Newspeak インタビュー | 異例のスピードで成長、アップデートし続けるデジタル配信時代のロックバンド
2016年リバプールより帰国したRei(The Never Never Club / ex.John Doe Tokyo)、Ryoya (ex.go!go!vanillas)、Yohei(Curtiss)、プロデューサーでもあるSteven(ex.Kando Bando)によって2017年3月に東京で結成されたNewspeak。結成からすぐに、SUMMER SONIC 2017やマグロック 2017に出演、異例の速さでキャリアを重ね続けています。今回は、MANDO DIAO東京公演2DAYSのサポートアクトを務めるNewspeakに、ライブ出演前のタイミングに時間をいただき話をききました。
大きなステージで映えるように
——あけましておめでとうございます!
Newspeak:ハッピーニューイヤー!(笑)
——みなさん元気!2018年になりました。今現在、最新のNewspeakの状況やコンセプトというのは?
Rei:個人的にはフェス映えできたらいいなと。去年はガンガンがむしゃらにやってたんですけど、今年はサーキットイベントやフェスなどでより多くの不特定多数の人に聴いてもらいたいというのがあるので「フェス映えしそうな」という大きなイメージを常に持ってやっていきたいです。
Yohey:去年ありがたいことに、サマーソニックとかマグロックとか、リキッドルームでやったり、今日はクアトロですけど、バンドマンなら憧れるステージに早くも出させてもらって、自分たちの曲はこういうステージで映えると思うので、大きなステージにもっとハマる感じでやっていきたいなって思ってます。
——Newspaekの音楽からは柔らかい生命力というか、湖のようなジワリとした豊かさを感じるのですが、そういった部分は意識的に作り出されているものなのでしょうか?
Rei:ある時期に好きだった音楽を、改めて時間が経ったあとに聴くと、ある特定の感情や情景、においを思い出す感覚ってあるじゃないですか?あれが好きなんです(笑)。だから、自分の作る音楽でもそれを感じて欲しくて、そのためには曲を書くときに頭の中にある“景色”をバンドと共有して、それを、アレンジやレコーディングを通じて盤におさめるまでメンバーみんなで保ち続けるという意識は常にしてます。その“景色”が言ってもらえたような生命力であったり湖のような豊かさといったことにつながっていると思うんで、そう感じてもらえたとしたら嬉しいですね。
オーウェルの“Newspeak”という言葉に音楽でポジティブなイメージを
——過去のインタビューで「色々な生活を送っていく中での共通言語として、僕らの音楽が新しいコミュニケーションのツールになるといいな」とお答えされていましたが、実際にそういう体験はふえましたか?
Yohey:コミュニケーションに使ってもらえるっていうのは本当嬉しいですよね。バンド名でもある“Newspeak”と聞くとGeorge Orwellの小説「1984年」をご存知の方は「現存する言葉の意味、概念を限定することで思想を統制していく」というようなネガティブなイメージがあるかも知れないんですけど、僕らの場合は“Newspeak”という言葉に僕らの音楽でポジティブなイメージを新たに追加することで、新しいコミュニケーションツールとして受け取ってもらえると嬉しいかなって。
Rei:僕らの意味する“Newspeak”は「膨大化した情報の中から余計なものを削ぎ落とすことで思想を解放する」って感じですかね。毎日色んなことがあるけど、結局は「楽しい」、「悲しい」、「嬉しい」とか子供の頃と同じような感情をもって生きてるよな、みんな素直になろうぜ、みたいな(笑)。例えば、Newspeakのライブを通してライブハウスでお客さんどうしが仲良くなったりを見ると嬉しいです。年齢もバラバラの人たちが僕らの曲で感情を共有してくれてて、実際コミュニケーションのツールになってるんだなって。
こないだリバプールにカラオケしてるパブみたいのがあって覗いてみたらThe Killersの「Human」を50歳とか60歳くらいの人たちが大合唱してて。2000年代の音楽を、そのくらいの歳の人たちがみんなで「ウワー!」って熱唱してるのとか、すごくいいなって思って。だから日本だとスナックみたいなところでも僕らの曲が流れてそれくらいの年齢の人たちも大合唱してくれてたらすごく嬉しいです(笑)。まぁでもそれこそ俺らの音楽を聞いてくれる人には、俺らのイメージする“Newspeak”という言葉の意味にさえ縛られずに楽しんでもらえればと思います。
デジタル配信を積極的に活用
——Newspeakはデジタル配信に力を入れていると思いますが、結成当初からの方針ですか?またデジタル配信で意識している部分はありますか?
Rei:デジタル配信は最初から考えていましたね。もう2018年ですし。多分僕らみたいな音楽は物理的な制限をなくした方が面白いことが出来そう、起こりそうだなと思っていて、デジタル配信することで結局はフィジカルな部分につながってくると思っています。SpotifyやTuneCoreで自分たちの音楽が世界のどこから聴かれているのかってのがわかる機能があるんですけど、すごく面白いですよ。英米もそうですが、「台湾とかブラジルの人、めちゃ聴いてくれてる!札幌の人もたくさん聴いてくれてるな」とかわかるんです。いつか実際にそういう場所に行って何かやりたいというモチベーションにもつながります。デジタルで良かったから盤を買ってくれる人もたくさんいますし。
気をつかってることは、コンテンツをコンスタントにファンに届けるっていうことですかね。ネット上のものはリアルのものとくらべ移り変わりが速いので。HONNEとかAmPmとか1〜2ヶ月の短いスパンで作品を発信していて、そういうところは見習わないとなって思います。
Yohey:パッケージがないぶん、こっちがちゃんと準備を怠らないっていうことですかね。リリース後の流れも意識したり。そもそもデジタル配信に力を入れることで、いい意味で手軽さやスピード感を求めていて。もちろんレコードやCDなんかがやっぱり僕自身も大好きだし、どんな形で音楽と付き合うかは人それぞれだと思うんですが、ただ僕らにとっては媒体にかかわらずより多くの人に聴いてもらうことが一番大事なことなので。
CDやライブ以外でも僕らの音楽を届けられるシステムがしっかりとあることってほんとに恵まれてると思うんです。だからこそなんですが、僕ら自身も受動的にならずに、自分から新しい良い音楽を探すことが大事ですし、その上でその他大勢にならないように、ちゃんと見つけてもらえるようなシンプルな楽曲の良さとか新しさを追求して更新していく努力が、一番気をつけたいし、大事なことなのかなと思います。
Rei:だね。俺らみたいなインディペンデントでやってるバンドがそういうツールを使わない手はないよな。
——アーティスト活動の中でよく使うデジタルツールはありますか?
Yohey:バンドマンって共有するためのツールを使うことが多いですよね。メンバーとの共有にDropbox使ったり。Spotifyのプレイリストで「これいいよね」とか「最近聴いてる曲を」伝えたりするのも便利ですね。
——移動中にみなさんが聴いているお気に入りアーティストを1組あげるとすれば?
Rei:BLINK182です(笑)。
Yohey、Steven、Ryoya:NICKELBACK、アヴリル・ラヴィーン、AmPm、Chai、BRADIO。
Rei:ひとつだってば(笑)。BLINK182です。
全員:(笑)
——少し話は変わりますが、音楽以外に好きで続けていることはありますか?お一人ずつお聞きしたいです。
Yohey:チャリと料理が好き。
Rei:僕は旅行ですね。この間もリスボン、リバプール、グラスゴー、マンチェスター、イスラマバード行ってきたんです。
Ryoya:僕はワイン。
Yohey:ワインんんん?
全員:(笑)
Steven:YouTubeのマニアックなところまでいっぱい見る、かな。
「自然に海外に行けるっていうスタンスでいたい」
——海外での公演はもちろん考えていると思いますが、今後のNewspeakの目指すところを教えてください。
Rei:場所の制限はまったく考えてないのでもちろん海外公演はやりたいですね。ただ自発的に目指すところとしては、国内でまだ行けてないところがたくさんあるので、国内ツアーしたいですね。そこから、海外も考えて行きたいです。デジタル配信で反響のある地域とか。
Yohey:日本で成り立つっていうのはもちろん考えてますけど、自然に海外に行きたいっていうのはあります。ねらって準備して行くっていうよりは、「日本のバンドも世界に普通に行くよね」っていう感じでやっていきたいです。自然に海外に行けるっていうスタンスでいたいです。
Rei:間違いないっすよ、へいさん!
Steven:呼ばれてください。
全員:(笑)
Rei:グラストンベリーは絶対出たいな。Lollapalooza、レディング&リーズ・フェスティバル。あとサウンドシティー。あとはアジアはいまロックがアツいみたいなので台湾、バンコク、ジャカルタ、シンガポール、上海とかその辺も行ってみたい。
Yohey:コーチェラに出たいよね。今日一緒のMANDO DIAOとかもそうですけど音楽でつながってくっていう意味では、僕らが聴いてる洋楽のアーティストと普通に友達になりたいですね。自然に。
——今日は本番前の貴重なお時間をいただき、ありがとうございました!
Newspeak
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取材:Shunki Baba
写真:Hiroya Brian Nakano