SWANKY DANK インタビュー 「仲間たちと良い音楽をやりたいようにやる」活動休止を経て芽生えたピュアな衝動とパンクへの愛

インタビュー
2023.9.26

原点回帰の復活曲「Everything」

——そして、活動再開を発表した翌日の9月3日に新曲「Everything」がリリースされました。めちゃくちゃ良い曲ですよね。とにかくまっすぐなメロディックパンク/メロコアで、ポップパンクを追求してきたSWANKY DANKとしてもここまで剥き出しの曲は逆に新鮮なんじゃないかと思います。やはり、活動再開後の一発目はこういう曲にしたい! という思いはあったのでしょうか。

YUICHI:そうですね。ライブでワーっと盛り上がる曲を作りてえなとは考えてました。

KOJI:とにかく俺は速い曲をやりたかった。速くてストレートで、バチコーン! って感じの曲をやりたいってずっと言ってましたね。サビのメロディーは2021年頃にパッと浮かんできて。SWANKY DANKが復活するときにはこのメロディーを引っ提げて帰ってきたいなと思ってたんですよ。

——この曲で活動再開するというところが、「やっぱりSWANKY DANKってパンクバンドなんだな」と感じさせます。2000年代のポップパンクやメロコアシーンへの愛も詰まってますよね。

KOJI:具体的なリファレンスになったバンドや曲があるわけではないんですけど、バンドを始めた2007年頃に俺たちがいたシーンの音をもう一度鳴らしたかったんです。若いリスナーも含めて、今みんなが改めて聴き直してみたらあの時代の音がどういうルーツから生まれたかがきっとわかると思う。俺らができることは、それをもう一度現代のシーンに持ってくることなんじゃないかと。

KO-TA:小難しいことは一切やらないっていうのがテーマで。とにかくストレートにわかりやすく、キャッチーで勢いのまま弾けるギターを、アンプ直のそのままの音で録って、裸の自分をさらけ出す。ほぼパワーコードで、歌のメロディーを活かすために、ギターはただ音の壁を作るだけ。

YUICHI:なんだかんだ原点回帰で、アンプはマーシャルが無敵だなって話にもなったね。それに、コーラスラインもシンプルなんだけど、これまでは下ハモが多かったところを今回は完全な上ハモで。MEGALOMANIACでメインボーカルをやっていて、「こういうコーラスがあったら良いな」と思うこともあったので、歌っていて気持ちいい、サビに入った瞬間に突き抜けるようなコーラスを意識して作りました。高すぎて辛かったけど(笑)。

——そうした勢いがあって、昨今のトレンドからすると2分ないし1分台で駆け抜けるような曲になってもおかしくない印象ですが、全体では3分半ほどの尺があるのもポイントだと思います。アレンジに緩急があって、スッと聴き通せる。音は海外っぽいけど、Aメロ・Bメロ・サビ・大サビと展開があって、ある意味J-POP的な構成です。

KOJI:元々はもうちょっと長かったんですけどね。

KO-TA:後半に向かってボルテージが上がっていくようなアレンジっていうのは目指していたので。結構ワビサビを意識してます。

——ミックス・マスタリングはANDREWさん(FUCK YOU HEROES、FULLSCRATCH、BBQ CHICKENS、RISE)が担当しています。KOJIさんはX(旧Twitter)で「攻めた音が作れた」とポストされていましたね。

KOJI:やっぱり曲がメロコアなので、日本のメロコアを知り尽くしている人にバキバキにお願いしたくて。生っぽいドラムの音や、ギターのサウンドに対するアイディアを盛り込んでくれた音源に仕上がって、聴いた瞬間「ヤバ!」って、ブチ上がりましたね。

KO-TA:ほぼ修正なしで。欲しかった音が来て感動しました。

——曲はもちろんのこと、歌詞も胸に響きました。「Moving forward, we embrace the unknown, open hearts / (No matter what I face for) / But I’ll make it up, no matter the cost(前進する俺達は未知を受け入れて想いを放つ / 何に直面しても / たとえ時間がどれだけかかっても俺達が埋め合わせをするよ)」という歌い出しから、今回のリスタートにかける決意や覚悟の強さが伝わります。

KOJI:もう、そう感じてくれるだけで十分です(笑)。歌詞の中の「You」はSWANKY DANKのファンかもしれないし、メンバーかもしれないし、ライブハウスかもしれないし、聴いてくれてるあなたかもしれない。あまり具体的には語らずに、それぞれで紡いでほしいと思ってます。

YUICHI:「紡いでほしい」って良いな(笑)。グッときた。

——MVに字幕が付いていたり、KOJIさんが和訳をXに投稿して固定ポストにしていたりと、歌詞を皆さんに読んでほしいという思いを感じました。

KOJI:そうですね、思いがあふれ出ちゃってる歌詞なので、絶対に見ながら聴いてほしい。復活するだけではなく、その先に進んでいくというコンセプトもあるので、感じ取ってほしいですね。

——MVにもどことなく2000年代の懐かしい質感があって。個人的には、Avril Lavigneの初期、「Complicated」あたりのビデオを思い出したりしました。

KO-TA:その辺はめちゃめちゃ意識してますね。ガレージでのシーンはNew Found Gloryの「Dressed To Kill」をイメージして。

——海外からのコメントも続々と寄せられています。

KOJI:嬉しいですね。アニメのタイアップで知ってくれた海外のリスナーがいっぱいいて、その人たちも待ってくれていたので。ちゃんとMVを撮って、姿を見せる機会を作れて良かったです。

YUICHI:海外の人にも紡いでもらいたいね。

 

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