SUSHIBOYSのFARMHOUSEソロ作「靴下(feat. kojikoji)」バイラルヒット中 SNS時代の表現の選択肢としてのラップの主流化【Independent Goes Viral】
自分で作った楽曲を好きなタイミングでリリースできる今、誰もがバイラル&ヒットする可能性のある時代になりました。SNSで話題の曲をランキングするチャート Spotify Japan「バイラルトップ 50」には、自分たちのスタンスで力強く活動するインディペンデントアーティストも日々多くランクインしています。「Independent Goes Viral」では、さらなる飛躍の可能性を秘めたインディペンデントなバイラルチャート新登場アーティストにいち早くフォーカスします。
今回フォーカスするのは、2月15日に初めてSpotifyバイラルチャートインし、しばらくの後“ダフト・パンクショック”でダフト・パンク関連楽曲が大量にチャートインした影響で一度は圏外となっていましたが、2月26日から再びチャートインしているSUSHIBOYSのメンバーFARMHOUSEのソロシングル「靴下 (feat. kojikoji)」。
FARMHOUSE / SUSHIBOYSについて
SUSHIBOYSはFARMHOUSE・サンテナの2人からなる埼玉県・越生町出身のヒップホップグループで、これまでにアルバム1作とEP4作、FARMHOUSEのソロEP1作をリリースしています。
2017年に自主リリースしたアルバム『NIGIRI』が話題となり、雑誌『Ollie』の表紙を飾るなどシーンに躍り出ました。
『NIGIRI』各配信ストア : https://linkco.re/nQ6dUExe
その後メンバーのEVIDENCEの脱退を経て2人体制となり、2019年にはYouYubeで200万再生を突破したヒット曲「DRUG」をリリースしています。
「DRUG」各配信ストア : https://linkco.re/Zf8ChS9M
高いスキルに裏打ちされつつも気軽に聴ける作風で、アイドルグループへの楽曲提供や客演参加などもあり、幅広い層にアプローチするグループです。
「靴下 (feat. kojikoji)」
kojikojiを客演に迎えた本作「靴下」は今年1月25日にリリースされたFARMHOUSEの久々のソロ作で、ビートはPieper Beatsが提供しており、エンジニアリングはBACHLOGICが担当しています。
「軽自動車」、「遊戯王」、「ママチャリ」など、他のラッパーが手を付けないであろうニッチなテーマに対してコミカルかつやたらにハイスキルなラップを見せつけるのはSUSHIBOYSのお家芸です。
「靴下」は、「いつの間にかなくなった片方の靴下」というFARMHOUSEらしいニッチなトピック選択のうえで、さらにそれを失恋と重ねて表現する、爽やかながら切ない一曲です。「あの日とは違う靴下で 同じ道を今日も歩いてる」という一節はおそらく「あの人は」と意味が重ねられて、2人が同じような日常の中で別々の道を歩んでいくことが表現されており、コミカルさで注目されやすいFARMHOUSEのリリカルな側面も発揮されています。
2021年3月1日現在Spotifyで10.5万回以上の再生数があり、これまでもSUSHIBOYSの作品を多く手掛けてきたneo yoshikawaによるMVはYouTubeでもうすぐ20万回に迫る勢いで再生されています。
「靴下 (feat. kojikoji)」各配信ストア : https://linkco.re/cFqNSan5
バイラルチャートでのアクション
「靴下」はリリースからしばらくを経た2月15日にSpotifyバイラルチャートに初登場し、22日までチャートインしました(その後26日から再びチャートイン)。
客演のkojikojiは空音の「Hug (feat. kojikoji)」、変態紳士クラブのビートメーカーGeGのソロ作品「I gotta go (feat. Hiplin, WILYWNKA & kojikoji)」など、TikTokで1万以上の動画投稿があるバイラルヒット作品に参加してきており、「靴下」はこれまでのSUSHIBOYSのファン層をさらに広げる作品となったと考えられます。今の所「靴下」のTikTokの動画投稿数はそこまで多くないですが、ふとしたきっかけで今以上のバイラルヒットの可能性もありそうです。
また、SUSHIBOYSが楽曲を提供した週刊少年ジャンプの新連載『クーロンズ・ボール・パレード』のCMが2月15日に公開されたほか、kojikojiが2月24日にEP『PEACHFUL』をリリースするなど、同時期の彼らの動きもバイラルチャートインの追い風となっているかもしれません。
SNS時代の表現の選択肢としてのラップの主流化
SUSHIBOYSはもともとYouTubeへの動画投稿のネタ作りをきっかけにラップを始め、次第にそちらをメインとして活動するようになったグループです。曲のテーマ設定やファッション、ミュージックビデオなどで見せる独自のセンスには、このルーツが今も活かされていると思われます。
また、kojikojiはInstagramで弾き語り動画を投稿していましたが、J-POPや邦楽ロックのみならず日本語ラップの楽曲もごく自然に題材にしており、それが韻シストのBASIの目に止まったことで、彼のプロデュースでオリジナル作品を作るようになりました。
彼/彼女らのように、SNS上の創作活動においてラップを題材にすることが今や普通の選択肢となり、それがバイラルヒットにまで繋がっています。今後も、彼/彼女らの作品をSNSで知ったことで創作活動をスタートしたアーティストが、新たなバイラルヒットを生み出すかもしれません。