【Who’s NXT】真壁寂室 | 日本語の美しさへの拘り、文學的な歌詞 唯一無二の世界観を表現する“ラップ×ポップス”アーティスト
真壁寂室(まかべじゃくしつ)
1998年生まれ、茨城県出身。ラップミュージックとポップミュージックを融合した独特の世界観で楽曲を生み出す表現者。日本語の美しさに拘った文學的な歌詞の表現は、聴く者を一瞬で物語へと誘う。MVの脚本や演出、さらにはキャスティングまで自ら手掛けるなど映像を通した自己表現にも強い拘りを持っている。
Who’s NXT : A series of interviews with featured artists
——まず音楽に興味を持ったきっかけを教えてください。
小学生の時に初めて買ったコブクロのCDがきっかけで音楽が好きになりました。
——自らも音楽をやるようになった経緯というのは?
音楽をやりたい気持ちはずっとありましたが、自信がなく諦めてきました。高校生の時に友達と遊びでフリースタイルラップをやっていたこともあり、ラップなら自分でも出来るのではないかと思い20歳の頃音楽を始めました。
——現在主に活動しているシーンはどちらになりますか?
ネット配信がメインです。
——最新作について教えてください。
「大正毛断嬢(タイショウモダンガアル)」という楽曲を7月20日にリリースしました。大正時代を舞台に描いた楽曲で、14年という短い期間ながらも様々な主義や新しい価値観に溢れた激動の時代でした。また、女性が髪を短くする事は許される事ではなく、ワンピースなどの今では当たり前の洋装も西洋かぶれだと馬鹿にされる事でもありました。そうした時代背景も踏まえて聴いていただけたら、より楽曲の世界を感じて頂けるかと思います。
主人公の海老茶袴にマガレイトヘア、編み上げブーツ姿の女學生「ハル」は、ある日、銀座でボブヘアにワンピース姿の「モダンガール」に出逢い衝撃を受けます。世間の目を氣にする事なく自分を貫くその姿にハルの心は揺れ動いていきます。
主人公のハル
浪漫と桜咲く春
海老茶袴を着た青春
自分の氣持ちに胸を張る
たくさんの「はる」を詰め込んだ「脱ぎ捨てたいわ海老茶色の春」、というサビのフレーズに注目して聴いて頂きたいです。
——「大正毛断嬢」はLINE MUSIC ソング Top 100のリアルタイムランキングにも入っていましたね。他に、これまででおすすめ、あるいは思い入れのある作品をあげるならどれになりますか?
「爛漫浪漫譚(らんまんろまんたん) 」「三文夢想譚(さんもんむそうたん)」という楽曲がシリーズ作品となっており、ボカロPのほろゐさん、マルチクリエイターのBAKUIさんとの共同作品になっています。こちらも明治大正が舞台になっております。
小説家を目指す男が生活費を稼ぐために犯罪に手を染めながら、夢を追う途中、犯罪組織のトップから大企業の令嬢の指輪を盗む様指示され、仮面舞踏会に潜入します。指輪を盗む為、男は令嬢の手を取って踊りますがその最中に男は令嬢に心を盗まれてしまう……
壮大な物語となっています。「三文夢想譚」→「爛漫浪漫譚」の順で聴いていただきたいです。
——まだ真壁さんの楽曲に触れたことのない人にアーティストとしての特徴を伝えるならば?
箇条書きになりますが、
・レトロな雰囲気
・文學的な歌詞
・ラップ×ポップス
・物語性がある
です。
——真壁さんはどんなアーティストに影響を受けましたか?
コブクロです。小学生の頃に聴いてハマりました。原点であり頂点です。コブクロの楽曲のキャッチーなメロディや、小渕健太郎さんの書く詩の美しさや比喩表現などに触れてきた事が今の自分が作詞する上で凄く生かされているなと感じます。ラッパーなのに古風な日本語などに拘って、フィクション作品を書く。自分でも毎作品ワクワクしながら制作させて頂いております。
——楽曲でいうとどんな曲に影響を受けましたか?
太田裕美 「木綿のハンカチーフ」
一曲聴いただけで一本の映画を観た様な氣持ちにさせてくれる楽曲です。
ちあきなおみ「喝采」
死という直接的な表現を用いていないにも関わらず鮮明に情景が浮かんでくるところが凄いなと思います。
コブクロ 「風」
一番好きな楽曲です。
「薄手のシャツじゃまだ少し寒い春の 朝の匂いが切ないのはあなたを想い出すから」
出だしから心鷲掴みにする歌詞。自分もこんな詩が書けたらいいなってずっと想っています。
——真壁さんが音楽活動をする上で、なにか特に意識していることはありますか?
起承転結を明確にする。日本語に拘る。また、語呂合わせの英単語などは使わない様にしています。今を生きる自分と100年前を舞台にした曲の主人公の氣持ちがリンクするポイントを常に探しています。
——今後の活動の予定や展望について教えてください。
まずは一人でも多くの方に自分の楽曲が届く様に制作をしていきますが、いずれステージで自分の生の声をリスナーの方に届けられる日が来ればいいなと思っています。
——では最後にメッセージをお願いします。
茨城県真壁町という地で育ったので【真壁寂室】という名前で活動しています。真壁という町はとても歴史があり、文化財が多く残る町です。真壁寂室はこの町で育ったからこんな世界観の曲を書いているんだ、と感じていただけたらと思うので、ぜひ茨城県の真壁町に足を運んでみてください!