WITHDOMインタビュー 黒沢 薫(ゴスペラーズ)作曲&VOプロデュースの最新シングル「All my life」で見えた夢の舞台への現実感
新曲「All my life」と、ゴスペラーズ・黒沢 薫とのタッグで掴んだ感覚
——3月26日にリリースされた結成7周年記念シングル「All my life」は、ゴスペラーズの黒沢 薫さんが作曲およびヴォーカルプロデュースを担当しました。改めてその経緯について教えてください。
SHVNYA:僕らは日頃からカバー動画をYouTubeやSNSにアップしているんですけれども、その中でゴスペラーズさんの「ミモザ」を歌わせていただいたところ、黒沢さんがいいね!やリポストで反応してくださいまして。その後、ビルボードライブ大阪で開催された黒沢さんの単独ライブでご挨拶させていただいたりしてたんです。いろんなご縁があってトントン拍子に曲を一緒にという話が決まって。SNSなどもきっかけとなったのにも時代を感じますし、いろんなご縁で僕たちの歌声が届いたっていう実感がありましたね。
Ryo:やっぱり音楽が大好きな4人なんで、敬意を持ってカバーさせていただいた楽曲が本人の耳に届いて黒沢さんとのコラボが実現したことで、改めて「歌っててよかったな」って感じましたね。
——黒沢さんも立ち会われたというレコーディングはいかがでしたか?
ROY:もちろん緊張しましたけど、それよりも楽しさが大きかったですね。僕らがのびのびと歌えるように、めちゃくちゃ優しくディレクションしていただいて。普段とは違う一面を引き出していただきました。
SHVNYA:黒沢さん自身がやっぱり歌い手ですので、「こういう風にやって」ということを実際に歌って示したり、「ちょっと作るから待ってて」と言って現場でコーラスが変わったりとか、その場での対応力が全然違って。アーティストとしての年輪みたいなものを感じました。
——レコーディングの中で、今後に活かせる新たな発見などはありましたか?
Ryo:普段、ライブではもちろん楽しさ満点で歌ってるんですけど、レコーディングってどうしても作業に近い感覚になってしまうこともあって。今回、黒沢さんに間近で歌を聴いて評価されることで、すごく刺激になりました。「こういう歌い方をしたらこうスキルが上がるんやな」という実感もあったし、勉強させてもらいましたね。
——なるほど。他のお三方はどうでしょう?
Ryo:そうですね、さっきと同じ話になっちゃうんですけど……。
一同:いやもう喋った喋った(笑)!
SMOOTH:僕らは日本武道館のステージに立つことが夢なんですけど、その時にはとても広い景色の中、すごく緊張する状況で歌わなきゃいけないと思うんです。今回、尊敬しているアーティストに目の前で歌を聞いてもらえるといういつもと違う環境の中で、「こういう気の持ちようであれば力を発揮できるんやな」っていう感覚を掴むことができて。各々、緊張感と向き合う方法を知る機会でもあったかなと思いますね。
——テクニックのみならず、精神性の面でも学ぶことが多かったんですね。歌詞に関してはどのような思いが込められていますか?
SMOOTH:黒沢さんが送ってくださった仮歌を聴いたときに、ウェディングソングのように幸せを歌った曲にすることでより人に届くメロディだと思ったんです。いつもは比喩表現を歌詞に取り入れることが多いですけど、今回は結構ストレートな言い回しにこだわってます。それと、実は一か所だけ黒沢さんに直していただいた箇所があって、サビの「燃ゆる愛」が最初は「息吹く愛」だったんです。でも、この表現だと初めて聴いた人には伝わらないかもしれないって言ってくださって。
——黒沢さんが長年のキャリアで培った鋭い勘を感じさせるエピソードですね。
SMOOTH:はい。言葉一つにしてもそういう感覚を持たれてるのは凄いなと思いました。僕自身は、ラストサビの「36.5°の等身大で」という歌詞が一番お気に入りです。熱く燃える愛やねんけど、その愛も結局は人間の中にある愛なんだよっていう。ワーッと曲が盛り上がる中で、自分の体温は変わってなくて、でも愛の熱さはすごいんだっていうのをここで表現したかった。ちなみに、ちょうどその時に体温を測ったら36.5度やったんでこの歌詞になったんです。もしかしたら「♪36.6°の等身大で~」になってたかも知れない(笑)。
——メロディに上手くハマる体温で良かったです(笑)。歌詞について、SHVNYAさんはいかがですか?
SHVNYA:いつも、SMOOTHくんが書いた歌詞を受け取って、僕のパートを埋めていくという作業をしています。楽曲によってはガッツリラップをすることも多いんですけれど、今回は老若男女どの世代にも愛される楽曲にしたかったので、歌に近いようなメロディと歌詞にしました。「想いの水をあげよう」というフレーズがあるんですけれど、人間の体はほとんど水で出来てるっていうじゃないですか。だから、愛してるっていう気持ちが僕のほとんどを占めてるんだよっていう意味も込めています。それと、2番では「永遠に愛してるよ」と歌ってるんですけど、SMOOTHくんが直接的に「愛してる」という言葉を歌ってないから、ここは僕がサビの前に使って盛り上げようと思っていました。
——SMOOTHさんとSHVNYAさんの作詞におけるコンビネーションは絶妙ですよね。一つの手紙のように、統一感のある歌詞になっています。制作にあたってはどのような打ち合わせが行われているのでしょうか?
SMOOTH:SHVNYAには、曲のテーマや「こういう表現は避けてほしい」「直接的には言わんといてほしい」、逆に「直接的に書いてほしい」みたいなことを、文章や口頭で伝えてます。でも、「All my life」に関しては、あんまり話し合わないようにしました。僕の書いた歌詞を見てどう思うかを大事にしてほしかったので。
SHVNYA:リリースされてない曲も含めると、もう100曲ぐらいはこの2人で作詞していますね。レコーディングの段階でもディスカッションして歌詞を変えたりもするので、柔軟に対応し合ってます。
——「All my life」について、みなさんが特に注目して聴いてほしいと思うポイントを教えてください。
Ryo:今回は初の試みとして、ヴォーカル3人がそれぞれフルコーラスをまずレコーディングして、それを黒沢さんがパート分けしたんです。で、これもWITHDOMとしては珍しいパターンなんですけど、1サビは僕がすべて歌いきらせていただきました。ラストサビでの転調後のパートも歌わせていただいて。もちろんどのバースも大事なんですけど、僕は作詞作曲をしていないぶん歌でグループを引っ張っていかないといけないという覚悟があるので、リスナーの心を掴めるポイントを歌えたことは本当に嬉しかったですね。もっと歌に対してストイックになってレベルを上げていきたいと感じられたパートなので、そこが聴きどころだと思います。
SMOOTH:Cメロで、裏で3人がコーラスしながらRyoさんが歌いきる英語のパートから、僕らの根底にある洋楽やR&Bを感じてもらいたいですね。それと、楽曲を通して一本の映画のようなムードを作りたいという思いで歌詞を書いたので、目をつぶって、それぞれイメージを膨らませながら聴いてもらえたら、何回でも楽しめるんじゃないかと。
ROY:僕のパートでもあるラストサビの前半部分を聴いてほしいです。表現力と力強さを押し出すことができて、次のRyoさんに良いバトンを渡せる仕上がりになってます。
SHVNYA:「All my life」にはやっぱりウェディングソングというイメージがあるので、サビは結婚式場のドアが開いたり2人がキスしたりするタイミングになぞらえてるんです。なので、サビ前の僕のパートは盛り上げすぎず、でもドアの手前で改めてお互いの思いを確かめながら見つめ合っている瞬間の感情を表現したくて。そこからサビで一気に開放されていくところが見せ場になっています。