プレスにアプローチする時に注意したい22のポイント−Pitching to Press: The 22-Point Guide
インディペンデントアーティストがメディアやプレスにアプローチする際、どういったことに気をつければよいのでしょうか。以前にも、EPK(プレスキット)の作り方をお伝えしましたが、
今回も自分でPRする際に気をつけておきたいポイントをお届けします。
言葉選びと文章作り
1.
まずプロフィールの要点をしっかりと押さえましょう。あなたのフルネーム(別名を使っている場合は[明らかにできるのであれば]本名も)、出身地や拠点としている都市、今までリリースした作品のリスト、今まで出演した主なイベントなどキャリアの中で重要な節目となる日付、曲や動画・連絡先・SNSのページへのリンクを記載するようにしましょう。プレスに何かを送る際には、必ずチェックリストを用意してこういった項目をチェックしましょう。
2.
いつも上手くいくわけではありませんが、例えばインタビューで度々同じような質問をされることを避けるために、音楽活動を始めた経緯や、バンドの場合、結成の経緯などの基本情報をプロフィールに記載しましょう。
3.
あなたの楽曲の背後にあるストーリーや考えが目立つこともあります。送った情報を読んでくれる人が興味を持つような、あなたのユニークな点を強調しましょう。メディアでライターがあなたに興味を持ったとして、あなたが取材するに値するアーティストだと編集部内を説得しなければならないことがよくあります。そこで、あなたが自身に関する説得力のある情報発信をもとからできていれば、あなたについての記事企画は採用されやすくなるかもしれません。
4.
大げさに見せるのはやめましょう。あるウェブサイトのプレイリストに追加されただけで、「(大きく)取り上げられた」と言ったり、グラミー賞に提出した楽曲が、適格基準を満たしていたのみで受理されただけで、「グラミー賞にノミネートされた」と言いふらすことはやめましょう。これらはいずれも実例であり、メディアの人にはあなたが自分の存在を誇張しているということだけが伝わってしまいます。
5.
プレイリストに追加されるためピッチングするには、Spotifyに向けて書くのと同じように、自分の楽曲、EP、またはアルバムについて書きましょう。あなたの文章で、何をさておきあなたの音楽を聴きたいと思ってもらえるよう、情報を受け取った人の興味を引くようにしましょう。
6.
以前公開された作品への記事リンクをプレスキットに含めることは大事です。ですが、すべて添付する必要はありません。プロフィールに記載されていない、あなたの音楽の魅力について書かれている記事を含めるようにしましょう。
7.
活動をはじめたばかりのアーティストの場合、プレスキットに含めるための、記事の引用がたくさんある訳ではないでしょう。その場合、リリースやツアーで一緒に仕事をしたプロデューサー、イラストレーター、サウンドエンジニアなど、あなたよりも知名度が高い人から、引用できる言葉を依頼するという方法もあります。あなたの音楽の独自性や、あなたと一緒に仕事をした経験について話してもらう時は、より具体的な話をしてもらうようにしましょう。
8.
文は短くしましょう。履歴書と同じように、プレス用のプロフィールもWord文書の1ページを超えないようし、「長過ぎて読まれない」といったことは防ぎましょう。
9.
スペルチェックと文法チェックを行ってください。プレスリリースにケアレスミスが多ければ多いほど、真剣に読んでもらえる可能性は低くなります。
10.
メールの最初の文をパーソナライズしてみてください。何十人ものライターにメールを送る時には、時間のかかる作業のように思えるかもしれませんが、コピーペーストをしたような印象を与えないようにしましょう。以前連絡をとっていたライターで、取材をしてくれたり、SNSで宣伝してくれたり、あるいは以前のメールに返信してくれたりした人には、再び自己紹介でメールを始めないようにしましょう。その代わりに、冒頭の文で相手に感謝の意を表したり、過去にやり取りをしたことについて触れると良いでしょう。冒頭の一行を毎回書き直す必要はありませんが、相手や付き合いの長さに応じたバリエーションを用意しておきましょう。
ビジュアル効果と音源
11.
(情報を送るときは)写真を含めましょう。それによって、ライターもメールやSMSでやり取りする手間を省くことができますし、あなたの写真が必要な時に、インターネットから適当にとってきたものが使われるといったリスクを避けることができます。グループに所属しているのであれば、写真にはメンバー全員が写っていることを確認し、メンバーの変更があった場合や、何年も髭を生やしていたのに髭を剃ってしまった場合など、容姿が大きく変わった場合には、その都度新しい写真を撮るようにしましょう。このようにして、プレスは、あなたのパフォーマンスを最も正確かつ最新のビジュアルで表現することができます。理想的には、半年ごとに新しいプレス用の写真を撮ることを目指しましょう。そうすることで、新鮮なイメージを保ちながら、同じ写真が何度も使いまわされないようになります。
12.
クレジットが発生するところではクレジットを記載しましょう。常にプロのカメラマンを雇う必要はなく、アルバムの発売やツアーの発表のような特別な機会のときだけでもよいでしょう。映画がiPhoneで撮影されている今日この頃、質の良いスマホのカメラの写真でも十分です。(とはいえ、プロフェッショナルに見える必要があるため、小綺麗にして、着飾って、笑顔、あるいは苦笑い、を作りましょう。)もしプロのカメラマンを雇うのであれば、画像を使用するたびに、必ずカメラマンの名前をプレスキット含めなければなりません。お金を払ったかどうかは関係なく、カメラマンの名前を載せる義務がなくても、形として載せましょう。また、必ず写真をクレジットすることが編集の方針の一部となっているメディアもあります。
13.
添付ファイルは送らないようにし、代わりにリンクを送るようにしましょう。受信ボックスをいっぱいにする重たいファイルほど受け取る側に迷惑なものはありません。
14.
音楽を共有する時は、あるDSP (いわゆる音楽ストリーミングサービスなど) に飛ぶリンクにスマートリンクを加えること。誰がどのサービスを使っているかはわかりません。可能であれば、YouTubeチャンネルやBandcamp、SoundCloudなど、音楽を聴くための登録が要らないプラットフォームへのリンクを貼り付けましょう。mp3ファイルをダウンロードさせるリンクは送らないようにしてください。一つのファイルに全部まとまっていて、便利に思えますが、速く簡単に聴けるように、ファイルをダウンロードさせるのではなく、ストリーミングサービスに飛ぶリンクを送りましょう。一回の再生回数でも大事であり、この方法で、追加の再生を獲得することができます。
15.
スマートリンクが作れたら、あなたの印象的なミュージックビデオと、あれば代表的なライブパフォーマンスの動画も含めましょう。何百人もの幸せそうなファンの前で歌っている様子は、イベントのリストよりも、より強いインパクトを与えます。
話題の拡散
16.
様々なメディアに目を向けましょう。一般的に有名なものにのみ働きかけ、(掲載されたとして)多くの人はあなたについて目にするかもしれませんが、あなたの音楽を聴く人はわずかかもしれません。知名度を上げることが目的であれば、その目的は満たされ、取材されたプレスに名前が載っていること自体がよく見えるかもしれません。しかし、リスナーを集めたいのであれば、音楽を中心としたプレス、さらには小規模なブログに焦点を当てて、ターゲット層を見つけた方が良いでしょう。公式マークの取得、再生回数やチケット販売の増加など、目標を定め、それに応じてプレスキャンペーンを計画してみましょう。
17.
自国の言語、あるいは全国的なメディアに留まらないこと。エレクトロやメタルのようなニッチなジャンルに特化しているのであれば、そのジャンルを特に扱っている海外の音楽ブログやウェブサイト、雑誌をターゲットにするのもよいかもしれません。ストリーミングサービスから得られるデータを利用して、メディアプランに活かしましょう。例えば、あなたの音楽が最も聴かれている都市や国のリストを調べ、熱い支持を受けている場所のメディアに売り込むことも考えられます。
18.
視野を広げましょう。例えば、斬新なマーケティングキャンペーンを実施したり、優れたアイデアでクラウドファンディングを成功させた時などは、音楽業界のビジネス面を扱っている音楽以外のメディアに、あなたについて書いてくれるかどうかを相談してもよいかもしれません。
19.
友人や家族を通じて、できるだけあなたの音楽を広くシェアしましょう。全く想像もしていなかった方面から支持されることもあるかもしれません。(友人や家族のシェアによって)例えば、有名人がたまたまあなたの音楽を見つけ、それを気に入り、SNS上で共有してくれるかもしれません。
20.
アーティストが持っている最も強力なツールの一つは、定期的に、理想的には毎月、何をしているかについてファンに知らせるメーリングリストです。そのメーリングリストにメディアのライターのアドレスも登録してもらえるよう聞いてみましょう。そうすれば、頻繁にプレスリリースを送らずに済みます。アルバム発売中やツアー中でなくても、あなたについて何か書いてくれるかもしれません。ニュースレターは、ニューリリース、今後のライブ、支援している社会活動、プレスによるピックアップについての情報を受信者に知らせ続けることができる素晴らしい役割を果たしています。また、ファンへの感謝の気持ちを込めてメッセージを書くこともできます。
21.
プロフェッショナルなアプローチを心がけましょう。例えば、DMではなくメールで連絡しましょう。(メディア問い合わせ窓口の)メールアドレスは誰でも簡単に見つけることができるのにもかかわらず、Instagramでメッセージを送ってしまうアーティストが多いようです。アーティストがこうやって連絡することがいけない訳ではありませんが、SNSのメッセージリクエストを常にチェックしている人はそう多くないかもしれません。
22.
適切な期待値を設定しましょう。広報担当者やPR会社に依頼する場合は、人脈のために雇っているに過ぎないと思っておきましょう。そういった人々はあなたにはないプレスやメディアとのつながりを持っていますが、だからといってメディアがどう書くかまでコントロールできるわけではありません。つまり、彼らはあなたのプロフィールを見栄え良くするために役立つかもしれませんが、結局はあなたの音楽が重要ということです。
※この記事はTuneCore USのBlogの翻訳記事になります。(原文へ)
翻訳 : Ayako Tsukazaki / 編集 : THE MAGAZINE