グローバルなファンベースを構築する基本 − HOW TO BUILD AND CONNECT WITH AN INTERNATIONAL AUDIENCE

2021.3.3

音楽ストリーミングサービスで楽曲を配信リリースできるようになったことにより、フィジカルがメインフォーマットだった時代に比べ世界に音楽を届けやすくなりました。とはいえ、国内のアーティストの場合まずは日本のリスナーを意識すると思われますし、まだ国内でのファンベースも伴わない段階だとしたら、海外にまで目を向ける余裕はないかもしれません。

ですが、世界で展開されているストリーミングサービスで音楽を配信している時点で楽曲は海外の人も聴ける状態なので、例えば、東南アジアから火がついたcinnamonsとevening cinemaの「summertime」や先日台湾のバイラルチャートで1位にランクインしたOHTORA「ツレナイズム」のように、海外の特定の地域である日突然バイラルヒットする可能性もゼロではありません。

そこで今回は、海外のリスナーへアプローチする基本的な事項を紹介。活動に少し余裕があったり、いつもと目先を変えたアプローチを検討する際などに参考としてみてください。

 


 

1. 前提

ここ数年で、音楽産業はアーティスト、リスナー、レーベルにとってグローバルなプラットフォームへと変貌を遂げました。その目覚ましい変化は、主に、世界各地のリスナーにリーチすることができるYouTubeやSpotify、そしてApple Musicといった大規模なプラットフォームの普及が大きな要因となっています。よりグローバルな産業構造への移行の結果、アーティストは世界中のほぼすべての国のリスナーと簡単に繋がれるようになりました。そこで、この記事では、グローバルなリスナーとつながり、ファンベースを構築するために気を付けたい6つのことをご紹介します。

まずグローバルなリスナー層の構築を目指す前に最初にしなければならないことは、あなたの音楽が世界中のすべてのデジタルプラットフォームで利用可能であることを確認することです。国によって利用できるプラットフォームが異なりますので、配信するプラットフォームは多いほど良いでしょう。

次に、あなたのことを見つけてもらいやすくするために、ソーシャルメディアを整えましょう。あなたの音楽を聞いた人がInstagram、Facebook、またはTwitterであなたをフォローする可能性があります。これらをできる限り運用し、活動をチェックしてもらえるようにしましょう。

 

2. 歌詞とスタイル

あなたの音楽は何語で歌われていますか?主に英語の歌詞である場合は、グローバルなリスナーにリーチする可能性が高いでしょう。スペイン語やポルトガル語の場合は、まずこれらの言語が主要な地域でリスナー層を構築することに注力します。例えば、ポルトガル語の曲であれば、ドイツよりもブラジルにアプローチしたほうがいいでしょう。

また、地域性のある音楽に影響を受けていたり、特定の文化の楽器を使用してる場合は、それらをルーツとする地域へのアプローチも検討できます。ボレロの要素があるならラテンアメリカ、ブズーキを使っているならばギリシャといったように。

 

3. メディアアプローチ

自分が影響を受けているアーティストや、自分が似ていると思うアーティストのリストを作り、Googleで言語設定を変えながら、色々な国におけるそれらのアーテストについての記事やインタビューをリストアップします。そのライターや編集者を調べることができたら、彼らが書いた他の記事も検索します。そうしてライターや編集者の方向性、スタイルを掴み、自分の音楽に興味を示しそうであれば、できる限り相手の母国語で連絡してみましょう。できればその言語をネイティブとする人に、連絡用の文言を校正してもらいましょう。

 

4. Spotifyデータを使用して、最も聴かれている地域を確認する

Spotify for Artistsを使うと、あなたのリスナーがどこに住んでいるか、日々アップデートされる情報を確認することができます。楽曲によってその地域は異なるでしょうし、楽曲のテイストと地域の傾向に特徴があるかもしれません。

地域データはツアーを行う上でも非常に重要です。実際、多くのアーティストがツアースケジュールを立てる際、ストリーミングの地域データを考慮しています。コロナが明けてツアーやライブが再開となった際には、現在蓄積している地域データはきっと役に立つでしょう。

 

5.他の言語でのリリース、コラボ

母国語以外の歌詞でのリリースも検討してみましょう。マルチランゲージに対応していることは、単純に潜在リスナーの分母が増えることになります。

海外のアーテストとのコラボレーションも一つの方法です。視野が広がったり、新しい学びもあるでしょうし、これまでリーチできていなかったに新しい層のリスナーとつながる機会にもなります。アーティストとしてまた新たな表現方法を身につけることにもなるでしょう。

 

6. 他の言語のプレイリストにピッチ

もし自分の曲がランニング用プレイリストによく入っているなら、それを海外で横展開するチャレンジをしてください。他の言語のランニング用プレイリストも調べ、そこへのピッチは良い方法だと思われます。

自分の実績のあるプレイリストに近いテイストの、母国語以外の言語のプレイリストをピックアップしてピッチングを試みるのは一つの手です。

 

最後に

この記事では、グローバルなリスナーに音楽を届けるために試せる6つのことを紹介しました。世界の音楽業界はリスナーの数が増えているため、アーティストにとってのチャンスも増え続けています。

上手くグローバルにファンベースを構築しているアーテストがいたら、彼らが何をして成功したか、あるいは失敗したかを研究しましょう。とはいえ、成功は試行錯誤の結果なので、あるアーティストに当てはまったことが他のアーティストでも上手くいくとは限りません。自身でも思考錯誤を繰り返し、楽しむ心を忘れずにファンベースを築いていってください。

 
※この記事はTuneCore USのBlogの翻訳/編集記事になります。(原文へ
翻訳 : Ayako Tsukazaki / 編集 : THE MAGAZINE

この記事の執筆者

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