Lilniinaインタビュー Y2Kエモとの時を超えた共振、広がるコミュニティと深化するオリジナリティ
ダークファンタジーな世界を打ち出したEP『onyx』
——続いて、10月にリリースされたEP『onyx』についても聞かせてください。どのようなコンセプトで制作された作品なのでしょう?
EPでは、全曲通して一つの世界に没頭して聴ける作品を作りたくて。今回はハロウィン前にリリースされるということもあって、ダークファンタジーな要素を強めにしています。普段は難しい日本語を使うのは避けてるんですけど、例えば「vampire」のリリックでは「賛美歌」と書いて「うた」と読ませたり、あえて中二病的な言葉を散りばめてます。
——確かに、「vampire」はかなりゴシックなムードの強い曲になっています。
吸血鬼がテーマの曲は前から作りたかったので、どんどん言葉が浮かびました。ラストの「pain4u」も、映画「オーメン」みたいな悪魔崇拝をモチーフにした作品が好きなので、エクソシズムと自分の負の感情を掛け合わせたような曲になっています。
——同じくLilniinaさんの趣味が表れた曲でいえば、何といっても「kikilala」ですよね。
そうですね。キキララが大好きだから、というシンプルな思いで作った曲なんですけど、客演で参加してくれたBimiさんとはキキララから思い浮かべる世界に差がありすぎて、それが逆に面白いってファンの人に言われました。
——Bimiさんのバースはかなりパンチが効いてますよね。「俺乳首ピンクすぎて」から始まって、半分以上『星のカービィ』の話をしてるっていう(笑)。
そうやって毛色が違うバースを私の曲に加えることで話題を呼べるっていうことも実は考えてくれてるんじゃないかと思ってます(笑)。Bimiさんの楽曲「NEVERLAND」に参加したことがきっかけで知り合ったんですけど、それからも度々Bimiさん主催のイベントに出させてもらってるので、もっと売れて恩返ししますっていつも話してます。すごく行動力のある、兄貴肌で面倒見の良い方で。今まで他のアーティストさんと深く関わることがあまりなかったんですけど、こうして尊敬し合える人に出会えたのは大きな出来事でした。
——オープニングトラックの「angel+」には、カリフォルニア出身のi9bonsaiさんが客演参加しています。シューゲイザーを彷彿とさせるトラックも攻めていますよね。
一曲目で『onyx』の世界観を色濃く出したかったので、そういったサウンドにトライしました。i9bonsaiさんは国際的な規模で活躍されているアーティストなので、リスナーの分母が広がったらいいなと思いもありつつ、絶対に「angel+」に合うと思ったので参加していただいています。
——先ほどもお話しに出ましたが、プライベートでも交友があるというOmamori Jewerlyさんが「cigirl」では衣装提供、『onyx』ではアートワークの撮影・スタイリングで参加しています。どのような関係なのでしょうか?
1年前くらいにインスタでジュエリーを見つけて購入したのがきっかけでやりとりをするようになって。偶然通ってた高校が近かったこともあって、すぐに仲良くなりました。TikTokの件もそうですけど、最新のハイパーポップとか、流行を私に教えてくれるんです。i9bonsaiさんとのコラボも、実は彼女からの提案で。マネージャーかと思うくらいお世話になってますね。
——Omamori Jewerlyさんがビジュアル周りに参加することで、よりLilniinaさんの創造する世界観がクリアになっている印象です。
一回限りのチームで作る作品とは違って、自分の望んでいる方向性を雑談みたいにポンポン喋れるし盛り上がったらどんどんアイデアが浮かんでくるから、クリエイティブ的にも良い流れを掴みやすいですね。色々な人の手が加わっていない分、自分の色がより濃く出てると思います。
——そう考えると、『onyx』はLilniinaさんが築いた人との繋がりが凝縮された作品になりましたね。
そうですね。今までは「仲の良いアーティストは誰ですか?」って聞かれても「誰もいないです」って感じでしたけど(笑)、続けてきたから一緒に関われる人間が出来たんだなって、改めて思います。