まつむら かなうインタビュー 共感を呼ぶ歌詞とサウンドで若者を中心に人気を集めるZ世代シンガーソングライター

2022.11.19

まつむら かなう インタビュー | 共感を呼ぶ歌詞とサウンドで若者を中心に人気を集めるZ世代シンガーソングライター

高校生の時の歌唱動画がSNSで話題となり(2022年11月15日時点で737万再生)、その後はじめてのリリース楽曲「最上級の大正解」がSpotify Japanのトップ10(最高8位)にチャートインするなど、颯爽とシーンに登場したシンガーソングライター・まつむら かなう。Z世代アーティストらしくTikTokをメインに活動、共感を呼ぶ歌詞と聞き心地の良い歌声が若者を中心に支持を集めている。先日、新曲「方向音痴」をリリースし、TikTokの「TikTok Sessions」にも出演するなど注目度がさらに高まっているまつむら かなうに話を聞いた。

 
 
偶然バズった歌唱動画

——まつむらさんは高校の修学旅行の時の歌ってみた動画がすごい勢いでバズったことで最初知られたと思いますが、当時から音楽的な活動はされていたのでしょうか?

高校に入る直前くらいからSNSにちょっとずつ歌う動画を載せていたんで、友達からも “この人は歌っている人だ” っていう認識はされていました。それで高校2年生の時に修学旅行のクラスのバスで、せっかくだから歌ったら?ってマイクを渡されて音源流されて、もう歌わざるを得なくなって歌ったら、その様子をクラスの子が撮っててTikTokにあげたら、それがバズったんです。で、自分でもYouTubeにあげたらそれがまたバズってしまったという感じで。

 
——そもそも音楽や音楽活動に興味を持ったきっかけというのは?

今も音楽活動している姉が高校卒業したあと音楽アカデミーに通ってて、それがきっかけで色んなアーティストのライブを見る機会があったんですけど、そのライブでお客さんが感動して泣いたり笑ったりするのを目の当たりにして、人を感動させる姿がかっこいいなと思ったんです。歌声ひとつでそういうことができるのってすごい夢あるなって。それからどんどん音楽を好きになって曲もたくさん聴くようになりました。

 
——たしかBliseyのFUKAさんがお姉さんなんですよね?

はい、そうです。

 
——具体的にどういうアーティストや音楽を聴いていましたか?

ベリーグッドマンさんをよく聴いていました。ベリーグッドマンさんはお姉ちゃんの先輩でもあって。ライブも見に行って曲もすごく聴いていました。

 
——自分で歌い始めて、ひょっとして自分って歌上手いかもって気付いたタイミングはありましたか?

上手いというよりか、自分って歌が好きなんやなっていうのは、SNSに載せ始めたころから思っていました。周りから歌ってって言われて、歌う楽しさややりがいみたいなのはちょっとずつ感じたりして。この前、中学の卒業の寄せ書きをたまたま見返したら、誰かが”将来テレビに出るの楽しみにしてる”って書いてて。冗談交じりかもしれないんですけど、音楽の道に進むことを自分や周りもなんとなく思っていたのかなって最近改めて気付いたりしました。

 
 
初リリースがいきなりバイラルチャートイン

——最初のリリース曲「最上級の大正解」もいきなりSpotifyのバイラルチャートに入りましたよね。「最上級の大正解」はどういう風に生まれた楽曲だったんですか?

TikTokでカップル動画に色んな曲が使われてるのを見てて、こういう動画に使われるような曲を自分でも作りたいなって思ったのがきっかけです。歌詞動画を作るカップルに気に入ってもらえそうな歌詞をイメージして書いて、メロディーをつけて、とりあえず一部分だけ投稿したら反応をいただけたので、それからフルを作ってリリースしました。

まつむらかなう
「最上級の大正解」

https://linkco.re/Y3hGgAxZ

 
——まつむらさんのTikTokを拝見すると、オリジナル曲のリリース前にまずは一部分だけ投稿してリアクションを見るっていうのをやっていますよね?

そうですね、「最上級の大正解」をリリースする前から、色々試したりしています。

 
——カバーも含めて弾き語りをたくさん投稿されていますが、ギターも歌と同じ頃に始めたんですか?

ギターは最低限曲を作れるくらいは弾けたほうがいいと思って、高校2年くらいから触りはじめました。でも全然まだまだで、もっと練習しなくちゃって思ってます。

 
——音楽を専門的に学んだりは?

学んだことはなくて、最初はYouTubeでギターを弾いてる動画を参考に見よう見まねではじめました。まずは指を痛めつけて固くしろって動画で言ってたんで(笑)、全然コード鳴らないなって思いながらひたすら触ってました。それでコードも覚えて、色んな曲に使えるコードを使ってカバーしたり。

 
——そのカバーもTikTokで頻繁にアップされていると思うのですが、TikTokも音楽を始めてからスタートしたんですか?

そうです。はじめの頃はほぼ毎日がむしゃらにカバーを投稿してました。

 
——投稿をし続けていて手応えはすぐにありましたか?

それが最初の頃は全くなくて。本当に心が折れるくらい無反応だったんですけど、それでもいいからとにかくやってみようと。ある時「最上級の大正解」のサビだけを弾き語りで載せたらけっこう再生が伸びたんです。それで、カバーだけじゃなく自分のオリジナルも聴いてもらえるんだなって、少し手応えを感じて。それからですね。

 
——ちなみに投稿するカバー曲はどうやって決めていますか?

基本的には適当なんですけど、しいて言うなら流行ってる曲や再生が多くされてる曲の中から、自分にあってる曲をカバーするようにしています。時々ですが、リスナーさんのリクエストに応えることもあります。

 
 
Z世代ならではの活動スタイル

——まつむらさんは、まさにTikTokを上手に活用している世代のアーティストだと思いますが、今までやってきてTikTokで気付いたコツや意識していることってあったりしますか?

投稿時間や内容をある程度統一性をもたせるようにはしています。あと、当たり前のことですけど動画に歌詞を入れる際はTikTokのメニューの文字に被らないようにしたりとか。照明暗めでギターの手元を映して顔は出さないっていうフォーマットは自分がはじめた時にそれがもう主流だったし、無駄な情報がなくて歌声や歌詞に集中してもらいやすいかなと思ってそうしています。暗めの方が歌詞も読みやすく映えやすくなるので。

 
——動画を撮る際に機材のこだわりとかありますか?

特になくて、スマホのアプリだけです。パソコン持ってなくて(笑)。

 
——そのスタイルが本当にZ世代ですね。作詞・作曲のスタイルについては?

例えば「最上級の大正解」の場合だと、「最上級」っていう言葉が思い浮かんで。それと恋愛を結びつけて広げていったりとか。なので、歌詞はまず頭に浮かんだキーワードを軸に考えていくことが多いです。メロディはコードを決めた後に鼻歌で入れて、それから歌詞の語感も考えたりして。でもほとんど感覚です(笑)。基本的にアレンジは知り合いのプロのトラックメイカーさんとかにお願いしています。ある程度のイメージ、リファレンスは最初に出させていただきつつ。

 
——「最上級の大正解」に続く「こいねがい」はどういった曲になっていますか?

「最上級の大正解」が初リリースではあるんですけど、オリジナルでサビだけ作ったのは「こいねがい」の方が先でした。なので「こいねがい」は思い入れが強い曲です。鍵盤のアレンジのイメージもアタマの中にあって、歌詞も同じく切ない恋愛という内容です。

まつむら かなう、「こいねがい」
「こいねがい」

https://linkco.re/gfX9Hcms

 
——その次の「友達以上恋人未満」はさらにクオリティが上がっている感じがしますね。

タイトルどおりなんですけど、好きって伝えてしまったら今の関係が崩れてしまうというもどかしい関係を描いています。こういう境遇にいる人ってある程度限られているから万人受けしないかなと思ったんですけど、そういう境遇じゃなくても曲調そのものを好きになってくれる人もけっこう多くて、それは新しい発見でした。

 
——「友達以上恋人未満」はサビの節回しも独特で非常に印象的な作りになっていますよね。

自然におりてくるって言ったら調子にのってるみたいですけど(笑)、感覚的に作っています。韻を踏む気持ちよさとか、そういうのは直感だったりします。

「友達以上恋人未満」

https://linkco.re/N6YFE2sr

 
——そして新曲「方向音痴」をリリースされましたが、こちらはどういった曲になっていますか?

男性に好意を寄せる女性の気持ちを歌った曲になっていて、どこに向かっていけばいいのか分からない追いかける気持ちや恋心を交通にかけています。なので、歌詞でも一方通行や信号の色だったりで気持ちの関係性を表しています。サウンド的にも今までとはまた違う曲調やテンポになっていて、そういった部分でも耳に残るようなアレンジにしていただきました。

「方向音痴」

https://linkco.re/R2fa1BxD

 
 
「“まつむら かなう” という存在、名前をアーティストとして確立していきたい」

——曲作りで苦労するのはどんな時ですか?

最近聴いた曲に似てしまっていたり、全然思いつかないっていうのは普通にあります。あと、けっこうモチベーションに左右されるかもしれません。なので毎日曲作りをしているわけではなくて、作りたくなったら作るっていう。

 
——TikTokにポストするカバーは毎日ですか?

前まではそうだったんですけど、最近はある程度カバーの投稿は落ち着いてきています。もっと自分の曲を打ち出したいんで、以前に比べるとカバーは減っています。

 
——コメント欄など、リスナーやファンとのやりとりで意識していることはありますか?

親近感は意識しています。返せる範囲でDMも返信しますし、ファンとの距離感がなるべく近くいれるようコミュニケーションを取るようにしています。それこそ友達的な存在じゃないですけど、心の拠り所になれたらなと思っています。

 
——SNSでの他のアーティストの動きは気になりますか?

同世代や知り合いとかでもフォロワー数がすごい人はやっぱりたくさんいますし、上には上がいるんで、もうある時期からは数字だけじゃないんだ、たかが数字なんだと思うようになりました。今の時代、みんな数字を意識し過ぎだと思うんですよね。なので、ずっと聴き続けてくれている人たちのために一生懸命やっていたら自然と数字もついてくるのかなと思っています。さすがにゼロになったら気にしますけど(笑)。

 
——SNSはネガティブなコメントも時々あったりするかもしれなくて、そういう時にメンタルはどのようにコントロールしていますか?

僕アンチコメントにはあまり落ち込まないんですよね。気にならないっていうか「あぁ、そうなんや」くらいで。関西人特有なところかもしれないですが(笑)。めちゃたくさんだったら分からないですけど、たくさんある中の何個かだったら所詮SNSで文字で言ってるだけなので。直接言われたら傷つくかもしれないですけど(笑)。

 
——現在、普段はもう音楽だけの生活でしょうか?

そうですね、最近はアルバイトもあんまり入ってなくて。趣味で格闘技を見たり、友達とは普通に遊びますけど、今はほぼ音楽だけです。

 
——今後一緒に曲を作ったり、共演したいアーティストはいますか?

将来的にですけど、例えばkojikojiさんのようなアーティストとフィーチャリングで一緒に曲をリリースできたらなと思います。あとは、同世代で繋がっているアーティストの方で、負けないように追いつけ追い越せじゃないですけど、そういう存在の方ですかね。

 
——現在ライブはけっこうやっていますか?

実はお客さんの前でのライブはまだやったことがなくて。ラジオのゲストでとはありますけど。なので、先日のTikTokのライブ「TikTok Sessions」はめっちゃ緊張しました。とりあえず今はまず曲をどんどんリリースしてリスナーを増やしていこうという段階です。

 
——ライブはあえてやってこなかった?

特に理由はなくて、SNSを中心にやってきたんで単純に機会がなかったという感じで。

 
——まずSNSとストリーミングからというのが、新しい世代ならではの動きですね。最後に今後の活動に関して考えていることがあれば教えてください。

今後はSNSだけじゃなくライブ活動もするつもりですし、曲はもちろん人間的なキャラクターも含めて “まつむら かなう” っていう存在、名前をアーティストとして確立していきたいです。なので、これからも引き続き活動に注目してもらえたら嬉しいです。どうぞよろしくお願いします!

 

まつむら かなう
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