インディペンデントアーティスト向けの確定申告 基本講座
今年も確定申告の季節がやってきました。
最近は自ら音楽を配信するアーティストがかなり増えてきており、中にはかなりの収益を音楽ストリーミングでの楽曲配信から得ているアーティストの方も多くいらっしゃいます。
そこで気になるのが確定申告。
「去年めっちゃ再生されて予想以上にお金が入ってきたけど、これってもちろん税金とか気にしなきゃいけないよな……」
こういったケースも多いと思います。そこで、今回税理士でもあるアーティストの“ゆしん”さんに、専門家として音楽アーティスト向けに確定申告の基本的な知識、考え方について説明していただきます。
アーティストとして自分のペースで息の長い活動をするためにも、ぜひ読んでみてください!
(THE MAGAZINE編集部)
はじめに
はじめまして。
税理士ミュージシャンやらせてもらってます、「ゆしん」と言います。ネットで「ゆしん」を検索すると、お姉タレントさんが出てきますが、そちらの方ではありません(笑)。ただ僕は、そちらのゆしんさん、めちゃくちゃリスペクトしています。
ですので。
ネット検索でも、YouTubeでも、「ゆしん 税理士」で検索するとちゃんと引っ掛かります。是非、お見知りおきを。
さて。
今回、【インディペンデントアーティスト向けの確定申告 基本講座】という事で、執筆のご依頼を受けました。
正直、どうでしょう?
アーティストって、「ん?確定申告?」…… ですよね。
まぁ、存在は知っているけど、どうやら、しないとダメっぽいけど。
よく分からないし、興味もないし、放っておきたい……
これが、本音じゃないかと。
めちゃくちゃ分かります。間違いなく僕も、根本的に同類です!
ただ、残念ながら……
ある程度の収入があれば、確定申告をする義務はあります。これ、国民の義務です。嫌でも、面倒くさくても、した方がいいです。
なぜ、した方がいいのか?
その辺り、どういう感じなのかを今回は、書かせて頂こうと思います。
※一応、法的な根拠に基づいて記載しますが、分かりやすさをメインにするため、色んな表現を「イメージ」に置き換えています。また、割愛している内容も結構あります。その表現はおかしい!みたいなのがあったら、ごめんなさい。ご了承ください……
①確定申告とは?
確定申告というのは、一年間の収支を「確定」させて税務署に「申告」することを指します。
つまり。
「私、この一年間、こんな収入でこんな支出でした」
「それを基に税金を計算したら、これだけだったので、それを申告して払いますね☆」
みたいなことを、自らやってください!っていうのが、確定申告という制度です。
「一定の要件」を満たす人は、みんなこれを行う義務があります。
また、状況によっては「こんな感じだったので、既に納めた税金、返してくださいね♪」という還付申告というものも存在します。
②インディペンデントアーティストとして、音楽が本業の場合
音楽が本業ということは、基本的には、「音楽で食べている」ということになります。
①に書いていた、確定申告義務がある「一定の要件」の中に、「一定の収入があってちゃんと利益が残る場合」というのがあります。
食べられるという事は、利益が残っているという事になるので、確定申告の義務があります。
一年間の収入を計算して、一年間の支払を計算して、で、残った「利益=所得」を基に、税金の計算をして納税する、という流れが必要になっちゃいます。
③インディペンデントアーティストとして、音楽が副業の場合
音楽が副業の場合は、「本業の何かで、食べている」状態が多いかと思います。
それがお給料を貰う仕事である場合は、年末調整ってやつで会社が自分の代わりに「確定申告」チックな事をやってくれている状況です☆
ですので、音楽で20万円以上の利益が出ていなければ、確定申告する必要はありません。
但し、20万円を超える利益が出ちゃったら、②と同じく確定申告して納税する義務が出ちゃいます。
…なのですが。
音楽が赤字の場合は、①に書いた「還付申告」というやつを出来る場合が多いです。
お給料を貰っている場合は、一般的に、会社がお給料から所得税を引いて、代わりに納税してくれています。
ただしその納税額は、お給料だけで計算した「利益=所得」を基にしているので。音楽が赤字なのであれば、本当はもっと「利益=所得」が少なかった、という事になります。
という事で、確定申告をすれば、納め過ぎた所得税が返ってきます☆
でも、申告しないと何も返ってきません。
まずここがひとつ、「確定申告した方がいい」場合であり、理由です。これは、プラスの意味で、申告した方がいい理由になります。
④確定申告をしなかったら?
税理士としてこんな事、言っていいかどうか微妙なんですが(笑)。
確定申告義務がある人で、申告をしていなかった場合でも、
「税務調査が無ければ、特に何もない」です。
実際、かなり多くの人が、確定申告義務があるのに何もしていない…というのも実情だと思います。
ただし。
申告していない状態で税務調査があれば、正直、吐きそうな額の税金を払わされる可能性があります。
かなり意訳した言い方すると、無申告の場合は、
「あなた、ちょっとこっちでザクっと計算してみたら、だいたいこんなぐらいの儲けが出てるはずだから、こっちで勝手に税額決めて課税しますね!」
という事が、税務署は出来ます。
恐ろしくないですか? 事実は、そこまで利益出てなくても、ですよ?
だから、確定申告はした方がいいと思います。
という、こっちがツラい方の意味で、「確定申告した方がいい」になります。
⑤いつまでに何をどうすればいいのか?
細かいことは、ネットで調べて頂ければ、いっぱい出てくると思うので、これだけ覚えておいてもらえたら。
【納税する場合】
翌年の3月15日が確定申告期限
(例:2021年分の申告は2022年3月15日まで)
※コロナで延長…などなど、色々あります。
【還付申告の場合】
5年以内にすればOK
※青色申告の65万円控除を受ける場合は、納税する場合と同じ期限です。
(詳細は、下記から確認してみてください)
⑥その他&まとめ
ここまでの流れは、ほんと大枠なので。みんながこれに当てはまる、という訳でもないです。
例えば僕は、「本業=音楽」ですが、音楽が赤字で副業(税理士)により生計を立てています。
②なんですけど、結果的に③、みたいな…
こんな感じで、個々の事情があると思うので、詳しくは色々、調べてみてください♪
ただ、お得な状況を手に入れる為にも、キッツイ状況を回避する為にも、
「確定申告はした方がいい」
です。
TuneCore Japanの確定レポートなんかは、計算をするうえで、通常であれば金額を把握しにくい収入部分を、キッチリ計算してレポートしてくれるので、使い勝手がいいんじゃないかと☆
やってみると、実はそんなに難しいことではないので、
「貰えるものは貰う」
「安心を買う」
この2点の為に、安定したインディペンデント活動を行う上で、確定申告はオススメします~!!
ゆしん
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