「ランデヴー」バイラル1位も獲得!人気急上昇、今最注目のバンド“シャイトープ”はなぜ今の若者に支持されるのか ― 気だるくて甘い濃密な追体験、シャイトープが描く身近な失恋とロマンス
令和世代の若者が憧れる恋愛像を描く
2曲を通じてシャイトープが若者の支持を集める要因について述べてきたが、彼らの人気にはもう一つ見逃せない要素がある。それは、現代を生きる若者が憧れを抱く恋愛像を忠実に再現しているという点だ。
その代表的な例として挙げられるのが、2021年公開、若者からカリスマ的人気を誇る菅田将暉と国民的女優の有村架純が主演し、社会現象を巻き起こした大ヒット映画「花束みたいな恋をした」だ。この映画は東京在住の男女を描いたラブストーリーで、一見ありふれた恋愛映画のようだが、他の恋愛映画と一線を画し、ティーンから20代前半の男女が夢見る恋愛像の代表格たらしめている点が「おだやかでアンニュイなバッドエンド」というところ。インターネット環境の一般化が進み、情報の洪水の中で昭和や平成のティーンエイジャーよりもさらに早熟した価値観を持って育ったZ世代のデジタルネイティヴにとって、「花束みたいな恋をした」に詰め込まれた失恋までを含めた恋愛の刺激と美しさ、アップデートされた繊細なニュアンスはこの上なく魅力的なものだろう。
シャイトープの楽曲にはそんな「花束みたいな恋をした」に描かれているような令和の恋愛に憧れる若者たちが欲する要素、そして恋愛で悩むすべての人に寄り添ってくれる優しさがふんだんに盛り込まれており、それが佐々木想の胸に迫る歌声と切なくも甘いサウンドで見事に展開される。令和の恋愛の理想をリアルに表現したシャイトープの楽曲に、現在の多くの若者たちは日々惹き寄せられている。
新曲「tengoku/Summer Conte」のリリースや東名阪ツアーなど、積極的な活動を見せるシャイトープは、まさに今、まばたき厳禁の最注目バンドだ。もし周りの大切な人が恋愛の悩みを抱えているのなら、そっとこのバンドを教えてあげてみてほしい。きっとその人の心の支えになってくれるはずだ。
シャイトープ「tengoku / Summer Conte」
(文:ヒサキ アラタ)