みかんサイダー インタビュー 等身大の表現で共感を集める二人のナチュラルなスタンス
その親しみやすさとストレートな音楽表現で、10代、特に女子からの人気が急増している"みかんサイダー"。演劇部の先輩・ちなつと後輩・あきによる弾き語りユニットは、路上ライブを原点にしつつ、MixChannelで一躍人気になるなど、オンラインでもオフラインでも二人の音楽とキャラクターは見る人・聴く人の心に届いているようです。「今後さらに幅広い人に歌を届けていきたい」と語る、みかんサイダーらしさ溢れる二人のインタビューをおとどけします。
路上ライブで培った歌を届ける気持ち
——先日はTSUTAYA O-nestでワンマンライブをされていましたね。いかがでしたか?
ちなつ:ワンマンライブ自体は高校生の頃から毎年やっているんですけど、会場はやるごとに大きくなってきています。TSUTAYA O-nestは今までやってきた中で一番大きい会場だったんですけど、YouTubeを始めたこともあってか、今回のワンマンは新しいファンの方にもたくさん来ていただけました。
あき:なので、改めて気合を入れたというか、踊ったりバンドを入れたり、いつもと違うことにもチャレンジして、私たちもとても楽しめたライブでした。
——順調に活動のスケールが大きくなっているようですが、お二人がそもそも音楽に興味をもったきっかけは?
あき:歌はもともと好きだったんですけど、小学校6年生の時に植村花菜さんとジャスティン・ビーバーに影響されて、ギターと作詞・作曲をはじめました。
ちなつ:私はミュージカルを小学校4年生の頃から今もやっていることもあって、ダンスと芝居と歌はずっと続けているんですけど、その中でも一番好きなのがやっぱり歌だったので、そこからですね。
——お二人はたしか高校の演劇部の先輩(ちなつ)と後輩(あき)なんですよね。軽音楽部ではなく?
あき:最初は軽音楽部に入ろうと思ったんですけど、なんかちょっと思ってたのと違くて。
ちなつ:そうそう。それで、演劇部が魅力的な活動をしている部だったので、そっちに入りました。
あき:私も先輩も目立ちたがりで、表現することがもともと好きで。
ちなつ:ちなみに、あきちゃんのお芝居はひどくて「はい」っていうセリフしかないのに、もうそれで下手さがわかるぐらいの(笑)。
あき:恥ずかしいじゃないですか(笑)。
——部活の時は仲良しの先輩後輩だったんですか?
ちなつ:本当に仲良くなったのは、みかんサイダーをはじめてからですね。それまでは、いわゆる普通の先輩後輩という雰囲気で(笑)。
——高校生の頃は路上ライブをされていたとか?
ちなつ:その頃はライブハウスへの出演の仕方も分からなくて、もう路上ライブしかないなって思ってて。路上ライブは誰も聴いてくれないし、正直つらかったんですけど、お互い励まし合いながらやってました。
あき:誰も立ち止まってくれないと、けっこう惨めな気分になるんですよね(苦笑)。
——その反面、路上ライブをやっていて良かったことは?
あき:メンタルが強くなったことですね。今はもうギター1本あれば、どんなところでも歌えるようになったので。
ちなつ:路上だと通り過ぎる人は基本的には全然関係ない人じゃないですか。だからこそ、歌を人に届けようとする気持ちがすごく強くなりましたね。
あき:投げ銭の入れ物も用意していなくて、とにかくただ聴いてほしいという思いばかりでやっていました。
「『壊れてるのかな』って思った(笑)」 ー ライブ配信で一躍人気に
——そういうリアルなストリートでの活動がルーツにあって、そこから今度はデジタルなサービス、MixChannelで一気に人気が出たと。
あき:私たち二人とも、ほんとにネットとか流行りに遅れてるんで、MixChannel自体知らなくて。私の妹に「ミクチャやってみれば」って教えてもらって、ちょっとやってみたら、なんかすごい反応で。
——一番最初はどういう配信だったんですか?
ちなつ:高校の教室で、机の上に立ってLittle Glee Monsterをハモって歌いました。
あき:最初は横顔とかで、顔出しをしていなくて。
——手応えを感じたのは、配信しはじめてどれぐらいの期間が経ってからでしたか?
ちなつ:もう配信したその日です。
あき:配信開始のボタンを押した次の瞬間から、バンバン視聴者数が伸びて何千人にもなって。
——すごいですね。それは誰でも配信すればそうなるっていうわけではないですよね?
ちなつ:多分そう思います。運が良かったのかな。とにかくびっくりしました。「壊れてるのかな」って思ったぐらい(笑)。
あき:他の人もたくさん配信していたのに、なんであんなにいきなり数字が伸びたのか、ほんと信じられなくて。
ちなつ:そこから学校内で撮影したり、いろいろ配信をはじめて。
あき:顔出しはしてなくても制服は着てるんで、学校内で「あれ誰なんだ?」ってザワついたり(笑)。
ちなつ:そうやって、ライブ配信を見てファンになってくれた人が、投稿した動画もみてくれるっていう流れになりました。
——主にどういう配信や動画投稿をしてきたのでしょうか?
ちなつ:やっぱりカバーが多かったですね。オリジナルもまだ私があんまり上手く曲を作れなかったんで、あきちゃんが作った曲を歌ったりしていました。
——ミュージックステーションのオーディションでは、「学校行きたくない」という楽曲で最終審査までいかれてましたけど、それはそのころの曲?
ちなつ:「学校行きたくない」は、高校生の時になんかめんどくさくて学校に行きたくない時に作ったそのままの歌で。曲の1番が出来上がった時に、「なんかこの曲はみかんサイダーっぽい、面白くなりそうだな」って思って、2番はあきちゃんに作ってもらって。
あき:1番と2番で、それぞれの学校に行きたくない気持ちが歌われているという(笑)。
——ネットの声などをみていると、やはりそういう共感を呼ぶちょっとしたユーモアさも、ファンの心を掴むみかんサイダーの魅力なんでしょうね。楽曲を作る時は、どういうところから発想を得るんですか?
あき:私はドラマや映画を観て感じたことから作ったりします。昔は自分自身をテーマにすることが多かったんですけど、最近は視野を他に広げるようにしていて。
——ちなみに好きな映画やドラマというのは?
あき:そこから楽曲を作ってるわけじゃないんですけど、ハリー・ポッターが大好きで。日常とはかけ離れている世界観の映画やドラマが好きです。
ちなつ:あきちゃんは、朝起きてすぐにその日みた夢の話をめっちゃしてくるんですよ。その内容もファンタジーで(笑)。
——非日常が好きなタイプなんですね(笑)。ちなつさんは曲作りはどのように?
ちなつ:まだ曲の作り方が分からなかった時、先生に「あなたは物語を作るのが上手だから、まず物語を作って、それを曲にするという風にしてみたら?」ってアドバイスされたんで、その方法で作ってみたら、それがすごく自分には向いているのが分かって。なので、最近はずっとその方法で作曲しています。
——音楽の専門学校に行っていたんですか?
ちなつ:そうです、二人とも同じ学校で同じ先生に教えてもらっていました。
——影響を受けたアーティストというのは?
ちなつ:私は嵐です。
——あの嵐ですよね?それはアイドルとして?それとも楽曲がいいから?
ちなつ:存在そのものですね。曲もいいし、本当にスターじゃないですか。私はとにかく魅力がある人が大好きで。
あき:私はさっきも言ったように、ジャスティン・ビーバーですね。どちらかというと洋楽の方が好きで、テイラー・スウィフトとかもよく聴きます。
——様々な音楽表現のスタイルがある中、ギターを弾いて歌うというカタチになったのはどうしてでしょうか?
ちなつ:二宮和也さんがギターを弾く姿を見て、「私もああなりたいな」って思ってこのスタイルになりました。
あき:私は、ジャスティン・ビーバーの「Baby」を聴いたとき、「この曲を自分でもギターで弾いて歌ってみたい」ってカバーしたのがきっかけです。
——意外なところからのスタートなんですね。正直、ゆずやコブクロに影響を受けているのかなって、お話を伺う前は勝手にイメージしていました。
ちなつ:けっこうそういう風に言われるんですけど、それが意外と違うっていう(笑)。
等身大の自分たちで、共感の部分を大切に
——そういったバックグラウンドから、今のスタイルになっているのは興味深いですね。楽曲の部分で、みかんサイダーらしさはどういうところだと思いますか?
ちなつ:曲に関しては、個人で作る時とみかんサイダーで作る時は分けているんですけど、みかんサイダーの場合は、大人ぶらずに、私たちの等身大の部分を大切にしています。同世代、そしてもっと下の世代に分かりやすく、みんなも感じているだろうなっていう、共感の部分を大事にしています。
あき:キャッチーさと覚えやすさも大事にしていますね。曲のアイデアはたくさん浮かぶんですけど、キャッチーじゃないやつはどんどんボツにして。歌った瞬間に、二人で「いいね!」ってなった曲だけを、どんどん磨き上げていくっていうのをよくやってます。
——お二人の音楽制作の環境は?
ちなつ:本当に時代についていってないというか、家でギター弾いて、ボイスレコーダーで録って作ってます(笑)。
あき:スタジオとか行くとなんか緊張しちゃって。
——すごくカジュアルなんですね。高級な機材があるからといっていい曲ができるわけではないですし、その自然な空気感での制作もみかんサイダーらしさの1つの要素なんでしょうね。
ちなつ:二人で柿の種食べながら作ったりしてるもんね(笑)。
あき:そうそう(笑)。
——世の中の音楽的なトレンドは意識したりしますか?
あき:影響されてるのかな?
ちなつ:どうだろう?影響されてることにも気付いてないのかも。本当に何も気にせずに、自分たちの中から出てくるものを曲にしているので。すごく考えて「作ろう!」っていう時より、何も考えずに、ただギターを弾いて遊んでるときのほうが良い曲が浮かぶことが多いです。
——歌詞も世界観がありますよね。
ちなつ:ありきたりな歌詞にならないようには意識しています。なるべく被らないように。
——その歌詞も印象的な「不器用なヒーロー」と「KYボーイ」が先月からデジタル配信されていますが、配信リリースされた時はどう思いました?
ちなつ:LINE MUSICでも配信しているんですけど、すごく感動しました。友達もみんなLINEのミュージック設定を「KYボーイ」にしてくれたり。
あき:自分たちの曲がLINE MUSICやApple Musicに入ってると思ったら、なんていうか夢が叶ったみたいな気持ちで。
ちなつ:みかんサイダーを結成した時から、「LINE MUSICに私達の曲があったらヤバいね!」ってずっと話していましたし。配信が開始された時は、電車に乗ってたんですけど、二人でイヤホンして何回も何回も聴いたりして(笑)。
——CDがレコードショップに並ぶのをみたいといった気持ちもありますか?
ちなつ&あき:(あまりピンとこない様子で)CDですか、うーん、正直あまりないかも。
——なるほど。そういう新しい世代のアーティストの感覚を聞くと、アタマでは分かっているのですがやっぱり軽く衝撃です(笑)。
ちなつ:友達がLINEで私達の音楽を設定してくれるとか、その方が嬉しいですね。
——また、みかんサイダーのファンのみなさんは「オレンジャーズ」というらしいですね。
ちなつ:みかんサイダーについては、生配信で決めていることもあるんですけど、その名前も配信中にファンのみんなとやりとりして決まりました。
——ファンの方の男女比はどういう割合ですか?
ちなつ:圧倒的に女子が多いです。
あき:ライブの時には、女の子が写真のアルバムを作って持ってきてくれたり、すごい嬉しいですね。めっちゃかわいいんですよ。
ちなつ:私達も不思議なんですよね。カワイイとか自撮りがうまいとか、そういう女子ウケする要素は全然ないのに。
——やはり親近感があるからじゃないでしょうか。
ちなつ:たしかにファンのみんなが普通にあだ名で呼んでくれたり、すごく身近に感じてくれているというのはあるかもしれないです。
もっと色んな人にもとどけたい
——そして最近YouTubeでも活動をされていますが、YouTubeを始めた理由は?
あき:もっとたくさんの人に曲を聴いてもらいたいというのはありました。ミクチャでは、女子中高生のファンが多くて、それもすごく嬉しいんですけど、もっと色んな人にもとどけたくなって。
ちなつ:ファンのみんなから「みかんサイダーは、ミクチャだけじゃなくてもっと広がっていったほうがいいよ」っていうアドバイスもありました。YouTubeをやることは前から考えてはいたんですけど、ちょっと怖かったというのがあって。
——怖いというのは?
ちなつ:ミクチャで人気になって次にYouTubeにいくというのはよくある流れらしいんですけど、そういうシフトをするとけっこうたたかれるっていう話を聞いていたんです。なので、私たちもそれはある程度覚悟はした上で、でもやってみようって。
——実際はどうだったんですか?
あき:それが、あんまりたたかれることもなくちょっとホッとしています。
ちなつ:YouTubeでの最初の広がりが、しばなんさんとのコラボからだったので、それが良い方向に受け止めてもらえた部分もあると思います。まだYouTubeにはそんなに多く動画をアップしていないんですけど、これからはもっとペースをあげてやっていくつもりです。
——今後はどういったアーティストになっていきたいですか?
ちなつ:具体的にこうなりたいというカタチはないんですけど、単にシンガー・ソングライターというだけでなく、肩書に縛られないオールマイティな存在になれたらいいなと思ってます。
あき:歌だけじゃなくて、もっとキャラを出せていければと思っていて、なんというか、「愛される二人」になりたいですね。
——それでは、最後に一言お願いします。
ちなつ:11月に東名阪のワンマンツアーをやります。みかんサイダーのライブは楽しいので、まだ見たことがない人もぜひ来てください。
あき:配信中の「不器用なヒーロー」、「KYボーイ」は明るく元気になれる曲なので、ぜひ聴いてみてください。
ちなつ&あき:ファンのみなさん、いつも家族のようにサポートしてくれて本当にありがとうございます!
みかんサイダー
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