春野 インタビュー 「なるべく展開を複雑化しないように、音楽に於ける空間の在り方を模索している」

インタビュー
2019.8.29
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クラシックピアノをバックグラウンドに持ち、Lo-Fiかつ美麗なサウンドでネットを中心に海外からも人気を集める 春野。その活動は自身の作品だけにとどまらず、劇伴や幅広いアーティストへの楽曲提供など多方面に及んでいる。8月28日には、1st EP『CULT』をリリース。YouTubeで24万回以上再生されている人気曲「ターミナルセンター」ほか、本作のために書き下ろされた「燃える夜」、「針と糸」などを収録、新進気鋭の音楽家・春野の今を感じることのできる作品に仕上がっている。


【IYOW 】春野 「なるべく展開を複雑化しないように、空間を大切にしている」

About : 春野

1996年生まれ、東京出身。現在は音楽家として活動。

 
——キャリアスタートのきっかけ

4歳からピアノをやっていて本当はピアニストになりたかったんですよね。10年くらい続けて結局は辞めてしまったんですけど。しかも、親が僕に何か楽器を演奏させたくて勧めたわけじゃないんです。自分で言い出して、なのに何も成せずに放り出して。責任みたいなのは感じていました。

それからというものずっと、燻っていたというか音楽に何か期待していた自分がいて。バンドを組む友だちがいなかったのもあって、それなら一人で作曲しようと思ったのが最初のきっかけです。

 
——ターニングポイント

それまではボーカロイドに歌ってもらう曲を中心に活動していたのですが、17年の晩秋、FKJの「Skyline」を有線で耳にして「何だこれは」と。曲がりなりにも十余年培った音楽観を根底から疑うことになるきっかけでした。平たく言うと男声に可能性を感じたんです。更に踏み込むとクオンタイズされない楽器ともとれますね。

FKJ – Skyline

 
その時から自分の表現したいものは何なのか自問する日々があって、18年はインストゥルメンタルのアルバム2枚を出しました。やがて徐々に自身のボーカルを使うスタイルに転換していきました。

 
——最新作

春野 – ターミナルセンター

 
春野 – Broadcast

 
春野 – MIST

 
——キャリア当初の制作環境

フリマで安く買い叩いたゲーミングPCを使ってました(笑)。

 
——現在の制作環境

今は防音のスタジオを兼ねた自宅で、不自由なく制作させてもらってますね。


【IYOW 】春野 「なるべく展開を複雑化しないように、空間を大切にしている」

 
——メインの機材

PC : Windows 10

DAW : Cubase Pro 9.5

I/F : Universal Audio Apollo Twin USB

Keyboard : Nektar Panorama P6

Guitar : FenderUSA American Vintage 80s


【IYOW 】春野 「なるべく展開を複雑化しないように、空間を大切にしている」
Nektar Panorama P6

 
——モニター環境

Headphone : Beyerdynamic DT 1990 Pro

Earphone : Sennheiser IE 800

Moniter : YAMAHA MSP5

 
——使用音源

u-he Diva
シンセサイザーは大体これを使います。アナログライクな音を出すのには全幅の信頼を寄せてます。

 
——使用プラグイン

Soundtoys EchoBoy
音像を弄るためによく使います。極端な設定にして遊んだりもしますね。アイデアにもなるし。

 
——ビートメイクのプロセス

始めにビートを置いて、そこにコードとメロディーを同時に乗せていきます。ウワモノが入るのはその後です。

 
——ビートメイクポリシー

そうだなあ、なるべく展開を複雑化しないようにいつも考えています。一度置いた音を抜くことも多いですね。音楽に於ける空間の在り方を模索しています。

 
——最も影響を受けたプロデューサー/ビートメイカー

FKJ

メロウなビートとグルーヴ、室内楽であるのにどこか広大なサウンドメイキング。一生追求していく気がします。

 
——影響を受けた楽曲

坂本龍一 – Merry Christmas Mr. Lawrence

ピアノを始めたきっかけです。僕の音楽を構成する中で大切な曲ですね。コード、メロディー、ピアノの楽器としての重要性… 挙げればキリがないです(笑)。

 
——My favorite works / 自分の作品からのお気に入り

春野 – ターミナルセンター

この曲は僕の曲中でもわりと前向きなリリックなのですが、メロディーに詞を当てはめる作業の中で限りなく当時の心象に近いことばを摘み取れたと思っていて、良いメロディに良いリリックが相乗して最強になりました。

 
haruno – when u were there

これはインストゥルメンタルなのですが、僕の曲の中でも最も上手く叙情を創出できた作品の一つだと思っています。

 
——Message

8月28日に、1stとなる作品集、EP『CULT』をリリースしました。今現在の春野としての存在を確かめるような1枚です。ぜひ聴いてみてください。


【IYOW 】春野 「なるべく展開を複雑化しないように、空間を大切にしている」

EP『CULT』 各配信ストア : https://linkco.re/7NZs0h8f

 

春野
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