乃紫 インタビュー 「全方向美少女」がTikTokを席巻、話題のシンガーソングライターに迫る

インタビュー
2024.2.19
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「全方向美少女」がTikTokを席巻しているシンガーソングライター、乃紫(noa)へのインタビューが実現した。

2023年に本格的に音楽活動をスタートした乃紫(noa)は、作詞・作曲・編曲・歌唱・アートワークの全てをセルフプロデュースするアーティスト。『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)の恒例企画「プロが選ぶ年間マイベスト10曲」で作詞家のいしわたり淳治が「接吻の手引き」を、音楽プロデューサーの蔦屋好位置が「先輩」を称賛するなどクリエイターからの評価も高い。

「全方向美少女」は「正面で見ても 横から見ても 下から見てもいい女」というフレーズが印象的な一曲。曲にあわせてカメラを移動させ自分の顔を映す動画がSNSミームとなった。NiziUやTWICEやaespaのメンバーが動画を投稿するなど日本と韓国でバズを巻き起こし、TikTok内での総再生回数が14億回を突破するなど大きな反響を集めている。

インタビューでは「そもそもUGCを意識して作った」という「全方向美少女」の仕掛けや、創作のルーツ、4月25日に予定されている初のワンマンライブやアーティストとしてのビジョンについて、語ってもらった。
 
取材・文 : 柴 那典
企画 : Jiro Honda

 
 
UGCを意識して作った「全方向美少女」

——まず「全方向美少女」がこれだけ反響を巻き起こしている状況はどんな風に捉えていますか?

状況として「これくらいバズればいいな」という予想をして出した曲だったから、すごく嬉しいです。これだけいろんな人に広がるんだっていう驚きもありました。

——曲を作る時にバズって広まっていくための仕掛けを意識していたんでしょうか?

これは完全にTikTokのUGCを意識した曲ですね。この曲だったらこうやってみんな TikTokで動画撮ってくれるだろうって予想をして作って投稿した曲です。

——例えばどういう予想があったんですか?

TikTokはショート動画と音源のプラットフォームで、音源にぴったりな動画がどれだけ手軽に、簡単に撮れるかが大事だと思うんです。私もユーザーとしてTikTokを見るんですけど、ダンスの振り付けとか動画エフェクトとか、いろんなバズらせ方があるじゃないですか。「全方向美少女」は「正面で見ても 横から見ても 下から見ても」というところは、スマホのインカメラを動かすだけで簡単に動画が撮れるんです。振り付けを覚える必要もなければ、動画の編集も必要ない。みんなが気軽にどんどん動画投稿できる音源にできたのがバズった一番の要素だと思います。

——メロディに関してはどうでしょうか。乃紫さんの曲の全般的な特徴として聴いていると一発で覚えてしまうようなメロディがあると思うんですが。

そうですね。おっしゃった通り、一発で聴いて覚えて、鼻歌で次の瞬間から歌えるくらいキャッチーなものじゃないといけない、TikTokで活躍するにはそれくらいのインパクトがある曲を出さないといけないと思っていて。作り方としては2、30秒だけ曲を作って投稿して後の部分を広げていく感じなんですけど、曲の一番顔となる部分、雑誌の表紙みたいな部分をどれだけキャッチーにできるかを全部の曲で考えています。

——そもそも、そういう考え方が確立されたのはどういう由来なんでしょうか。ここ1、2年とTikTokで曲を出していく中で徐々に掴んでいったものという感じですか?

音楽を作り始めたのが1年半くらい前で、それとほぼ同時にTikTokの投稿を始めたので。最初からですね。

乃紫「全方向美少女」

乃紫「全方向美少女」

 

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この記事の執筆者
Tomonori Shiba
柴 那典(しば・とものり) a.k.a シバナテン。音楽ジャーナリスト/執筆/編集。1976年生。著書に『平成のヒット曲』『初音ミクはなぜ世界を変えたのか』『ヒットの崩壊』。共著『渋谷音楽図鑑』『ボカロソングガイド名曲100選』