高瀬統也インタビュー “初めての景色” 「どうして」のヒット、大盛況の香港公演を経た先に見据える次のステージ

インタビュー
2023.1.25

活動を支えるチームワーク

——高瀬さんはスタッフのみなさんと非常に良い関係を構築されてる印象があります。アーティストとして良いチームを作るコツのようなものはありますか?

いわゆる言霊というか「こういう人が好きです」「こういうものを求めています」というのを自分なりに語り続けてきたことが大きいと思ってます。それに興味を持ったり共感した人が集まったのが今のチーム。語ってきたビジョンに直感的に合うんじゃないかという人をかき集めまくった結果、それが勝手に循環するようになって、新しい人を加える時もみんな一緒に判断してくれるのでチームに相応しい人が入ってくる。誰でも入れるチームではないんだけど、決してとっつきにくい雰囲気ではないので、基本的に楽しい空気感を作ることができています。何ができるかのスペックではなく人間性を重視しているので、みんなで一つのビジョンをブレずに追求することができています。人間性溢れる環境にいることで、最初は何もできなくても良いプロセスでキャリアを身につけて成長することができると思うので。

——そういう持続性を大切にされているところも、経営者でもある高瀬さんらしい手法ですね。

職業病かもしれないですけど(笑)。でも本当にありがたいことに自分に人生を預けてもいいと働いてくれるスタッフがいるので、そこに関しては間違いなく責任を持ってやっています。

——そういう目線をお持ちの中で、今後アーティスト活動においてどのような展望をお持ちですか?

とはいえ、音楽活動に関しては基本的に1年、2年先はかっちり決めたくないタイプなんです。目の前のこと、長くても数ヶ月先までのことしかはっきり決めないようにしていて。これまで1ヶ月で人生が変わった経験をしてきたので、「どうして」の時もそうですけど、何が起きるか分からないところが楽しい。ビジネスにおいて計画性の大切さは十分理解していますが、音楽って計画性が生まれるのはリリースした後のような気がしていて。リスナーやファンのリアクションが計画を生んでくれるんですよね。とはいえ、それは僕だけの考えであって、チームとしてはまた違う視点を持っているから、結局そのバランスがすごく良くて。なので、僕だけの今年のテーマとしては敢えてカチッとやらないこと。決めすぎない。去年は色々決まってることに焦りながらやったので。

そして、そういう考えを持ちつつ一方で何か続けることも持っていたい。持続することによって生まれる楽しさや苦しさを両方経験したいです。僕って上手くいかなかったとしても苦じゃないんです。これまであまりにも売れるというところからかけ離れていたせいで、自分の中でハードルが下がっていて。だから何かやっても基本的に全部予想は上回るのでいつもハッピー(笑)。例えば、毎月の再生数を細かくチェックしているんですけど、「どうして」のヒットのあと、この間まではやっぱり若干少しづつ減少の傾向もあって、やっぱりそういうもんだよねって思っていたら、最近また全体の再生数が伸びてきていたりもするんです。だから、チャレンジし続けて苦い思いをすることがあっても、上手くいった時にチャレンジしたことや苦い思いがちゃんと活かされるようなチームでありたいし、そういう自分でありたいです。

 
フィジカルを通して改めてファンとつながる

——なるほど。発表されている予定としては『13月2日』はフィジカルもリリースされて、それに伴うインストアツアーもありますよね。

1月25日に『13月2日』のCDをリリースして、2月からリスナーやファンに直接会いに行くインストアツアーで国内各地をまわります。今も楽曲が一人歩きしている状態でもあるので、聴いたことはあるけどまだよく知らないっていう初見のお客さんにたくさん会えればいいなと思っています。このフィジカルリリースをきっかけにリスナーやファンと改めてつながれればなと。DVDもついているんですけど、モノはずっと手元に残りますし、楽しむためのひと手間かかる体験も含めて、この作品を通して今後も色々思い出してもらえれば嬉しいです。オフィシャルサイトからの予約特典では特製カレンダーがついていたり(※オフィシャルサイト予約販売は終了)、Amazonで購入していただければメガジャケットが付いていたりします。

——オンラインでもオフラインでも今年はさらにファンが増えそうですね。では最後に改めてですが2023年の豊富をお願いします。

今年は「紅白に出てもいいのにね」って言われるくらいになれるような1年にしたいです。出たいとかじゃなくて、「紅白ありえるんじゃない?」「出たっていいじゃん」って言われるアーティストになりたいですね。「どうして」ほどじゃなくても、とにかく小さな右肩上がりを続けていきたいです。

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