A.G.O インタビュー 「メロウな曲でも体が勝手に動いてしまうようなグルーヴを表現する」
GoldLinkのサウンドから影響を受けながらも、独自の感性と飽くなき探究心でアップデートをかけ続けるクリエイティブが評判を呼び、国内外問わず各方面からプロデュースを求める声がやまない話題のビートメイカー/プロデューサー A.G.O。
About : A.G.O
A.G.O(アゴー)。新潟出身。
東京/LAを拠点に活動する国際派Hiphopクルー、CIRRRCLEのビートメイカー/プロデューサー。
CIRRRCLEではすべての楽曲の制作/ミキシングなどを担当する他、国内外アーティストへの楽曲提供を行う。
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——キャリアのスタート/きっかけ
中学時代にギターを始めて、そこから独学でRockやBluesの演奏を学びました。
大学進学をきっかけに上京した後、ストリートダンスに目覚めまして、ダンサーをしている中でFunkやDisco、Break Beatsあたりの音楽に詳しくなったんですけど、そういった知識が今考えれば現在のキャリアの基礎につながりました。
その後、就職を機に今度はDJに転身したんですけど、その活動を通してHiphopやBass Musicを学ぶうちに、自然と「自分でも作ってみよう」ということで、制作活動を開始しました。
——ターニングポイント
2013年~14年頃に、LAのSoulectionまわりのビートシーンやオーストラリアのFuture Bass、ChicagoのチルなHiphopサウンドに感化され制作を始めたんですけど、当時はなかなか思い描くサウンドが作れなくて悩んでいたんです。それで、2015年に仕事の出張でLAに行った時に現地のプロデューサーとたまたま友達になったんですけど、彼がすごくいいアドバイスをくれて、そこで何かがふっきれて、改めて真剣に制作を学び始めました。
同じ年にCIRRRCLEのメンバーとも出会って、次の年にオフィシャルな作品をリリースしたことがプロデューサーとしてのキャリアのスタートになると思います。
——最近手がけた主な作品
CIRRRCLE – In The SKy
CIRRRCLE – Mental Health
CIRRRCLE feat. LATE LEE, FLANNEL ALBERT – Talkin’ To Watashi
SIRUP – PRAYER
FLEUR – Papar Planes
——キャリアスタート時の制作環境
最初は防音環境も何もないアパートで、主にイヤホンで作ってました(笑)。
——現在の制作環境
現在は、一軒家の一室をメンバーで間借りしてまして、そこに簡易的ですけど防音の環境を構築して、モニターはじめ今の自分の制作に適した機材を設置して制作しています。
——メインの機材
PC : Macbook Pro Late2013カスタム
DAW : Ableton Live 10
インターフェイス : Apollo Twin MkII
——モニター環境
ヘッドフォン : Sennheiser HD650
イヤフォン : Shure se846
スピーカー : YAMAHA HS7+HS8S
——使用音源
Massive : エンベロープやLFOでのコントロールが分かりやすくて、一度覚えてしまえば思い描いた音にたどり着くまでが早くて重宝しています。
Kontakt : 音が最初から完成されているものが多いので、曲に良く馴染むんですよね。3rd partyの音源も販売されていて使える範囲も広いです。
Serum : 音が太く立っているので、リードやPluck系のサウンドを良く使っています。
Keyscape : フラットにとてもきれいな音が出るので使いやすいです。
Omnisphere : 変な音のプリセットが多いので、ネタに困ったときに登場してもらってます。
Kick2 : キックとしてはではなく、サブベースを作る用途で使用しています。
Trillian : 808以外のベースが必要なときに使いますね。
——使用プラグイン
Fabfilter系 : UIが一番見やすいと思います。わかり易いので作業効率が良いです。
Waves H-delay : シンプルなので使いやすいです。フィルターをかけたときの音が気持ちいい。
SONNOX Inflator : 音圧がもうひと踏ん張り欲しいときに活用しています。主にスネアやマスターに挿して使いますね。
SONNOX Envolution : 周波数ごとにTransientをいじれるので、ドラムのグルーブ感のコントロールに活用しています。
Valhalla Vintage Verb : 温かみがあり、主にボーカルのリバーブとして活用しています。
UAD EMT140 : きれいに伸びる音で、主に楽器用リバーブとして活用しています。
UAD VOG : 40Hz前後のローエンドにパワーを出したいときにはこれですね。
——ビートメイクのプロセス
基本的には、思いついたテーマや空気感をコード進行に落とし込んで、それをループさせつつ ドラム → ベース の順で足していってビートに仕上げていきます。
歌詞が先にある場合は、歌詞からイメージを膨らませてから同じプロセスで作っています。
——ビートメイクポリシー
意識しているのは、「メロウな曲でも体が勝手に動いてしまうようなグルーヴを表現する」です。
ドラムに関しては気持ちよく感じられる意図的なズレを積極的にとり入れてまして、上モノも音の鳴り始め/切り方などリズムを与えることを大事にしています。
——最も影響を受けたプロデューサー/ビートメイカー
Louie Lastic です。
生っぽいオールドなサンプルと未来的なシンセの組み合わせが絶妙に気持ちよく、かつ新しいんですよね。また、どの曲にも体が勝手に動いてしまうようなグルーヴ感があって、まさに僕の目指すところというか。GoldLinkのファーストアルバム『The God Complex』で数曲プロデュースしているんですけど、それらを聴いたことがまさに僕が音楽制作を始めるきっかけになったと言っても過言ではないです。
GoldLink – Bedtime Story
VanJess – Til Morning
GoldLink – Dark Skin Women
Louie Lastic – Soulection White Label: 015
https://soulection.com/swl015-louie-lastic
——影響を受けた楽曲
Goldlink – Bedtime Story (2014年)
Louie Lasticのプロデュース。自分の中でHiphopの概念を変えた1曲。
Linsay Lowend – GT40 (2013年)
Future Bassに初めて触れた1曲。Hiphop的なマインドも含まれていて、バランスが素晴らしかった。
Vices & Jailo & BrassTracks & K.B. Starr – We Bout It (2015年)
Future BeatとBrassの組み合わせの素晴らしさに気づいた1曲です。
Chance The Rapper – Angels (2015年)
ここからシカゴのHiphopにどハマリしました。
Jarreau Vandal – Nobody Else (2016年)
ハーフビートの気持ちよさを知った曲です。
Jay Prince – Anthem (2017年)
新しいリズムの作り方を学んだ曲。
Mahalia – I Wish I Missed My Ex (2018年)
昨年の個人的ベスト曲。キャッチーさとグルーヴ感の気持ちいバランスを改めて教えてくれた曲。
——My favorite works / 自分の作品からのお気に入り
CIRRRCLE – In The Sky
ハーフビートとうねうねベースが聴きどころです。歌詞に合わせたシリアスなムードもよく表現できていると思います。個人的にはプロダクションとして一番の自信作です。
CIRRRCLE – Mental Health
CIRRRCLEならではの明るいサウンドを残しつつ、エモーショナルな世界観を表現できた曲です。
CIRRRCLE – Fast Car
自分の中ではかなり新しいビートにチャレンジした曲です。目指すところの「体が動くグルーヴ」をかなり体現できているかと。Spotifyグローバルの巨大プレイリスト”New Music Friday”にも選出されましたし、CIRRRCLEの代表曲と言えると思います。
CIRRRCLE – Talk Too Much
CIRRRCLEのハッピー感を一番表現できているかな。シンプルな中に車のサウンドを取り入れるといった工夫をこらしています。
SIRUP – PRAYER
ブラスアレンジとSIRUPの歌が相まって、エモさ全開に仕上がった曲。お互いの持っている良さを最大限活かすことができていると思います。
——Message
9月29日(日)に、東京・表参道のWALL&WALLにてCIRRRCLEでライブ出演があります。
共演でDATSとDJ Yazi、そしてシアトル・ロサンゼルスで活動する仲間のThe Flavr Blueの参加が決まっており、楽しいライブになること間違いなしです!
詳細 : http://wallwall.tokyo/schedule/wallwall-3rd-dats-cirrrcle-flavr-blue-dj-yazi/
CIRRRCLE
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