FOR NEW ARRIVALs インタビュー 「現状維持ではなく、常に “今より上を目指す” 」関西発、実力派ロックバンド

インタビュー
2018.11.12
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FOR NEW ARRIVALs | 「現状維持ではなく、常に ”今より上を目指す” 」関西発、実力派ロックバンド
FOR NEW ARRIVALs – L to R : YUTA, KAZZ, SHOTA, DAISUKE, YUICHI
 

関西を拠点に活動するロックバンド、FOR NEW ARRIVALs。その楽曲は、日本語詞で歌われるキャッチーで丁寧なメロディーとダイナミックかつ緻密なアレンジのサウンドで、高い評価を得ている。また、ライブでのその再現性も高く、メンバーそれぞれの確かなテクニックに裏付けされたパフォーマンスにも定評がある。今年の6月にリリースされたEP『Sixth Sense』からはデジタルの配信もはじまり、より幅広くリスナーへリーチ、さらに注目度が高まっているFOR NEW ARRIVALsのメンバー・SHOTA(Vo)、DAISUKE(Gt)、YUTA (Gt)、YUICHI(Ba)、KAZZ(Dr)に話を聞いた。

 

メンバーそれぞれのルーツ

——結成の経緯やバイオはオフィシャルサイトにも掲載されていると思うのですが、改めてFOR NEW ARRIVALsを知るにあたって、まずみなさんが影響を受けた具体的なアーティストを順番にお伺いしてもよいですか?

DAISUKE:具体的なところだと、Bring Me the Horizonの影響が大きいです。ジャンルでいうと、メタルとメタルコア。もともとはLINKIN PARKとかミクスチャーが好きで、そこからだんだんSlipknotだったり、ヘビーなほうにシフトしてきた感じです。ポップなのはあんまり聴かないかもしれないです。

SHOTA:僕は逆にJ-POPしか聴いてこなかったぐらいで。姉がいるんですけど、ジャニーズが好きで、その影響でSMAPやKinKi Kidsを聴いたり。なので、FOR NEW ARRIVALsはサウンドとしては洋楽要素が多くあるんですけど、その中にあっても日本人の耳に馴染みやすいメロディーを意識して作ってます。特定のアーティストというよりは、本当にJ-POP全体に影響を受けてきました。

——トップライン、ボーカルメロディがとてもキャッチーなのはFOR NEW ARRIVALsの特徴でもありますよね。日本語詞で歌われているのもJ-POPからの影響ですか?

SHOTA:そうですね。日本語詞は、前身バンド(Against All Enemies)の頃から変わらずに大切にしてて、こだわっているところです。

——YUTAさんは影響を受けたアーティストというのは?

YUTA:僕はギタープレイと音楽に対するマインドで、それぞれ尊敬するアーティストが違っていて。ギターのプレイスタイルでいうと、スティーヴ・ヴァイやジョー・サトリアーニ、ポール・ギルバート、ジョン・ペトルーシに影響を受けました。すごいギターキッズだったんで、きっかけはメタルからなんですけど、そういうギタリストを経て、今だとDjentも大好きで。もうひとつの音楽に対するマインドに関しては、EXILEのATSUSHIさんをすごく尊敬しています。もう中学生の頃から本当に好きで、ソロライブにもほぼ通ってますし、本も読ませていただいて。その考え方やスタンスにすごく影響を受けています。

——YUTAさんは、個人的にギターのレッスンもやってらっしゃるとか。

YUTA:ちょこちょこですけど、先生やってます(笑)。エレキギターの早弾きとか音楽理論を教えたり。一応、大阪芸術大学出身で音楽の勉強はしてきたんで、一通りは教えられます。

——ドラムのKAZZさんどうですか?

KAZZ :僕はJ-ROCKが好きで、バンドが始めたきっかけもTHE BACK HORNなんですけど、The Black Dahlia Murderとかも好きだったり、好みにまとまりがなくて。とはいっても、僕あんまり普段から音楽聴かないんです(笑)。影響されすぎちゃうっていうのがあって、学生時代も周りで流行ってるのとか ”意地でも聴かんとこ” みたいな感じだったんで。

——プレイスタイルでは?

KAZZ:ドラマーとしてはYOSHIKIさんに憧れてたんですけど、もっとダイレクトな影響でいったら、師匠であるBLOOD STAIN CHILDやShatter Silenceで活動されているYASUさんです。ぶっ倒れるまで叩くみたいな姿勢の部分も含めて。

——最後にベースのYUICHIさんはいかがでしょう?

YUICHI:小さいころ近所に仲の良いお兄さんがいて、その人がベースを最初に教えてくれました。それから音楽の専門学校に行って、ジャズやフュージョンをやって。マーカス・ミラーとKobayashi Naoさんに影響を受けつつ、ひょんなことでロックバンドやるようになって、まぁ面白いなと思って今にいたる感じなんですけど、基本の部分はやっぱりジャズとフュージョンです。最近だったらDirty Loopsのヘンリック・リンダーが好きですね。

 

楽曲制作のプロセス

——みなさんルーツがけっこうバラバラなんですね。そういうみなさんが作られるサウンドは、アレンジも緻密な印象があります。

SHOTA:アレンジは全員でやってます。一曲ずつスタジオで。ストリングスの部分はNAOくんがやってて、彼はエレクトロ系の別ユニットをやってたりするんで、その部分はお任せしてます。

——今年6月にリリースされた『Sixth Sense』に収録されてる「Two Sides」や「クレイ」は、Djentなリフから日本語の綺麗な歌への流れなど、良い意味でギャップがあって印象的でした。

YUTA:今日いないんですけど、コンポーザーメンバーのNAOくんが「TwoSides」を、DAISUKEくんが「クレイ」のリフを考えて。NAOくんも僕と似ててDjent系も好きで。僕はあがってきた曲にちょいちょい調味料的にエッセンスを加える程度で、だいたいの曲の骨組みはDAISUKEくんやNAOくんが作って、歌のメロディーはSHOTAくんという感じで曲はできてます。

——曲のプロトタイプというか、基になるものはどういう風に作られているんでしょうか?

SHOTA:NAOくんはCubase使って作ってるみたいです。

DAISUKE:僕はGarageBandを使ってますね。

SHOTA:NAOくんもDAISUKEも、1人でまるまる一曲作るってことはなくて。一番のサビ終わりくらいまでのがあって、そこに肉付けしていくというか。

DAISUKE:やっぱり一人で全部作りあげてしまったら個人的な好みに偏りすぎるんで、そういう風にしてますね。

——現在のバンドシーンで曲作り、トラックメイクのトレンドとかありますか?ヒップホップだと割とリースやType Beatみたいな流れがあったりもしますけど。

SHOTA:特にトレンドとかはないかも。もうバンドによってぜんぜん違うと思います。DTMで使うソフトから、誰がどこまで作るか。ゲームのソフトで作曲するバンドも聴いたことがありますし(笑)。

 

デジタルリリースをしてみて

——現在、大阪をメインで活動されていますが、大阪のシーンって今どんな感じですか?

SHOTA:前身バンドを含めると、個人的に7年ほどシーンを見てきているんですけど、やっぱりバンドの入れ替わりが激しいっていうのと、ジャンルの移り変わり、浮き沈みを感じます。前身バンドの時はラウドロックが盛り上がった時期だったんですけど、すぐEDMが来て、そう思ってたらあっという間にガールズバンドの流れがきて。アイドルにEDM要素を足したのも出てきたなと思ったら、今はギターロックが人気だったり。なので、僕らは常にそういう流れや波に対してどういうスタンスでいればいいのか、常に考えているところではあります。

——周りを見ていて、気になるバンドはいますか?]

SHOTA:スプリットを一緒に出したChased by Ghost of HYDEPARKは仲もいいですし、単純にカッコいいんで、見てて悔しく思う時もありますね。ストリーミング配信しようと思ったのも、リーダーのTaisukeくんに相談した時にTuneCoreを教えてもらったのがきっかけで。

——それまでストリーミングやサブスクに対してどのように思っていましたか?

SHOTA:そういう動きがあるのはもちろん知ってはいたんですけど、でも結局現場主義というか ”やっぱりCDやん” って反発してた部分も正直あって。でも、今やApple MusicやSpotifyで音楽聴いてる人も増えてるし、そこで知ってもらえる部分もあるなと。実際、配信してみたら、そこから広がって新しいお客さんが来てくれることがあったり、身近な人に今までより聴いてもらえるようになったんで。そういった部分では配信して良かったなと思います。

——音楽の中でも、けっこうジャンルによってデジタルへの移行スピードに違いがありますよね。国内でも、ヒップホップは割と海外の動きに続いて早めにシフトが進んでいるようなのですが、ロックとかはやっぱり若干ゆっくりかなと思います。

SHOTA:そうですね、やっとここ1〜2年で配信限定でシングルをリリースしたり、配信に重きを置いたアプローチをするバンドも出てきましたよね。僕らも配信のメリットを経験したんで、今となっては実感をもって理解できるんですけど、「ライブハウスでCDを買ってもらう」っていうプロセスも身をもって知ってるんで、どちらかに偏りがないようにしたいなっていうのはあります。フィジカルだと、やっぱり歌詞を身近に感じてもらえるメリットもありますし、僕が一回聴いただけで本質を見抜けないような仕掛けを歌詞に入れたりするタイプなので、歌詞をじっくり見て欲しいなと思ってるんで。あと、CDに対して、デザインのこだわりが好きだったり、コレクションしたいっていう層も常に一定はいるかなと。

——『Sixth Sense』だと、盤とデジタルの扱いに関してはどのようになっているんでしょうか?

SHOTA:流通とか盤に関する諸々はレーベルに手がけてもらってて、配信に関しては自分たちでやるっていうカタチでお話させていただいてます。

 

常に 「今より上を目指す」

——そういったバンドの方向性やブランディングは、どなたが担っているのでしょうか?

SHOTA:基本的には僕です。『Sixth Sense』のリリースでは、今まで経験したことないタイアップが決まったり、カラオケに入れてもらったり、タワレコさんでも大きく展開してもらえたり、そうやって徐々に存在感が増すような流れにもなっていますけど、現状維持ではなく、常に ”今より上を目指す” を心がけてます。そういった動きも大事にしつつ、メンバー全員ライブをやってる瞬間が一番好きだっていうのがあるんで、現場もちゃんと大切にしながらですね。

——FOR NEW ARRIVALsはライブパフォーマンスに定評がありますよね。まず当たり前にみなさん演奏のスキルが高くて、そこにプラスアルファの表現力があって。

SHOTA:やっぱり “ライブがいいバンドだよね” って言ってもらえると一番嬉しいです。もちろん音源も頑張って作ってますけど、個人的にはライブを褒めてもらった時の方が嬉しい(笑)。

——ロックバンドもサブジャンルの細分化がどんどん進んでいますよね。

DAISUKE:ジャンルについては、前ほどラウドとかは言われなくなったかも。

SHOTA:ジャンルが細かくなってきてる分、その壁は薄くなってきてる気はします。ツアーをまわると、ジャンルじゃなくて、単純にかっこいいから呼んでるケースが増えてるんじゃないかな。例えば、ギターロックのバンドが歌モノやアイドル呼んでたり。昔はジャンル毎にイベントが組まれてる感じがあったんですけど、今はそういう垣根も崩れてる気はします。僕ら自身は、聴いた人が感じたまま自分なりに解釈してもらえればと思ってるんで ”こういうジャンルとして絶対聴いてほしい!” みたいなのはあまりないです。

——バンドとしてのゴールをメンバーの間で話されたりしますか?

SHOTA:めったにないんですけど、前回のツアーの時そういう話になりました。やっぱり、みんな思ってることはバラバラで。ただ、終着点は違うんですけど、そこにたどり着くにおいては音楽に対してちゃんと向き合った上で、っていうのは同じかなと。僕なんかは50歳になっても歌っていたいんですけど、いずれコンポーザーとしてやっていきたいっていうメンバーもいるし。

——海外への展開は考えていますか?配信だと対象リスナーは全世界なので、サウンドのクオリティ含め国外を見据えるのもありな気もしますが。

SHOTA:日本語詞でやってることもあって、今の所はまだ考えてないです。付け焼き刃の英語で雰囲気だけでは通用しないなってのは分かってるんで、日本語で勝負するからにはまずメインは日本だと思ってます。

——最後に直近の予定などがあれば。

SHOTA:年末に、大阪で地元のバンドだけを集めたカウントダウンイベントを予定しています。ライブは楽しんでもらえる自信はあるので、聴いてみて少しでも気に入ったらライブに足を運んでもらえたら嬉しいです!


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