謎の楽曲「Yahman Hard Bass」が大バズり中 曲を作った、いま日本でもっともバズるプロデューサー LIL G に話を聞いてみた
謎の楽曲Bar Yahmanの「Yahman Hard Bass (feat. Blacky Taiki & 崖の上のオニョ)」がSpotifyバイラルチャートで他の話題曲をおさえ国内1位を獲得しました。Explicitな歌詞を含んでおりお世辞にも上品とはいえないのだけれど、その癖になるサウンドはTikTokをメインに一部の若者の間で大流行しています。「Yahman Hard Bass」とはいったいどういう曲なのか。今年上半期にバイラル1位になった「GAL」に続いて、今回の「Yahman Hard Bass」の作曲・ビートも手がけた、ビートメイカー/プロデューサーのLIL Gに話を聞きました。
——LIL Gさんは今年の上半期にバイラル1位になった「GAL」のビートも手がけられていましたよね。1年に2回もバイラル1位の曲を作り出すのはめちゃめちゃすごくて、まさに今もっともバズるプロデューサーの一人と言っても過言ではないと思います。今回の「Yahman Hard Bass」について、まずBar Yahmanについてお伺いしたいのですが、アーティストの方なのでしょうか?
Bar Yahmanは、福岡の中洲にあるバーなんですよ。自分のスタジオ、BIG UP Studioがその近くにあって。中洲の夜のお店を紹介する雑誌があるんですけど、その表紙を飾るくらいけっこう有名なエンターテイメントバーです。そこの代表がタイキで店長がシンヤっていうんですけど、曲で歌ってるのがタイキ(Blacky Taiki)で、崖の上のオニョがシンヤなんです。店で普通に脱いじゃったり、一言で表すなら”バカ”です(笑)。もともと仲が良くて、彼らが昔やってたバーの物件を譲ってもらって僕が入って、そこから二人が移動して改めてオープンした店がBar Yahmanです。
——そういったつながりがあったんですね。「Yahman Hard Bass」はどういった経緯で作られたんでしょうか?
彼らがオリジナルのシャンパンコールが欲しいと言ってて。それでまず1作目として「Champagne King」っていう曲を出して、その次にできたのが「Yahman Hard Bass」です。普段からスタジオで遅くまで作業してるんですけど、ある日朝の6時くらいにスタジオから帰ろうとしてたら彼らから「時間あるかな?」って電話がかかってきて。「今から2作目作りたいんやけど」って。それで「俺ヒップホップのプロデューサーやけど、こんなんでいいん?」ってその場で作ったのが「Yahman Hard Bass」。彼らリリックは用意してなかったんですけど、そのかわりとりあえず飲み屋界隈で流行ってるシャンパンコールの箇条書きだけ持ってきてて。で、もうそれをその場であてはめるみたいな。”ゴーゴーレッツゴー”とか、みんなで爆笑しながらレコーディングして、「あー楽しかった」ってノリで出来た曲です。マジで全然深い意味はないです。ただのバカ(笑)。ビートも1時間かからないくらいで作って、「もうお前らこんなんでいいやろ」って(笑)。あ、そういえば最近MVも公開されました。
——特に曲のリファレンスとかもなく?
ノリで作ったんですけど、あるとしたらロシアンハードベース。僕ヒップホップのプロデューサーなんですけど何でも聴くんですよ。それこそ小学5年生のころとかはEDMのプロデューサーになりたかったくらい。なので、今回思いがけずEDMのプロデューサーとしてもチャート1位になるっていう夢を達成したという(笑)。「GAL」も「Yahman Hard Bass」も上品じゃないですけどね、ホントにひどい(笑)。
◢◤SNSで今一番話題の曲◢◤
Ohayo「GAL (feat. Shake Pepper & Yvngboi P) [Mixed]」https://t.co/ywAUXqcnuk
バイラルチャート1位!!!!!!!!!!https://t.co/VF0NQrDaGC#Ohayo@shake_pepper@YvngboiP@yo_lilgbeat092@UYR_nk@FTL_takeki#GDMbeats#Thlive@SpotifyJP#ギャル超かわいい pic.twitter.com/U8irAfFMZF— TuneCore Japan (@TuneCoreJapan) March 7, 2022
国内1位🎉
Spotify @SpotifyJP バイラルチャートhttps://t.co/VF0NQrl1su
Bar Yahman「Yahman Hard Bass (feat. Blacky Taiki & 崖の上のオニョ)」https://t.co/eMLbo0SfMQ pic.twitter.com/NFWrOmuPZj
— TuneCore Japan (@TuneCoreJapan) October 27, 2022
——もともとバズらせようっていう曲ではなかった?
彼ら自体がもともと良くも悪くもインスタでバズってたんですよ。インスタライブで脱いだりしてバンされてましたけど(笑)。だから彼らは曲もバズらせたいと思ってたみたいだし、僕もどうせならバズったらいいなくらいは思ってました。とはいえ、本当にバイラル1位になっときはびっくりしましたね。こんなに流行ってるなんて、僕も最近気付いたんです。彼らが急に北海道でライブが入ったとか言ってて、なんでって聞いたら、「今めっちゃバズっとるんよ」って。で、TikTok見たらすごいことになってて。こんな下品な曲なのに高校生とかも使ってるし、日本が心配です(苦笑)。
@umk888 あなたとあなたとあなたとあなたと#やまひがjk #jk #ごごれっつごー ♬ Yahman Hard Bass (feat. Blacky Taiki & 崖の上のオニョ) – Bar Yahman
@0808sakura 正直もっと本気出せます
♬ Yahman Hard Bass (feat. Blacky Taiki & 崖の上のオニョ) – Bar Yahman
@mananchos これがおすすめに出てきた人は明日良い日になります#fyp #foryou #おすすめ #毎日投稿 ♬ Yahman Hard Bass (feat. Blacky Taiki & 崖の上のオニョ) – Bar Yahman
——このBar Yahmanの曲のシリーズは「Yahman Hard Bass」含め4曲出てるんですよね。
そうですね。4つの中で赤いジャケの「Champagne foam」は、僕ら的には一番影が薄い感じの曲なんですけど、それにも関わらず北海道に行ったときはお客さん全員歌ってて。「みんなこれも歌えるん?」って驚きました。Blacky Taikiと崖の上のオニョは、いまそれくらいカマしてますね。
——Blacky Taikiさんと崖の上のオニョさんはもともとアーティスト活動をやっていたんですか?
Blacky Taikiの方は、BON-Kっていう福岡のラッパーと、友達がジャマイカに行くってことでノリでレゲエの曲を1曲作ったのかな。リリックは他の人のでしたけど。でもその程度だと思います。オニョは中洲のただのキモい人みたいな感じ(笑)。飲んでないとテンションが全然違うみたいな。めっちゃ変だし、アーティストとかとは無縁というか。
——地元でも「Yahman Hard Bass」は色んなところで耳にしますか?
天神にインスタ映えするような普通に若者に人気のケバブ屋さんがあるんですけど、そこでシャンパンが出てくる時に聞いたことのあるあのイントロが流れてきて。店員の友達に「これ俺が作ったやつっちゃけど、知っとる?」っていったら「えーマジで!」みたいな。こんな下品な曲使わんほうがいいよみたいな(笑)。夜の店はもちろん、色んなところでかかってるみたいで。
——プロデューサーとしてますます存在感が増していますね。
地元では間違いなく1番だと思います。これは自信を持って言えますね。一緒にやってるYvngboi Pもヒップホップのシーンでカマしてくれてるんで。Ohayoくんともまた面白い曲出そうって考えてるし。
——ちなみに「Yahman Hard Bass」について仲間のラッパーの方々はどんな感じなんですか?
Yvngboi Pはもうフルで歌えますよ。僕らPGSっていうクルーなんですけど、もうPGSの全員歌えます(笑)。
——LIL Gさんのビートタグもちゃんと入ってますよね。
あれは入れちゃいました(笑)。他の曲はめんどくさかったんで入れてないんですけど、どういう形だとしても「Yahman Hard Bass」はよく使われるだろうなと思ったんで。
——ネタっぽい曲だけど、自分が手がけてることを伏せようとかは特になかった?
それは全然ないですね。むしろ俺はヒップホッププロデューサーだけどEDMもやれるぜっていうのもあるし。もともとEDMもめちゃめちゃ好きだったんで。
——1年に2曲も大バズリする曲を生み出したことに関してはどう思っていますか?
これから先が心配ですね(笑)。まぁでも楽しみですよ。この2曲がきっかけで色んな人と繋がれたんで。とにかく感謝です。でも今回のバズは実感が湧かないというか。「GAL」の時はすごく気持ち良かったんです、「やっとだ!」みたいな。だけど「Yahman Hard Bass」は、「あぁ、これいったか……」みたいな(笑)。
——2曲ともTikTokきっかけですが、LIL Gさん的にはTikTok自体に関してはどういう印象をお持ちですか?
TikTok大好きですよ。海外ではラッパーがアンダーグラウンド、オーバーグラウンドかかわらずTikTokを利用してビジネスするのは全然普通だし。だから、自分のスタジオに来るラッパーと話すときも「みんな、TikTokなめちゃいかんぜ」ってアドバイスします。本当にすごいツールなんだと。Apple MusicやSpotifyと同じポジションのものとして扱った方がいいよって言ってますね。偏見とか持たないで、利用できるところはちゃんと使ってしっかり狙っていかなきゃって思ってます。
——プロデューサとしての活動スケールも着実に大きくなっていると思いますが、最後に、今後の活動に関して予定されていることがあれば教えてください。
そうですね、有名なプロデューサーさんとのコラボだったりも控えてますし、「GAL」のプロップスのおかげで色んなアーティストさんからも声がかかったり、繋がったりしているんで、今後も積極的にリリースしていくと思います。ビートの問い合わせもかなりありますし、自分からアプローチして実現できる機会も増えたので。あと自分は歌も歌うんで、ソロとしてもバズらせたいですね。
最後に、今度12月3日に『WIRED MUSIC FESTIVAL FUKUOKA』でYvngboi Pとかと一緒にPayPayドームのステージに立つんで、それもぜひチェックしていただけたら嬉しいです!
Bar Yahman
場所:福岡県福岡市博多区中洲2-2-10 第11ラインビル4階
営業時間:1:00〜LAST
LIL G
Twitter
Instagram
SoundCloud
TuneCore Japan
▼LIL Gの過去インタビュー