめているとのこと。
TikTokでは、先日から日本および韓国で音楽アーティストの新人発掘プロジェクト「TikTok Spotlight」をスタートさせており、音楽分野強化の動きがみられる。
USの音楽マーケットにおいても、TikTokからメインストリームの楽曲のヒットが生まれる事例が相次いでおり、現在Apple MusicやSpotifyの全米チャートでトップ獲得を続けているラッパーLil Nas Xの「Old Town Road」もTikTokから火がついた曲のひとつ。
“カントリーヒップホップ”とも評されるLil Nas Xの「Old Town Road」を使ったTikTok動画では、ファーストヴァース後のブレイクの瞬間に変身するモチーフが流行、インターネットミーム”yee yee juice”とあいまり、またたく間にTikTokで広がった。
その後YouTubeやInstagramなどでさらに拡散、Billboardの対応に端を発する議論 (一度チャートインしたビルボード全米カントリーチャートから除外され議論が巻き起こる)、その後のBilly Ray Cyrusを迎えたリミックスのリリース、Stephen A. Smithのパロディ、そしてGeniusでの本人の登場などを経て、4月9日にはついにビルボードホット100チャートで1位を獲得した。
Lil Nas X – Old Town Road (feat. Billy Ray Cyrus) [Music Video]
Mood pic.twitter.com/rn0pY1mytu
— Stephen A Smith (@stephenasmith) 2019年4月6日
Lil Nas X “Old Town Road” Official Lyrics & Meaning | Verified
Lil Nas Xは現在、コロンビアレコードとサインしたが、「Old Town Road」をバイラルさせるにあたっては、レーベルのプッシュやラジオプレイといった従来の手法の力は借りずに、ネットネイティブらしい新しいアプローチをインディペンデントなスタンスで試みた。
音楽の世界観とマッチする人気ゲーム『RED DEAD REDEMPTION II』の映像を使ったMV、インターネットミーム、TikTokを始めとしたプラットフォームでのバズ、ストリーミングを意識した曲の尺、チャートコンペティターを考えたジャンル選択、カントリーとラップを巡る議論(ヒップホップがメインストリームになったことによる他ジャンルとの関係性の変質)、そして何よりもクオリティの高い楽曲、これら様々なトピックが「Old Town Road」を全米1位に導いたが、中でもTikTokは大きな役割を果たした。それを示すかのように、Lil Nas XはTikTokのLAオフィスにも訪問している。
なお、Lil Nas X自身、10代半ばから “@nasmaraj” というアカウント(現在は凍結中)で、様々なバズの発生に関わっていた経歴もあると言われており、そのような彼自身のインターネットカルチャーへの知見やセンス、戦略性も今回のヒットの一因になっているだろう。
ちなみに、既に周知のことだが 「Old Town Road」 は、Nine Inch Nails が2008年にリリースした 『Ghosts I-IV』 に収録されている 「34 Ghosts IV」 をサンプリングしており、ビートをオンラインで売るいわゆる “type beat プロデューサー” として活動していたオランダのYoungKioがネットにアップしていたビートをLil Nas Xが使用。
YoungKioは、最初Lil Nas Xが自分のビートを買っていたことを知らず、ソーシャルのタグではじめて楽曲が使用されていることを知ったという。現在、楽曲クレジットには、Montero Lamar Hil(Lil Nas Xのバースネーム)、YoungKioにTrent ReznorとAtticus Matthew Rossが加えられている。
source:
南华早报
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