annie the clumsy インタビュー “奇妙だけどファニーでポップ” ユニークな世界を描くシンガー・ソングライター

インタビュー
2018.10.31
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annie the clumsy | “奇妙だけどファニーでポップ” ユニークな世界を描くシンガー・ソングライター
annie the clumsy

先日開催されたTIMMのショーケースライブ「15th TOKYO INTERNATIONAL MUSIC MARKET LIVE」で国内外のオーディエンスにアトラクティブなパフォーマンスを披露したannie the clumsy。その表現活動は、シンガー・ソングライターやCM音楽クリエイターとしてだけにとどまらず、映像や演技など多岐のフィールドに渡っています。そんな彼女に、ショーケースライブの感想から、音楽をはじめたきっかけ、映像表現、クリエイティブの源、今後についてなど語ってもらいました。

 

ショーケースライブは貴重な経験

——今回、TIMM・ショーケースライブエントリーで選ばれ、そして実際にショーケースライブに出演していかがでしたか?

ショーケースライブはエントリーを募集してるのを見て、3rdアルバムを発売したばかりだったのでとりあえず応募したんですけど、まさか出れるとは思ってなかったです。ショーケースって、なんだろう、なんかライブと違った緊張感があるんですよね。「受け入れてもらえるのかな〜」っていう不安もありますし。


annie the clumsy | “奇妙だけどファニーでポップ” ユニークな世界を描くシンガー・ソングライター
TIMM15th ショーケースでのパフォーマンス

でも大きな会場でやることって本当にないし、英語で話せばいいのか日本語で話せばいいのかわからずおどおどしてしまったんですけど(笑)、観客の皆さんも少し笑ってくれましたし。色々なジャンルの音楽も一度に聴けましたし、貴重な経験ができたかなと思います。出させてもらってありがたかったです。


annie the clumsy | “奇妙だけどファニーでポップ” ユニークな世界を描くシンガー・ソングライター

 

音楽をはじめたきっかけ

——パフォーマンスを拝見させていただきましたが、すごく楽しんでいらっしゃるように感じましたよ。もともとannieさんが音楽をはじめたきっかけというのは?

当時(高校卒業後、イギリス留学時)付き合ってた彼が音楽一家の人で、そばで頻繁に音楽を聴いてたり、友達とセッションしてるのを見てたのと、2010年のクリスマスにその彼からウクレレをもらったことで始めました。自分で曲を作り始めたきっかけは、ニュージーランドのComedy duo “Flight of the Conchords”のクリップをたまたまYouTubeで発見したのがきっかけで。音楽って恋愛のことばかりだと思ってたんですけど、彼らは身の回りで起きたこととかを面白おかしく歌にしてて、それで「あ〜こういう風に表現もできるんだ」って気付かされて、自分でも作り始めました(笑)。

——留学では、はじめは演技の勉強をするためとお伺いしたのですが、そこから表現者として、いったん音楽よりになったのはどうしてですか?

お金がなかったのが一番の理由ですけど、本当、その当時はそんなに英語力がなくて勇気もないから、怖くて劇団にも足を運ばなかったんですね。でも、さっきも言ったように付き合ってた彼が音楽一家だったし、頻繁にセッションしてるのを見て、最初は座って見てるだけだったけど自分もやりたくなってきて。始めたら案外楽しくて音楽を始めましたけど、今になってようやく演技をやり始めることが少しずつできて、なんか遠回りはしたけど音楽のおかげで表現力とかがついたので良かったなと思ってます。

——音楽を始められた後に、影響を受けた音楽というのは?

影響を受けてる音楽は沢山あるんですけど、映画のBGMとかに使われてる曲とか大好きで。映画からアーティストを知る機会が多かったりもするんですけど、She & HimやFiona Apple、Regina Spektorとか、その他にもカートゥーネットワークのアニメとかで流れてる曲からも影響受けますね。前まではメンドくさがり屋だから聴かず嫌いみたいなところがあったんですけど、最近はなんでも聴くようにしてて。

——最近だと、どういったアーティストがお気に入りですか?

Sufjan Stevensや、やっぱりFiona Appleとかかな。掃除するときやお風呂のときだったり、気分によって聴く音楽を変えたりするんですけど、でも最近一番聴いているのは王舟のアルバムですね。王ちゃんはだいぶ前にビッグバンドのライブでお手伝いさせていただいたんですけど、本当に素晴らしくて。あと日本語でも曲を作り始めたくて、カクバリズムからデビューした、お友達のmeiちゃん(mei ehara)の曲とかも聞いたりして勉強してます。

——音楽はどういった環境で制作されているんですか?

宅録ですね。ものすごい小さい部屋にぎゅっと機材を詰め込んでます。宅録に慣れすぎてるのでスタジオが苦手です(笑)。

——曲を作るときにインスピレーションを受けるものはありますか?

自分とその周りで起きたことや、もちろん映画を観てもあるし、カートゥーン観てもあるし、ご飯食べててもあるし、歌ってなんでも作ろうと思えば作れちゃうんですよね。ルールがないところがいいですよね。

——CM音楽の制作もやられているんですよね?

そうなんですよ。本当に嬉しいですよね、こういうお仕事をさせてもらえるって。お友達とかにも「あのCM、アニー?」ってきかれたり、さっと流れたCMの音楽の声だけでそう思ってくれる人がいるって不思議だな〜と。すんごく嬉しいです。

——YAMAHAのオーディションがきっかけにもなっているとか。

YAMAHAのオーディションは、曲を作り始めたら沢山できてきて、それを見てた親に冗談半分で「どっかに送ってみたら?」って言われたのと、自分の曲が他の人にも聴いてもらえるものなのかどうか試してみたくて受けました。緊張しすぎて散々でしたけど、そこから色々始まったんで受けてみてよかったです。

——ミスiD2016では、「山崎まどか賞」を受賞されていましたね

ミスiDは、本当に憧れてたコラムニストの山崎まどかさんに自分の存在を伝えたかったのと、アルバムをリリースしたばかりだったから宣伝したくて。結果アルバムはそんなでしたけど、まどかさんとお話しできたり、賞をもらえたりしたのでミッション成功でした。

——Rallye Labelからリリースされた『Have Yourself a Merry Clumsy Christmas』も2016年のマルイのクリスマスBGMに選出されていましたね。クリスマスアルバムに憧れがあったというのはどうしてですか?

なんでだろう…もともと昔から別にクリスチャンでもないけど、単純にクリスマスが大好きだったからだと思います。音楽をはじめた頃もオーディションで「目標は?」って聞かれたら「クリスマスアルバムを作ることです」って言ってましたね(笑)。また第二弾も作りたいです。

 

自主レーベルでの活動

——今年6月にリリースされた3rdアルバム『Broaden Your Minds, You Must Look Beyond』は、自主レーベルから出されていますよね。やはり”なんでも自分で作りたい”という考えからなんでしょうか?

はい!その通りで。全部自分でやりたくてやってみた結果、自主になりましたね。もちろんいろんな人に相談したんですけど、最後のクリスマスアルバムを出した後、自分の人生の中で色々なことが起きすぎて、情緒不安定にはなるし、制作に焦りたくないし、でもリリース日とかは自分で決めたいとか考えてたら、結局は自主でになりました。

——WHALE TALXさんともコラボされていますが、そのきっかけというのは?

昔からお友達だったんですけど、クリスマスのときに一緒に対バンで、彼らの演奏が終わった後にふざけて「ラップとかやってみたい〜」って言ってたら、すぐに実現しちゃったんですよね。それまでは聴かず嫌いで、ヒップホップ系はそこまで聴いてなかったんです。でも今じゃいろんな方からコラボのオファーをいただいたりとか、NEWS RAP JAPANやフリースタイルダンジョンとかも見るし、WHALE TALXのおかげでannieの視野がちょっと広がったんで感謝ですね。

——今後コラボしたいアーティストはいますか?

Flight of the Conchordsですね。本当これです。彼らの影響でSSWを始めたし・・・。本当に夢です。

——作品は、どういう人に聴いてもらいたいですか?

私みたいに向こう見ずで、ちょっと人生をこじらせてる人に聴いてほしいですかね。”人生不器用でいいんですよ〜”ってな感じで。

——先ほどのように自主でということは、インディペンデントで活動されている?

インディペンデントです。全てDIYで、そこまで自分のマネジメントも得意なわけでもないので、大変だったり苦労したりするんですけど、最近は嬉しいことに友達が増えたので、相談できるところはしたりして活動してます。

——annieさんは英語も堪能ですし、海外での活動を視野に入れていますか?

お金があれば…なんて思うんですけど(笑)。まぁビザさえ取れるんだったら、本当に海外でやりたいなと思うことはいっぱいありますね。でも日本だと音楽の仕事もちょこちょこ入ってくるし、なんだかんだでずっと迷ってたりはするんですけど。日本に帰ってきてから、日本の生活はやっぱりすごく楽で。多分前よりは冒険心がちょっと薄くなっちゃったのかな〜と。でも行きたいですよ!

 

映像は「いかにリアルに見せれるか」

——また、映像もannieさんの活動に欠かせないものだと思うのですが、コメディータッチのショートムービーを作られていますよね。あれはどのように作っているのでしょうか。やはりFlight of the Conchordsからの影響も?

Flight of the Conchordsの影響もありますけど、生活の中で「あ、今この瞬間切り取ったら面白い」とか思ったのを頭の中にメモしておいて(頭の中にしちゃうからたまに忘れちゃうけど)、それをいかにリアルに見せれるかな〜って思って、あえてドキュメンタリーチックにして作ったりしてますね。アイディアはたくさんあるんですよね。でも、今は怠け者すぎて映像にできてなくて、途中まで書きかけて終わった脚本とかもあるし。そろそろやらないとなぁ、って思いつつ時間が過ぎてます。でも本当にそろそろ。

——モキュメンタリーがお好きで、撮りたいともおっしゃっていましたが、音楽を作る上でも日記のような些細なことをモキュメンタリーのように書いたりしますか?

基本日記を歌いながら読み上げてるような感じですね。でも本当に感情がそのまま入ってるので、最近はフィクションを入れるようにしてます。じゃないと、なにかあると歌えなくなるんですよ。例えば2枚目のアルバムに入ってる曲には、そのときに付き合ってた彼のことを歌ってる曲もあって、それはもう歌いたくないし…うん。

——映像制作においては映画の影響も大きいと思うのですが、映画を好きになったきっかけや、annieさんのベストムービーを可能なら教えてください。

親がよく映画を見てたし、映画館にも無理やり連れて行かれてて、気付いたら映画が好きになってましたね。自分の中のベストムービーですか…あり過ぎて難しすぎるんですけど、例えば高校生の頃は「ゴーストワールド」がベストムービーでした。イーニドみたいに常にふてくされてたんで(笑)。人生的にベストでいうと、、、これ言うとけっこう笑われるんですけど「ハリーポッター」にすごく影響を受けてイギリスに行ったというのがあって、そこで色々言語やら音楽やらカルチャーやら学んで帰ってきてるし、それがなかったら今の私はいなかったんで、そう考えたら「ハリーポッター」ですね。

 

今後も一つには絞らずに

——今後の活動は、音楽や映像、演技など、どれかに重きを置くかなどお考えですか?

いや、なんか色々かじったりしてるんで、このまま色々やっていきたいですね。一つのことに絞ってはできない性格なんで、あれこれ手を出してみて、いい感じのものは続けたいかな。人生一度きりですし、”あ〜これしてない”っ後悔したくないんです。最近、周りで映像作家さんやフォトグラファーさん、役者さん達とつながってきてるんで、いつかそちらでもみんなと一緒に何かできたらいいなと考えてます。でも、重い腰あげないとですよね、ほんとに(苦笑)。

——どういうクリエイティブをこれから産み出すか、いま何か構想はありますか?

具体的な構想はありますけど、まだ内緒にしておきましょう(笑)。でも、全てをリアルに描きたいっていうのはあります。

——今後の活動も楽しみにしています。

多分、自分のライブのMCを見たり、これを読んでいただいた人は分かったと思うんですけど、頭では思ってても、まとまりのない脳みそをしてるので(笑)、話があちらこちらに逸れちゃったりして。そういうところもあると思うんですけど、興味を持っていただいてありがとうございます。これからも人生不器用ながらも楽しく生きていきます!


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