Ryuuki Beatz インタビュー 地元・宇都宮のアーティストをフックアップした新作リリース KOWICHIやt-Aceなど多くのアーティストから信頼を得る実力派プロデューサー

2022.12.19

Ryuuki Beatz
栃木県宇都宮市出身。19歳でジャパニーズウェッサイシーンで名を馳せた横浜のDJ FILLMORE率いるHIP HOPレーベル’h.g.p.’に加入し、DJで全国を飛び回り、数々の楽曲制作に携わる。帰省後は地元のシーンの底上げを図るべく、レコーディングスタジオ“84studio”を設立し、数々の作品のレコーディング、ミキシングを担当し、有名アーティストが参加した自身のプロデュースアルバムもリリース。その活動の中で名プロデューサーZOT on the WAVEと出会い、ビートメイキングやミキシングの手法を共に追求する。

その後、t-Ace率いる制作チームに参加し、ヒットを連発するが、約2年前に脳梗塞で倒れ、左手の自由が効かなくなり、自身の判断でチームを去る。現在はKOWICHI率いるSelf Madeの裏方を兼任しつつ、制作環境とワークフローを見直し、ビートメイキングのペースを上げ、自身のBEAT TAPE(別名義を含む)を3タイトルを連続リリース。

また、記憶にも新しい’FSL’のバトラー入場時のビート全19曲をたった6日間で作り上げ、勢いが衰えぬまま自身の地元、栃木県宇都宮市の若手実力派ラッパーHEADACHE & Tiger Lilyを軸に、さまざまなアーティスト、ビートメイカーをフックアップしたプロデュースアルバムを完成させた。

確かな目と耳、技術でアーティストを強力にバックアップするプロデューサーである。
 
IYOW : A series of interviews with featured beat makers / producers / composers
 


——キャリアスタートのきっかけ

幼少期からHipHopに触れ合う機会が多く、地元の先輩や兄の影響で高校生の頃にDJをはじめ、当時からDr.Dreを崇拝していたこともあり、ゆくゆくは自分もプロデューサーになりたいと思っていました。

 
——ターニングポイント

18歳で上京し、東京や横浜のクラブに遊びに行くようになり、友人の紹介で横浜のDJ FILLMOREさんに出会いました。当時自分が作ったミックステープを聴いてもらったら、FILLMOREさんが所属するレーベルh.g.p.からリリースしてみない?と誘っていただきミックステープをリリースさせてもらうこととなり、最初の頃はミックステープのみをリリースしてましたが、h.g.p.に所属していたラッパーのHYENAさん、DESTINOさんにビートを使ってもらえる機会があり、それがきっかけで他のアーティストさんからも徐々にオファーをいただけるようになっていきました。それと並行してレコーディングやミックス等も独学ですが覚えて、ビート制作からミックスまで自分でやりたいと思いました。

 
——最新作

Ryuuki Beatz「新4号 (feat. ERASER, HEADACHE & Tiger Lily)」

 
——キャリア当初の制作環境

高3の時にYAMAHAのQY70という音源内臓のシーケンサーを買って初めてビートを作りました。サンプリングもできないですし、今考えたらおもちゃのような機材ですが、当時は小さい画面を見ながら夢中で作っていました(笑)。レコーディングやミックステープ制作にMTRを使っていました。

 
——現在の制作環境

現在はDAW環境で制作しています。

 
——メインの機材

PC : MacBook Pro (制作時はウルトラワイドモニターを接続)

DAW : Ableton Live 11, Avid Pro Tools

インターフェイス : Universal Audio Apollo x6

コントロールサーフェス : Ableton Push2, Softube CONSOLE 1, Novation 61 SL mk2,ALESIS V49

プリアンプ : Universal Audio LA-610 Signature Edition

マイク : NEUMANN U87Ai, Slate Digital ML-1

 
——モニター環境

モニタースピーカー : FOCAL Shape 50, Avantone MixCube

ヘッドホン : NEUMANN NDH 20, Skullcandy CRUSHER ANC, beyerdynamic DT 990 PRO

イヤホン : Apple純正イヤホン(有線)

 
——使用音源

最近はシンセ系でしたらArturia Analog Lab V、Sonic Academy ANA2などを使うことが多いです。

鍵盤系はSpectrasonics Keyscapeの質感が好きでよく使用します。

ギター、ストリングス、ブラス等の生音系は最近はサンプリングが多いので、SpliceやLoopcloud、Output Arcade、音源の場合はNative Instruments KONTAKTを使用することが多いです。

ドラムはサンプルキットや生音系と同様にSplice、Loopcloud、Output Arcadeのワンショットサンプルを使用します。

ベースは808でしたらドラムと同じくキットのワンショットサンプルまたはFAW SubLabなどを使用します。

その他のベースはSonic Academy ANA2、LennarDigital Sylenth1、またはSpectrasonics製品を使用する事もあります。

 
——使用プラグイン

最近はOutput Portalが使っていてとても面白いです。Analog Lab VとPortalの組み合わせが定番と聞いて色々やっているうちに気に入ってしまいました(笑)。

808にはMastering The Mix BASSROOM, Soundtoys Decapitator, UAD-2のEQP-1Aをよく使用します。

トランジェントシェイパー系はよくWAVES Smack Attackを使用しています。

マスターチャンネルにはよくSoftube Weiss MM-1を使用しています。簡単に使えて音も良いので重宝しています。

 
——ビートメイクのプロセス

サンプリングメインの場合はネタ選びから始めて、チョップして組み換えたりしてメインのループを作り、そこから他の音を肉付けしていくパターンと、ベースから始めるパターン、ドラムから始めるパターン等、気分や曲調によってプロセスを変えています。

 
——ビートメイクポリシー

イントロが流れた瞬間に印象的なリフが重要だと思うので、打ち込みでもサンプリングでもまずはそこに時間をかけるようにしています。そこが固まってからはラフですが感覚で全体の構成を組むところまで作り、一旦時間を空けてブラッシュアップを行います。

またジャンルがヒップホップなので特に重要なベース、ドラムのグルーブと質感はZOT on the WAVEとかなり研究し特に気を使っているので、ビート制作の時点でしっかり作っておきます。

 
——最も影響を受けたプロデューサー/ビートメイカー

今も昔もDr.Dreです。無駄のない一つ一つの音が際立つ曲ばかりなのですごく影響を受けました。

 
——影響を受けた楽曲

Lil Tjay – Give You What You Want

最近のお気に入りの曲です。聴いててめちゃくちゃ気持ちいいです。

 
 
Ty Dolla $ign – By Yourself (feat. Bryson Tiller, Jhené Aiko & Mustard)

元ネタのChanging Faces – G. H. E. T. T. O. U. T.の使い方が絶妙で、客演等もバッチリハマった1曲です。

 
 
Zapp – I Wanna Love You

Zappの曲の中ではマイナーな曲ですが、昔からZappのメロウな曲が大好きで横浜に住んでた頃よく車を乗りながら眉間にシワを寄せて顔で聴いていました(笑)。

 
——My favorite works / 自分の作品からのお気に入り

KOWICHI – Day Ones feat. T-Pablow & DJ TY-KOH

 
 
t-Ace – メンタルヤンキー

 
 
t-Ace – キラキラ忘レテ

 
 
CIMBA – イイ女 エエ女 feat.TAK-Z, CHEHON

 
 
Ryuuki Beatz – 7AM feat.HEADACHE

 
 
Ryuuki Beatz – 心配ねぇ feat. HEADACHE & Tiger Lily

 
 
——メッセージ

11月26日にニューアルバム『028』をリリースしました。僕の地元の栃木県で活躍するラッパーの2人と作ったアルバムで、ビートからミックス、マスタリングまで僕が担当しました。地元宇都宮“028”を代表できるクオリティに仕上がってると思います。ぜひ聴いてください!
 
 

Ryuuki Beatz『028』
1. 新4号 (feat. ERASER, HEADACHE & Tiger Lily)
2. Back Mirror (feat. HEADACHE & Tiger Lily)
3. バナナシェイク (feat. Tee-K, HEADACHE & Tiger Lily)
4. RELAX (feat. HEADACHE & Tiger Lily)
5. ブルーハワイ (feat. HEADACHE & Tiger Lily)
6. Perfect (feat. HEADACHE, Kage.Jp & A.C Quattro)
7. Freestyle (feat. HEADACHE)
8. 一晩中 (feat. Tiger Lily, BvlSketch & Johya)
9. 心配ねぇ (feat. HEADACHE & Tiger Lily)
10. 夢中 (feat. ERASER, HEADACHE & Tiger Lily)
 
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先行シングル
「ブルーハワイ feat. HEADACHE & Tiger Lily」(Official Music Video)

 
「新4号 feat. ERASER, HEADACHE & Tiger Lily」(Official Music Video)

 

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この記事の執筆者

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