YUTO インタビュー DMC世界チャンピオンのキャリアを持ち、注目楽曲を生み出すDJ/Producerのバックグラウンドと制作環境とは
30年以上の歴史を誇り、世界中のDJがそのスキルとセンスを競う世界最大のDJ大会 DMC World DJ Championships の2016年度に世界チャンピオンに輝いた経歴を持つ YUTO。さらに、その後、DJ A-trak主催のGoldieAwardsの世界チャンピオンの座もつかみ、以降、その確かなスキルと実力、センスを求め、絶えず多方面からオファーがかかり続けている。またプロデューサーとしても活躍、自身の楽曲がBeatportの上位にチャートインする他、Diplo率いるレーベルMAD DECENTからのリリース、倖田來未のRemixをリリース、Shurkn Papら注目アーティストへの楽曲提供などを行い、先日9月15日には輪入道、Knytro、monvmi、NO NAME’s、Layaといった豪華客演陣が参加した待望の1st EP『Star in a play』をリリースした。
IYOW : A series of interviews with featured beat makers / producers / composers
YUTO
1994年4月26日 青森県生まれ、DJ/Turntablist/Producer。
ターンテーブリストである実兄を持ち、中学生の頃からスクラッチの練習に励んできた。2016年、ロンドンで行われたDMC World Championshipで、初の世界大会出場で優勝。2018年には、ニューヨークで行われたDJ Atrak主催の”Goldie Awards”に出場し、Mark Ronson、Just Blaze、DJ Crazeらジャッジの満場一致を得て優勝を果たした。DMC優勝以降から現在まで、彼は東京をはじめとし各地方でのギグや、中国、フィリピン、タイなどアジア各国でのツアーも精力的にこなしている。
プロデューサーとしては、パリのレーベル”Otodayo Records”よりリリースした「Inari」が、BeatportのTrap Chartの上位にチャートイン。また、Diplo率いるMad DecentよりRemixのリリース。国内では、avexより倖田來未のRemixをリリースしている。さらに今年は、自身初めてとなるEP『Star in a play』をリリース。
——キャリアスタートのきっかけ
自分の兄貴がもともとDJバトルに出場していて、その影響でDJを始めました。
最初はずーっとスクラッチや2枚使いばかり練習していて、Teens DJ Battleという大会に出場したのですが負けてしまい、始めてから1年くらいであっさり辞めてしまいました。
——ターニングポイント
大学に入るタイミングで上京して、その時一応ターンテーブルは家に持って行ってました。大学でできた友達が家に遊びに来た時、スクラッチとかして遊んでたら「辞めたのもったいない!」って友達が言ってくれて。それで火がついて、大学生活は家に引きこもってDMCの練習以外何もしてませんでした(笑)。その甲斐もあってか、DMCに出場して世界大会で優勝することができました。
大会でいうと、去年はDJ Atrak主催のGoldieAwardsで優勝したのが自分にとっていい経験です。ニューヨークのブルックリンで行われたのですが、その場所で勝てたことが自分的にはすごい自信になりました。
音楽制作も、優勝後にターンテーブリズム以外で作品を発表したいなと思ったので、そのタイミングではじめました。実際は中学生くらいまでピアノをやっていたので、作曲紛い的なものはやっていたのですが、DAWなど使って本格的に始めたのはDMCの優勝以後になります。
——最近手がけた主な作品
YUTO 『Star in a play』 : https://linkco.re/Y2ryhGdD
Shurkn Pap – HIGH CLASS PAP PT2 (Prod.YUTO)
GoldLink – Joke Ting(YUTO & Alamaki Remix)
——キャリア当初の制作環境
一番初めはLogicを使ってました。特にKeyboardとかサンプラーは使用せず、PC一台で制作していました。
Plug-in、VSTとか最初はよく分からなかったので(笑)、プリセット音源で出来ることをひたすらやってた感じです。
——現在の制作環境
今もPCメインで制作している環境は変わらないです。ボーカル物を制作する時、レックが必要な場合は、XLIIというプロデューサーのスタジオに協力してもらって制作を進めています。
マイクも一応あって、これは自分のブレスの音をハイハット代りにサンプリングしたり、自分の声に思い切りエフェクトをかけてボーカルサンプルっぽく使ったりするときに使ってます。
——メインの機材
PCはMacBook proで、DAWはAbleton Liveを使用してます。KeyboardはNIのKomplete Kontrolです。Maschineも使用してます。
あと、Shurkn君に提供したトラックで聴けると思いますが、スクラッチを録音する場合はTechnicsのSL1200 MK5、Pioneer DJMS9を使用しています。
——モニター環境
ヘッドホンはAKGのK240です。ほぼヘッドホンで作業するのですが、音がクリアですし、長時間でも耳に負担がかからなくて愛用してます。
スピーカーはYamahaのHS5です。スピーカーで音を確認するのはある程度制作が進んでからなので、主にヘッドホンで確認してます。
——使用音源
Spliceをよく使用するんですが、DOMENICOのOrganica Voiceというサンプルパックはよく使用してます。ボイスパーカッションの音源が豊富で重宝してます。ブレス系のサンプルにリバーブをかけてシンバル代わりに使ったりしてますね。
——使用プラグイン
プラグインはほぼNative Instrumentsのものを使ってます。1番使ってるのはRC48だと思います。リバーブエフェクトなんですが、軽いしプリセットも種類が豊富なので、とりあえずリバーブ欲しい時はこれを入れてます。
——ビートメイクのプロセス
インスト物とボーカル物で順番が違ってまして、インスト物の場合、イントロから最後までコツコツ組み立てていく感じで作ってます。
ボーカル物の場合、ワンループを作ってそこからバラバラにしてイントロなどを組み立てて行く感じです
なので、作る時に「これはインスト物にしよう」とか方向性を決めてから制作開始することが多いです。
——ビートメイクポリシー
作るジャンルによりけりですが、特にダンスミュージックの場合、80%くらい曲が出来上がったタイミングで、一度ドラムの音だけを聞き直すようにしてます。
ドラムの音だけ聞いて「あまり良くないなー」と思ったら、多分あまり良い曲にならない気がしているので、リズムパターンを変えたり、調整するようにしています。
——最も影響を受けたプロデューサー/ビートメイカー
Just Blazeです。GoldieAwardsの時、審査員だったので幸運にもお会いすることができました。
彼のビートは、曲が鳴った1秒目のパンチが強いのが魅力的だと思います。Diplomats – I Really Mean It や、最近でいうと Rick Ross – BIG TYME ft. Swizz Beatz が好きです。
——影響を受けた楽曲
Amber Olivier – When It’s Over
Kierra Sheard – Let Go(The Godson Concept)
The Dream – Livin’ A Lie
Rustie – Ultra Thizz
Hudson Mohawke – No One Could Ever
Clipse – Wamp Wamp (What It Do) ft. Slim Thug
Bon Iver – 715 – CR∑∑K
5LACK – HNGRI KILLIN!!
bird – Lush
KOHH – ロープ
——My favorite works / 自分の作品からのお気に入り
YUTO & R!OT – Inari
この作品はLAに住むR!OTというプロデューサーとの共作になります。彼はGoldieAwardsのビートバトル部門に出場していて、部門は違うので仲良くなり、一緒に制作しました。”Inari=稲荷” というタイトルはR!OTが1番好きな日本語らしいです(笑)。
YUTO – Call My Name (feat.monvmi)
先月出したEPの楽曲になります。この曲は、EPの中でも1番初めにできた曲で思い入れがあります。
YUTO – Wave
この曲は多分、2年前くらいに、1番初めに世に出た自分名義の曲だと思います。今聴くと荒っぽいところが多いのですが(笑)、ドラムの打ち込み方は今でも気に入ってます。
——Message
今年の9/15に1st EPをリリースしました。まだ聴いてない方には是非聴いて頂きたいです。近々、その1st EPの数曲をセルフリミックスしたものをリリース予定です!
リリース予定などは自分のInstaやTwitterで告知するので、フォローしておいてもらえると嬉しいです。
YUTO
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