【プレイリストジャーニー Vol.1】Spotifyプレイリスト「Tokyo Super Hits!」

コラム・特集
2021.5.21
【プレイリストジャーニー Vol.1】Spotifyプレイリスト「Tokyo Super Hits!」のサムネイル画像

プレイリストジャーニー

サブスク/ストリーミング時代の新しい音楽体験“プレイリスト”を巡る「プレイリストジャーニー」へようこそ!

前回のVol.0では、世界と日本の人気プレイリストを紹介しました。

 

 
世界で最も人気のあるSpotifyのプレイリスト「Today’s Top Hits」には2,800万人以上のフォロワーがいること、日本のアーティストが多く占めるプレイリストでは「Top 50 – Japan」が最も人気があることなどが分かりました。

そして、本編の第一回目となる今回はその日本の人気プレイリストの中から「Tokyo Super Hits!」を取り上げます。

それでは、「Tokyo Super Hits!」について深堀りしていきましょう。

 

「Tokyo Super Hits!」概要

 

タイトル : Tokyo Super Hits!
 
 
説明文 : 「日本のポップシーンを彩る最新ベスト50。毎週月曜日更新。Cover:(カバー掲載アーティスト名)」
 
 
作成者 : Spotify
 
 
フォロワー数 : 462,579(2021年5月21日時点)
 
 
フォロワー数推移 : 10万 – 2017年11月、20万 – 2019年4月、30万 – 2020年6月、40万 – 2021年1月
 
 
曲数 : 50曲(固定)
 
 
カバーアート : 更新クリエイティブ / アーティストイメージ使用 / 通常のスクウェアイメージと異なるヒーローイメージ仕様
 
 
更新タイミング : 定期更新 / 毎週月曜日
 
 
メインジャンル : J-Pop、J-Rock、J-Rap
 
 
タイプ : ノンパーソナライズ
 
 
類似プレイリスト : 「Top 50 – Japan」、「Anime Now」、「Hot Hits Japan

以上が「Tokyo Super Hits!」のプレイリストとしての基本仕様となっています。

2021年5月20日現在、同プレイリストにインしている楽曲のリリース日時を調べてみると、5月14日にリリースされた変態紳士クラブの1stアルバムに収録されている「YOKAZE」から、2020年10月25日リリースの優里「ドライフラワー」や2021年1月27日リリースのAwesome City Club「勿忘」まで、最新の楽曲だけでなくヒット曲として定着したものも含め、このプレイリストにおける楽曲滞在日数はある程度の幅があることが分かります。

 
 

「Tokyo Super Hits!」 データ

次に、Spotifyが公開しているAPIを使用して、「Tokyo Super Hits!」のデータを見てみます。

様々なデータが抽出できますが、プレイリストの傾向を見るのに参考になりそうな下記の項目を取り上げます(データ抽出日時 : 2021年5月17日)。

  • acousticness
  • danceability
  • energy
  • key
  • loudness
  • tempo
  • valence
  • length

※2021年6月3日追記 : 各数値に関してはSpotifyによる指標です。詳細はこちら

 
上記各項目におけるプレイリスト収録楽曲の数値をグラフ化したので、順番に見ていきます。

※X軸 : 各項目の値 / Y軸 : 曲数

acousticness

acousticnessは、アコースティック感を示し、1.0に近いほどアコースティック感が高くなります。



今回は、アコースティック感は低めの曲が多くなっています。

 

danceability

danceabilityは、ダンス感を示し、1.0に近いほどダンス度が高くなります。



ダンサブルな楽曲の分布が最も多くなっていますが、落ち着いた楽曲も多く含まれています。

 

energy

楽曲のエネルギッシュさを示すこの項目。速く、ラウドで、ノイジーな楽曲ほど1.0の値に近くなります。Spotifyの説明によると「たとえば、デスメタルはエネルギーが高いのに対し、バッハの前奏曲はスケールが低い」となるそうです。



比較的静かな楽曲が最も多くなっていますが、エネルギッシュな曲も割とあります。エネルギッシュであればダンサブルということで、energyはdanceabilityと比較的近い傾向を示すのかもしれません。

 

key

楽曲のkeyを表します。
※ 0 = C, 1 = C♯/D♭, 2 = D, 2.5 = Dhalf sharp (quarter tone sharp), 3 = D♯/E♭ [Pitch class]



 

loudness

楽曲の全体的なラウドネス(デシベル[dB])。



 

tempo

楽曲の全体的なBPM。



BPM100弱が8曲と最も多くなっています。

 

valence

valenceは、楽曲のポジティブな雰囲気の値。0.0〜1.0の値において、1.0に近いほど幸福感があったり陽気なムードの楽曲、0.0に近いほど、サッドな雰囲気の楽曲を示します。



ポジティブというより、少しエモい曲の方が若干多めではあります。

 

length

最後に、楽曲の長さです。



4分前後の楽曲の割合がもっとも多くなっています。

 
Spotify APIを使用して2021年5月17日時点の「Tokyo Super Hits!」 のacousticness、danceability、energy、key、loudness、tempo、valence、lengthの各データをまとめてみました。

このデータから、

アコースティックネスは低め
どちらかというとダンサブル
少しだけエネルギッシュ
BPM100弱
ちょっとだけエモい
長さが4分くらい

といった楽曲が、あえて数値データだけからするとこの時点の「Tokyo Super Hits!」的な曲といえるのかもしれません。ということで、今回は、チャート系を除くともっとも日本で人気のあるプレイリスト「Tokyo Super Hits!」を分析してみました。

 
次回は、世界へ日本の才能あるアーティストを発信するプレイリスト「Tokyo Rising」に迫ります。

 
※参考 : ChartmericSpotify Web API

 

Main illustration by Hikaru Matsubara

この記事の執筆者
THE MAGAZINE
国内のインディペンデントアーティストをメインに新たな音楽ムーブメントを紹介するウェブメディア