ミディ インタビュー 作曲VTuberとして7周年、音楽制作は「まず動いてみること」

2018年1月13日より作曲をメインとしたVTuberとして活動開始したミディ。アニメやゲームなどに楽曲提供やVTuberへの楽曲提供も積極的に行っており、自身のチャンネルでは曲の作り方などの動画を配信、そして昨年開催されたアーティスト/クリエイターサポートプロジェクト「Rework with『可愛くてごめん』」に参加し、Remixが見事優秀曲に選出。VTuberとして活動7周年を迎えた現状、そして今回のプロジェクト参加の思いを聞いた。
作曲VTuberとして7周年を迎えた今
——ミディさんは現在どのような活動をされているのでしょうか?
もともと作曲家としてキャリアをスタートしまして、2018年からVTuberの活動を開始しました。VTuberとしては、作曲の楽しさや作曲自体のプロセスや方法といった動画をメインに投稿しつつ、オリジナル楽曲もリリースしています。あとはVTuberさんや声優さん、アーティストさんへの楽曲提供ですね。最近ですとバンダイナムコさんがやられている電音部に4曲ほど提供させていただきました。
——事務所に所属されたりというのは?
ずっとフリーランスで活動しています。もう完全に自分でという感じで。
——インディペンデントなんですね。作曲VTuberをされる前からすでに作家としてのキャリアもあったということで、作家としてキャリアを積み始めたタイミングやきっかけというのはどんな感じだったのでしょうか?
自分の配信でも話してるんですけど、音楽の専門学校に通っていて、その時にいくつか事務所からお声がけいただいて、トライアルみたいな形で入ったんです。ですが、どこかに所属するというカタチが自分にはちょっと合わないなと感じまして。そんな時に、Twitter(現X) で弟子を募集している作家の人を見かけまして、それで連絡して弟子入りさせてもらって。そこで1年間ほど色々勉強してキャリアを積ませていただいたんです。作家としてはそこからになりますね。
——VTuberカルチャー初期からの活動ということで、ミディさんはまさに先駆けであり独自のポジションを確立されていますよね。先日はVTuber活動で丸7年を迎えられたということですが、この7年間を振り返っていかがですか?
そもそもVTuber自体が100人くらいしかいなかった時から始めたんですけど、最初は面白半分でしたけど、まさか作家よりVTuber活動がメインになるとは思っていませんでした。
あと、自分がVTuberを始めた頃には、まだVTuberがオリジナル曲を作ったりリリースするっていう文化がそもそもなかったんです。最近は、個人で活動してる人も含めてみなさん1曲はオリジナル曲がありますし、それが当たり前みたいな時代になったというのがすごいなと。やはりそれだけ世の中にVTuberカルチャーが広がったということだと思います。
——VTuber活動ではどういったことがモチベーションになっていますか?
自分の好きなことをやって、見てくれる人や応援してくれる人が増えることはやはりモチベーションになりますし、そこから評価いただいて新しい仕事にもつながるっていう良い循環になっている気がしますね。
作家って基本裏方なんですよね。ビッグネームの人しか名前を知られる機会がない。だから作家活動だけの時はなんか寂しいなと思っていて。パフォーマンスをするアーティストさんはもちろんですけど、今の時代って誰が作ってるかというのもすごく重要になっている気がするんで、自分のブランドじゃないですけど自分の名前があることでその作品をもっと好きになってくれる人が少しでも増えたらいいなと。
——また、作曲VTuberということで、ミディさんの活動から曲を作り始めましたみたいな人もいらっしゃいますよね。
そうですね。あと、それこそDTMとかも。自分の曲の作り方の動画からDTM始めましたという人もいますし、今はちょっとした知識とパソコンさえあれば誰でも音楽を作れる時代になっているので、そういったお役に立てていればとても嬉しいです。
「二次創作には積極的」
——ここからは、先日ミディさんの作品が優秀楽曲に選ばれた「Rework with『可愛くてごめん』」についてお伺いします。この企画自体はどうやってお知りになりましたか?
以前やられていた一青窈さんの「ハナミズキ」の時に知って、「あ、こんなのあるんだ!面白そう」って思ったんですけど、その時は参加するタイミングを逃してしまって。それで次は「可愛くてごめん」で実施ということで、ネットシーンをはじめシンプルに誰でも知っている曲でありつつ自分の作るジャンルやサウンドとの親和性も高いので、改めて面白そうだからやってみようかなと。
——「Rework with」という企画にはクリエイターエコノミーや二次創作の支援という面がありますが、その辺りについてミディさんはどのようにお考えですか?
やはりインターネットで活動していると、二次創作ってめちゃめちゃ強いなと思うんですよね。元の曲が二次創作から広まるということが、これまでにもう数え切れないくらい起きてきたわけじゃないですか。ニコニコ動画からYouTube、ここ最近ではTikTokでも。やはり一人で作って一人で広めるのってかなり難しいと思うので、二次創作できるかできないかっていうのは楽曲を広めるという点においてはものすごく大きいと思います。なので自分も二次創作には積極的ですし、逆に自分の作品も二次創作はOKにしていたいというのは常々思っています。
——そして、今回の企画に参加されたミディさんのリミックス作品についてですが、Kawaii Future Bassなアレンジになっていますね。
原曲が可愛いバンドサウンドだったので、それにEDMの要素を足してもうちょっとインターネットな感じというか、そういう方向のサウンドを意識しました。他の方のリミックスも聴いてみたんですけど、原曲をガラッと変えるかっこいいリミックスがたくさんありました。でも、自分の場合は原曲の雰囲気等を維持しながらのアレンジがポリシーというかそういうアプローチが好きなので、こういったリミックスに仕上げました。やはりタイトルにもあるように“可愛さ”がメインにある楽曲なので、そこを意識して元のギターやグロッケンも活かしつつ、さらに乗れるよう土台の部分でテンポを速くしました。
——ちなみに、制作にはどれくらいかかりましたか?
多分3時間くらいだったと思います。このリミックスはすごく楽しくて、ステムを聞いた瞬間から具体的なアレンジのイメージもぱっと浮かびましたし、早かったです。
——たしかに、この企画はステムをひとつひとつ確認できることも非常に勉強になるという声も見かけます。
そうだと思います。隠し要素じゃないですけど、あの部分でギターでこんなフレーズを弾いてるんだみたいな。そういう発見がけっこうありましたし、普通に勉強になりましたね。このサウンドは多分こうやって作ってるんだろうなって推測ができたりも楽しかったです。作曲初心者の人には特に参考になると思いますね。「あ、曲ってこういうパーツでできてるんだ」「サビ前はこうやるんだ」みたいな。なので、そういう意味では有名な曲のステム公開っていうのはすごくありがたいですし、良い試みだなと改めて思いました。
——ご自身のリミックスの聞きどころをあえてあげるなら?
一番はやっぱりサビですかね。原曲のサビの雰囲気を守りつつ、でもコード進行は割と変えていたり。そういう味付けを変えながらも元の可愛さとかを損なわないように、かつさらにノリノリになれるところ。特にドラムは少し硬めに、アタックを強くして、どんな環境で聴いても気持ちいい、ハマりがいいというのを目指しました。
![ミディ「可愛くてごめん (feat. Honey Works & かぴ) [Remix]」](https://magazine.tunecore.co.jp/wp-content/uploads/2100/12/itd1181468.png)
音楽制作は、まず動いてみることから
——ぜひリスナーさんはその辺りを意識して改めて聞いていただければと思います。今回優秀楽曲への選出ということで、ミディさんの作品に対してHoneyWorksのshitoさんからも下記のコメントが届いています。こちらのコメントをいただいていかがでしょうか?
「可愛くてごめんの可愛さを違うアプローチからしっかり表現された素敵なアレンジだと思いました。バキッとした音色もとても好きです。機会があればぜひコラボをさせていただきたいです。」(HoneyWorks shito)
それこそバキッとした音色はまさに狙って手がけたので、よく分かってくださってるなと。やはりそもそもが素晴らしい曲だったからこそここまで楽しく取り組めたと思うので、すごく嬉しいです。自分も普段からHoneyWorksの曲を聴いているので、こちらこそ本当に機会をいただけるならぜひコラボさせていただきたいです。
——もしコラボするならどういったことをされたいですか?
編曲や公式リミックスとか、ぜひやらせていただきたいですね。実現したらめちゃめちゃ嬉しいです!
——様々な活動で今年もお忙しくなりそうですね。今年はどういう一年にしていきたいですか?
去年はけっこう楽曲提供が多かったので、今年はもう少し自分の曲、作品を作っていきたいです。それと、大きい規模のアニメとか、そういうところと何かできたらいいなと考えています。
あと、去年の秋M3で出したミニアルバム『ENIGMA』を配信でもリリースしているので、それもチェックしてもらえたら嬉しいです。

——では最後に、音楽を教え、広める立場として、これから曲を作りたいと思ってる人たちにアドバイスをお願いします。
今の時代、本当に創作のハードルが下がっていますし、自分の動画を含めYouTubeでHow toがたくさん公開されていてやる気さえあれば誰でも音楽制作はできるので、まずは動いてみる、というところですね。そして、納得のいくものが出来てそれを広めたいと思ったらSNSもあるし、それこそチューンコアさんを通じて世界にもリリースできますからね。そういった中で、試行錯誤しながら自分にあったやり方を身につけていくといいのかなと思います。
ミディ
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