フォロワー12万超え、楽曲紹介系TikToker「選曲中_」が語る“音楽とバズ”のリアル
楽曲紹介アカウントの裏側
――紹介する楽曲はどのように選んでいますか?
ジャンルは本当に幅広く聴きますが、特に国内のインディペンデントアーティストに注目しています。実は、チューンコアさんのプレイリスト(tuneTracks)を毎日欠かさずチェックさせていただいているんです。いつも本当にお世話になっています(笑)。メジャーで有名なアーティストさんの人気曲を紹介されている方は多くいますし、それも素晴らしいと思いますが、私はもう少し能動的に探さないと出会えないようなアーティストさんや曲に惹かれることが多くて。自分自身、辛い時に音楽に救われてきた経験があるので、音楽を作る人たちには本当にリスペクトがあります。その中でも、自分の力で自分の音楽を届けているアーティストさんがたくさんいる。その姿にすごく勇気をもらうんです。そうした人たちの活動を応援したいし、少しでも恩返しができればと思っています。
――TikTokアカウント運営で意識していることは?
やはり「アーティストさんを応援したい」という気持ちが強いです。ただ、基本的に一人で運営しているので、気持ちだけ先走らないよう、無理せず細く長く継続したいなと。あと、投稿の作成はTikTokということで同じ運営のCapCutを使うように心がけています。いろいろ動画編集ソフト試したんですけど、プラットフォームの親和性を考慮してCapCutに落ち着きました。
――収益の部分も気になります。
似たようなアカウントをやられている方や同じようなフォーマットでバズったことがある方は分かるかもしれませんが……私がやってるスタイルにおいては全然なんですよね。ただ、それが目的ではないですし、この活動を通じて音楽関係者の方々やアーティストさんからコンタクトをいただいたり、イベントや興味深い企画に関わらせていただく機会も増えました。「選曲中_」をやっているからこそ、こうやってチューンコアさんやTHE MAGAZINEさんにお声がけいただけましたし。
――TikTokでの楽曲紹介系アカウントはもはや一般化した感がありますが、この現状についてどう感じますか?
楽曲紹介系アカウントは本当に増えたと思います。それこそレーベルのスタッフさんやアーティストの関係者さんが運営しているケースも珍しくないと聞きます。今はある種の“フォーマット”が定着してきている印象です。私が始めた頃は、今ほど飽和状態ではなかったかもしれません。そんな中、例えば、「ハイエンド」さんとかはすごいですよね。すごくアクティブで工夫もされていらっしゃいますし、人気なのも分かる気がします。
「選曲中_」が目指すところ
――活動のやりがいや課題は?
やりがいはやっぱり、「この曲と出会えた」のお役にちょっとでも立てていること。自分の投稿がきっかけでアーティストさんを知っていただくというのは本当に嬉しいです。一方で、トレンドが早いので常に課題感はあるのですが、忙しくてできていないこともたくさんあって歯がゆいです。
――今後の目標や展望を教えてください。
これからも、ひとりでも多くの人に素晴らしい音楽と触れる機会を提供できたらと思います。あくまで主役はアーティストさんとその楽曲です。SNSという大きな海の端っこで、こっそりアーティストさんのお役に立てれば、それが一番の喜び。また、同じ方向性の方とコラボもしたいですし、もし私の活動に興味を持っていただけたら気軽にご連絡いただければ。自分自身も、音楽に感謝しながら“継続は力なり”を実践し、成長していきたいです。

THE MAGAZINE編集部 取材後記:
TikTokは今や、音楽の発見やプロモーションの場として欠かせない存在となっています。ショート動画の拡散力やアルゴリズムの力で、インディペンデントアーティストが一夜にして注目を浴びることも珍しくありません。一方で、楽曲紹介系アカウントも増え、競争が激化するなかで、いかに独自性や信頼感を築いていくかが問われる時代です。
選曲中_さんのように、音楽への愛と分析力、そして“応援したい”という純粋な気持ちがあれば、これからも新しい音楽の魅力を多くの人に届けてくれるはず。今後もその活動に注目していきたいと思います。
選曲中_
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