【プレイリストジャーニー Vol.2】Spotifyプレイリスト「Tokyo Rising」
サブスク/ストリーミング時代の新しい音楽体験“プレイリスト”を巡る「プレイリストジャーニー」へようこそ!
前回のVol.1では、Spotifyの「日本のポップシーンを彩る最新ベスト50」をキュレーションしたプレイリスト「Tokyo Super Hits!」を紹介しました。
そして今回「プレイリストジャーニー」のVol.2は、日本のトレンドの楽曲を世界に発信しているSpotifyのプレイリスト「Tokyo Rising」を取り上げます。
それでは、「Tokyo Rising」について深堀りしていきましょう。
目次
「Tokyo Rising」概要
https://open.spotify.com/playlist/37i9dQZF1DWX9u2doQ8Q2L
タイトル : Tokyo Rising
説明文 : 「Spotify Japan proudly introduces the freshest and most talented Japanese artists to the world.」
作成者 : Spotify
フォロワー数 : 279,238(2021年5月26日時点)
フォロワー数推移 : 10万 – 2017年8月、20万 – 2019年10月、25万 – 2020年11月
曲数 : 70~80曲(2021年5月現在)
カバーアート : 固定クリエイティブ
更新タイミング : 火曜、木曜(現状、火曜の方が新しく追加されている曲が多い傾向)
メインジャンル : J-Rap、J-Pop、J-Dance、J-Rock
タイプ : ノンパーソナライズ
類似プレイリスト : 「New Music Wednesday」、「City Pop: シティ・ポップの今」、「Viral 50 – Japan」など
プレイリストの説明文が英語になっていることからも海外のリスナーを視野に入れたプレイリストになっていることが分かります。過去には
「フレッシュで才能豊かな日本のアーティスト/バンドを世界のSpotifyユーザーへ発信します!」
という日本語の説明文がそえられてる時もありました。
国内のオントレンドな楽曲がキュレーションされています。
プレイリストに入れられる楽曲数には変遷があり、2017年から2019年4月まではほぼ50曲で、その後2020年5月までは増減もありながら60曲、そして2020年4月の終わりから2021年の今月までは70曲、そして今週の更新で80曲と同プレイリストにおいては過去最多の選曲数となっています。
比較的新譜が追加される傾向にあり、例えば、2021年5月26日現在の「Tokyo Rising」80曲においては、リリースされてから1週間以内の曲が30曲、リリースされてから1週間から1ヶ月以内の曲が28曲という割合になっています。
また、プレイリストジャーニーのVol.1で取り上げた「Tokyo Super Hits!」と異なる「Tokyo Rising」の特徴としては、メジャー3社以外からのリリースも多く入っていることです。2021年5月21日時点での「Tokyo Super Hits!」でのメジャー3社からのリリースの占有率は50%を越えていましたが、2021年5月26日現在の「Tokyo Rising」においてはその比率が12~3%となっています。この時点に限った話ではありますが、「Tokyo Super Hits!」よりも「Tokyo Rising」の方がドメスティックメジャーおよびインディペンデントの楽曲も入る可能性が高いと言えます。
「Tokyo Rising」データ
今回もSpotifyが公開しているAPIを使用して「Tokyo Rising」のデータを見てみます。様々なデータが抽出できるSpotify APIから「Tokyo Rising」の傾向を見るために下記の項目を取り上げます(データ抽出日時 : 2021年5月26日)。
- acousticness
- danceability
- energy
- key
- loudness
- tempo
- valence
- length
※2021年6月3日追記 : 各数値に関してはSpotifyによる指標です。詳細はこちら
上記各項目におけるプレイリスト収録楽曲の数値をグラフ化したので、順番に見ていきます。
※X軸 : 各項目の値 / Y軸 : 曲数
acousticness
acousticness : アコースティック感を示す。1.0に近いほどアコースティック感が高くなる。
danceability
danceability : ダンス感を示す。1.0に近いほどダンス度が高くなる。
energy
energy : 楽曲のエネルギッシュさを示す。速く、ラウドで、ノイジーな楽曲ほど1.0の値に近くなる。
key
key : 楽曲のkeyを示す。
※ 0 = C, 1 = C♯/D♭, 2 = D, 2.5 = Dhalf sharp (quarter tone sharp), 3 = D♯/E♭ [Pitch class]
loudness
loudness : 楽曲の全体的なラウドネス(デシベル[dB])
tempo
tempo : 楽曲の全体的なBPM
valence
valence : 楽曲のポジティブさを示す。1.0に近いほど幸福感があったり陽気なムードの楽曲、0.0に近いほどサッドな雰囲気
length
length : 楽曲の長さ
上記の数値データから2021年5月26日時点の「Tokyo Rising」の傾向を見てみると、
アコースティック感低め
ダンス感は平均以上
エネルギッシュさあり
BPM110くらい
若干明るめ
4分少し or 3分半 くらいの曲の長さ
となるようです。
あえて前回時点での「Tokyo Super Hits!」と比較してみると、今回の「Tokyo Rising」はvalenceの値が高め、そしてBPMが少し早めになっています。概要とAPI分析を通してみると、日本のアーティストがメインの人気プレイリストにおいてもこのように差分が見えてきます。
次回も、日本のSpotify人気プレイリストに迫っていきます。
※参考 : Chartmeric、Spotify Web API
Main illustration by Hikaru Matsubara