【プレイリストジャーニー Vol.6】Spotifyプレイリスト「RADAR:Early Noise」Spotifyが注目する次世代アーティストをまとめたプレイリスト
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前回のVol.5では、国内のみならず世界的にシフトする金曜ニューリリースのマナーに則った作品がキャッチアップできるSpotifyプレイリスト「New Music Friday Japan」を紹介しました。
そして今回「プレイリストジャーニー」のVol.6は、Spotifyが注目する次世代アーティストをまとめたプレイリスト「RADAR:Early Noise」を取り上げます。
それでは、「RADAR:Early Noise」について深堀りしていきましょう。
目次
「RADAR:Early Noise」概要
タイトル : RADAR:Early Noise
URL : https://open.spotify.com/playlist/37i9dQZF1DX4OR8pnFkwhR
説明文 : 「Spotifyが注目するニューカマー・プレイリスト。」
作成者 : Spotify
フォロワー数 : 40,512 (2021年7月5日時点)
フォロワー数推移 : 1万 – 2019年2月、3万 – 2020年11月
曲数 : 50 – 60曲(過去、同URLにては30曲を割り込んだり、80曲を超えるタイミングも見られたが、今年5月以降は60曲で落ち着きをみせている)
カバーアート : 更新クリエイティブ / アーティストイメージ使用
更新タイミング : 主に水曜日更新
メインジャンル : J-Rap、J-Pop、J-Dance、J-Rock
タイプ : ノンパーソナライズ
類似プレイリスト : 「New Music Wednesday」、「City Pop: シティ・ポップの今」、「Viral 50 – Japan」、「New Era: J-Hip Hop」など
以上がSpotifyプレイリスト「RADAR:Early Noise」のプレイリストとしての基本仕様となっています。
日本では「Early Noise」は2017年にスタート。Spotifyが注目する次世代アーティストを毎年発表し、その魅力をプレイリストやショーケースライブなどで一年を通じて継続的に音楽ファンに紹介するSpotifyの新人サポートプログラムとなっていました。これまでにあいみょん、Official 髭男dism、King Gnu、ビッケブランカ、Vaundyなど様々なアーティストがここから多くの新しいリスナーを獲得しています。
2021年の5年目を迎えたタイミングで、グローバルプログラム「RADAR」との連携を強化し、新たに「RADAR:Early Noise」として名称を改めスケールアップ。このプレイリストでも毎週水曜日に注目の新人アーティストがピックアップされるようになりました。
前述にもある通り、このプレイリストは新人のなかでもSpotifyが注目しているアーティストが選出されています。どんなニューカマーが来ているのか、いち早くチェックしたい人はぜひこのプレイリストを確認してみましょう。なお、ノンパーソナライズで現時点で楽曲数は60曲と決まっています。
プレイリストの傾向としてはメジャーレーベルに所属する新人アーティストのほか、自身で配信しているインディペンデントアーティストも多く選出されています。現在「RADAR:Early Noise」に登場しているインディペンデントアーティストを一部ご紹介しましょう。
文藝天国
Vo.ハル・Vis.すみあいか・Com.ko shinonomeからなるオルタナティブロックユニット。透明度の高いボーカル、叙情的な歌詞、ザラついたギターロックサウンドを基調とし、メンバー内で映像まで作り上げている異彩のグループです。2021年5月8日にリリースされた「エア・ブラスト」が「RADAR:Early Noise」にプレイリストイン。2021年7月5日時点では57位に登場しています。
DURDN
韓国籍シンガー「Baku」と、韓国アイドルグループIZ*ONEへの楽曲提供歴や、自身のユニット「ひみつのネリネ」でもその多彩な楽曲スタイルを披露しているプロデュースユニット「tee tea」が手を組み、LofiやCity Pop、MainstreamなPopsサウンドを提供するDURDN。最新曲「僕の夢」が「RADAR:Early Noise」にプレイリストインしているほか、これまで配信されたSingle「The Last Day」、「忘れたいね」、「いつか、思い出に」もすべて「RADAR:Early Noise」に選出されています。
tonun
作詞や作曲、トラック・メイキング、ミキシングまで一人でこなす、広島県出身のシンガーソングライター。2020年10月に YouTubeに初作品の『最後の恋のmagic』を投稿し活動をスタートし、「青い春に」はTikTokでもその人気に火がつきました。2021年1月27日にEP『tonun 』を配信リリース、それ以降毎月シングルをリリースという驚異的なペースで作品を発表し続けています。tonunも「RADAR:Early Noise」の常連となっており、2021年6月2日にリリースされた最新曲「微睡」はもちろん、過去には人気曲「Sweet My Lady」や「バージンヘア」も選出されています。
BURNABLE/UNBURNABLE
ごみから生まれた音楽プロジェクト、「BURNABLE/UNBURNABLE(バーナブル・アンバーナブル)」。音楽プロデューサーには日本の第一線で活躍するベーシスト・須藤優(XIIX)を迎え、ボーカルとして切ない感情の込もった声の持ち主・re:caco が歌うユニットです。初の配信曲「このままどこか」と、2021年6月30日にリリースした最新曲「誰かのふりはもう飽きた」が「RADAR:Early Noise」で紹介されました。
「RADAR:Early Noise」は日本のほか、US、Koreaなど各国のニューカマーアーティストをピックアップしているプレイリストもそれぞれ存在します。世界でどんなスターが生まれるのか、いち早く情報を得たい方は様々な国の「Early Noise」も覗いてみましょう。
毎週更新される「RADAR:Early Noise」はどこよりも早く注目の新人アーティストの新曲をキャッチできるプレイリストです。Spotifyをひらいた際はぜひチェックしてみてください。
「RADAR:Early Noise」データ
Spotifyが公開しているAPIを使用して「RADAR:Early Noise」のデータを見てみます。毎週曲のin-outのある更新プレイリストなので、あくまで今回のデータとなりますが、Spotifyが注目するup-and-comerアーティストの傾向が見えてくるかもしれません。(データ抽出日時 : 2021年7月5日)。
- acousticness
- danceability
- energy
- key
- loudness
- tempo
- valence
- length
※各数値に関してはSpotifyによる指標です。詳細はこちら
上記各項目におけるプレイリスト収録楽曲の数値をグラフ化したので、順番に見ていきます。
※X軸 : 各項目の値 / Y軸 : プレイリスト内の曲数
acousticness
acousticness : アコースティック感を示す。1.0に近いほどアコースティック感が高くなる。
danceability
danceability : ダンス感を示す。1.0に近いほどダンス度が高くなる。
energy
energy : 楽曲のエネルギッシュさを示す。速く、ラウドで、ノイジーな楽曲ほど1.0の値に近くなる。
key
key : 楽曲のkeyを示す。
※ 0 = C, 1 = C♯/D♭, 2 = D, 2.5 = Dhalf sharp (quarter tone sharp), 3 = D♯/E♭ [Pitch class]
loudness
loudness : 楽曲の全体的なラウドネス(デシベル[dB])
tempo
tempo : 楽曲の全体的なBPM
valence
valence : 楽曲のポジティブさを示す。1.0に近いほど幸福感があったり陽気なムードの楽曲、0.0に近いほどサッドな雰囲気
length
length : 楽曲の長さ
上記が2021年7月5日時点の「RADAR:Early Noise」の数値データとなります。energyの項目で、プレイリストインしている楽曲のほとんどが平均以上のスコアになっているのが印象的です。また、楽曲の尺では極端な傾向は見られず、むしろ4分半あたりの楽曲数が最も多くなっていることから、楽曲の長さという点でいうとこれまでの邦楽曲の傾向に近いと言えるでしょう。エネルギッシュでポジティブな雰囲気、テンポ100弱で、多少長くてもじっくり作り込まれた楽曲、というのが今回調べた時点で最も「RADAR:Early Noise」らしい楽曲ということになりました。
次回も、日本のSpotify人気プレイリストに迫っていきます。
※参考 : Chartmeric、Spotify Web API
Main illustration by Hikaru Matsubara
API analysis by THE MAGAZINE