GAME CENTER インタビュー 「直感とオリジナリティを大切に」USインディ/エモサウンドを独自の音楽性に昇華、金沢発2ピースバンド
GAME CENTER
2018年結成。水野(Vo.)とミチマル(Gt.)からなる2ピースバンド。
2019年に1st EP『I HAVE TO GO HOME』を自主リリースし、即完売となる。主にUSインディ/エモからの影響下にあるサウンドが特徴であったが、2020年にリリースしたシングル「さよならサバーバン」ではフォークや日本詞を取り入れ、ストレートなロックサウンドに大きく舵を切った。その年の8月には配信にて行われたFUJI ROCK FESTIVAL’20「ROOKIE A GO-GO」にも出演を果たし、大きく注目を集める。
2021年、ついにキャリア初となる1stアルバム『LOVE』がリリース。昨年のシングルの延長線上に綴られた全8曲を引っさげ、さらなる飛躍を狙う。
——まず、そもそもの音楽への入りを教えてください。
水野 : 両親がよくビートルズを聴いており、その影響で小学生の頃にバンドや音楽に興味を持ちました。また、父親が持っていた80sのUSポップスのヒット曲を集めたコンピレーションアルバムもとても好きでよく聴いていました。
——GAME CENTER結成までの経緯を教えてください。
水野 : もともとは地元の石川県金沢市でハードコアバンドとりわけユースクルーといわれるジャンルのバンドを組んでいてそれらに熱中していましたが、段々とTEXAS IS THE REASONやTurning point、Jawbox、Knapsack、The Promise Ringといったハードコアやパンクをルーツにもつ、または親和性の高いエモーショナルなサウンドを鳴らしているバンドに惹かれるようになり、次第にそれを体現したいと考えるようになりました。最初は遊び程度で、ちょうど同じ時期にバンドを解散していた丸山(=ミチマル)と曲を作るなどしていたのが始まりと思います。
——最近リリースされた作品について教えてください
水野 : 3月24日にアルバム『LOVE』をリリースしました。これまでのエモ/インディ路線はから、さらにお互いがルーツとして持っていたロックの要素をミックスさせた新しいサウンドを目指して制作したアルバムです。
それぞれの曲についていうと、1曲目の「Intro」は、従来のサウンドとの決別を意識し、さらに作中の曲への伏線となることをイメージしています。
次の「サーカス」は、ギターポップのような導入からダブやサイケデリックな要素を盛り込んだ実験的な作品です。
続く「えんとつ」は歌を聞かせるストレートなロックで、サウンドやアレンジにおいてOasisをリスペクトしています。
「さよならサバーバン 」は、現在の音楽性に変わるきっかけとなった先駆的作品になっていて、再録ではありますがサウンド面で大幅にクオリティーが上がっており是非聴き比べて欲しいです。
5曲目、「Waves (Big Animal Theory Interlude)」は、イギリス在住の正体不明のビートメイカーであるBig Animal TheoryがIntroのリフを元に作ってくれたInterludeです。アルバムを前半後半という聴き方をしてもらったら面白いかなと思って作りました。
後半、6曲目の「LOVE」は、アコースティックギターが特徴的なGAME CENTER的フォークソングです。月や太陽が登場したり、メランコリックな一曲になったと思います。
7曲目、「あわれな魂」はまさにGAME CENTERという歌詞と曲で、僕らの「2010」と「さよならサバーバン」の中心地点のような曲です。良いことがあった日も、落ち込んだ日も聴いて欲しいです。
そして最後の「Theme」はアルバムのフィナーレを飾る、作中で1番カラッと乾いた気持ちの良い曲になりました。オーディエンスがライブで自由に踊ってくれたらグッときます。
全編通して雰囲気やアレンジはThe Stone RosesやNew OrderややOasisからインスパイアを受け、楽曲制作にあたってはビートルズの『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』 やPrimal Screamの『Sonic Flower Groove』に影響を受けています。
『LOVE』各配信ストア : https://linkco.re/gqxQzMcZ
——そのほかに、これまでリリースされた作品の中で思い入れのあるものをあげるならば?
水野 : 2019年に『I Have To Go Home』というEPをリリースしています。90sエモや現行インディーロック、日本のくるりや90sUSオルタナティブを意識して制作した作品です。エンジニアにはBasement等のレコーディングに携わった経験のあるTomRにお願いして、素晴らしい音像に仕上げてくれました。
このEPに収録されている「2010」はThe Smashing Pumpkinsの「1979」や、The Promise Ringの「Why Did Ever We Meet」のようなノスタルジックで郷愁を誘うリフと、Soleaのように聞き心地の良いメロディラインを併せたいというコンセプトのもと制作しました。いずれかのバンドが好きならば必ず気に入ってもらえると思います。
他に「Green Nasty House」という曲は、AdventuresやPraiseに影響を受けて作られた楽曲です。この曲はお互いに持ち寄ったリフを併せて作られました。オマージュのフレーズも登場するのでわかる人が聴くとニヤリとできるかもしれません。
『I Have To Go Home』各配信ストア : https://linkco.re/NFYcDZ1u
——GAME CENTERは普段どんなプロセスで曲作りをされていますか?
水野 : 丸山が家で作ってきたデモに僕が歌をのせることがほとんどです。その後に僕が詞を入れて2人でアレンジしていくのがいつもの流れです。「2010」や「えんとつ」のように、僕がデモと作詞・歌を持っていってアレンジというパターンもごく稀にあります。
——まだGAME CENTERを聴いたことがない人に、その特徴を伝えるとするなら?
水野 : 難しいですね。まだ発展途上なので。聴いてくださいとしか……
——これまで多くのアーティスト名が挙がりましたが、改めてGAME CENTERのお二人が影響を受けた曲を具体的に教えてください。
水野 :
The Promise Ring – Suffer Never
エモ、インディロック路線だったこれまでの曲調からは想像もつかないフォーキーかつサイケデリックな音像に衝撃を受けました。これまでの音楽性に様々なものをミックスさせて新しいものをつくっていくというアイデアとマインドに気付かせてくれた曲。
Oasis – Acquiesce
高校1年生の時にOasisに出会いこの曲を知り衝撃を受けました。当時はメロコアに傾倒しており、いわゆる正統派は無視していましたが、考えが一変しました。お洒落で悪そうなんだけどとてつもないポップスネスを内包していて、さらに兄弟2人の声がどちらも最高です。あれから何年も経ち色んな音楽を聴いた今も新たな魅力が発見できる傑作。
Champion – Promises Kept
自分がハードコアというジャンルの魅力に気付くきっかけとなったバンドと曲でこのバンドがなければ現在の自分はいないと思います。短いながらもドラマチックさや高揚感をこれほどまでにもたらしてくれる楽曲は他には無いと思います。
チューリップ – 心の旅
歌詞もメロディーもかなり影響を受けました。日本語はこれまで野暮ったくてあまり好きではありませんでしたが、チューリップをはじめ70sの日本の歌謡を聞き、表現の繊細さや独特の語感の魅力に気付けたような気がしています。さらに絶妙な塩梅でミックスされているロック要素は今のGAME CENTERに通じるところもあると思います。
ミチマル :
James Iha – Sound of Love
ずっと大好きな曲で、散歩の時によく聴きます。心が清々しくなって街の匂いとか通り過ぎる人の気持ちなんかを考えてしまうような1曲です。
Pinegrove – Size of the Moon
初めて自分のお金で買ったLPの中の一曲です。Pinegroveは盛り上がるパートまでのワナツキが最高で、むしろそこが魅力のようだと思わせてくれます。
Jermaine Jackson – Castles of Sand
ソウルはいつも自分を元気にしてくれます。ビートのネタにもしたことがあります。エロいです。
——音楽活動をする上で、何か特に意識していることはありますか?
水野 : 直感とオリジナリティです。以前はどれだけ海外のバンドに似せられるかに注力しそのジャンルのオタクを唸らせるかが全てでしたが、現在はいかに自分達のルーツをおり混ぜ独自の音楽性に昇華できるかを1番大切にしています。その上で我々の直感は多くの場面でそれらを作ることを助けてきました。
——今の音楽を取り巻く現状に対して何か感じることはありますか?
水野 : とくにありません。いいものはいいって感じで。
——最後に今後の展望を教えてください。
水野 : アルバムを出したのでツアーもしたいです。沢山の人に向けて発信していきたい。まだまだ自分達が体現したいことはたくさんあるし、これからもどんどん表現を続けます。
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